水原一平は、教科書の題材になるような大谷翔平との親友関係を裏切ってしまいました。
そして、彼が大谷の口座から盗んだ最低1600万ドル(約24億円)という金額の大きさ。
「まさか、あの人が」。人間は誰だって裏切る。ましてや、その人が重度の依存症を抱えていたのなら。
それでも「何かの間違いじゃないのか?」。そんな思いがしばらく消えないほど、驚きは大きなものでした。
冷徹な米国社会では「一介の通訳にどうしてそんなことが出来たのか」の方が驚きだったでしょうが、彼が「一介の通訳」などではなかったことはわかっていたでしょう。
大谷の言葉を通訳し、チームミーティングに出席し、大谷の本塁打パフォーマンスの代役をつとめることもあった〝分身〟だったのですから。
一昨日のESPNの報道では、代理人ネズ・バレロが雇った納税管理をする経理事務員や、会計士への連絡を水原に依頼しても「翔平はプライベートを保つ時間をしばらく持ちたいと考えている」と拒否されたやり取りが明らかにされました。
大金を巡るさまざまな事件や犯罪を知り尽くした百戦錬磨のバレロをしても「普通なら疑いの信号が激しく点滅するところだが、そういうこともあるかもしれないと思うのに十分な背景が積み重なっていた」と信じ込んでしまいました。
個人的には、まず、自分の口座から24億円以上が消えていても、ESPNを経てドジャースから伝えられるまで気づかなかった野球バカに対して、純粋に「なんて幸せな人なのか」と感動しました。
もちろん24億円がなくなっても気づかない裕福さにではなく、完全にカネからかけ離れた幸せの境地にいる男に対して。カネで買えるものへの執着が想像を絶するほど希薄なのでしょう。
私なら「ニューヨーク遠征はこれで30回目か。1回くらい、ずっと行きたかった店で外食したり軽くお酒を飲むのもいいかな」となるところですが…。
しかし、今回の事件で私が一番驚いたのは「まさか、あの人が」という裏切りに対してでも、失った金額の「巨大さ」でも、カネに対しても「異常な感覚」を持つ幸せなユニコーンでもありませんでした。
「水原が、FBI(連邦警察)が追いかける違法賭博の胴元の顧客で、巨額の借金を背負っている」とスクープしたのがESPNの一介の記者だったという事実です。
ESPNはスポーツ専門のケーブルテレビ局にすぎません。
他人の口座から24億円以上を盗む大事件を、デイリースポーツの記者がスクープしたようなものです。
それどころか、米国時間3月20日に自分のスクープで事件を発覚させるというコントロール下にあったとはいえ、前日の19日夜に韓国入りしていた水原に1時間30分ものインタビューを行なっていました。
大事件の容疑者とのインタビューを、自らが行うスクープ前夜に実施していたのです。
水原が一介の通訳でなかったのと同じように、このTisha Thompsonという女性も一介のスポーツメディア記者でないのは明らかです。
ティシャ・トンプソンのプロフィールをESPNで調べると、彼女の肩書はInvestigative Reporter(事件記者)。ESPNがそんなスタッフを抱えていたとは知りませんでした。
デイリースポーツにInvestigative Reporterは絶対にいません。親会社の神戸新聞でも、兵庫県警に詰める記者くらいでしょう。
トンプソンは「私の記事は誰かの伝聞や憶測ではない。自分が見たり聞いたりしたことだけを記事にする。情報源は政府機関や連邦警察はもちろん、事件当事者まで含めてあらゆるところにある」と豪語している通りに、連邦警察の捜査の進捗を詳細に把握し、事件当事者(水原)にも簡単に接触して長時間のインタビューまで受け入れさせているのです。
一つ間違いないことは、トンプソンはスポーツの取材はほとんど(もしかしたら一切)していないということです。ドジャースの試合をレポートしたり、大谷のホームラン談話を伝えたするのは彼女の仕事ではないのです。
スポーツ選手やその周囲のスキャンダルは、これまで総合メディアがスクープしてきましたが、確かにここ数年はその流れが変わっています。
リング誌など零細な専門メディアが報道しているマイナースポーツのボクシングでも、正確で早い情報を発信しているのはESPNに対抗するほど強力なThe Athleticも「調査報道」に力を入れてきましたが、ESPNもその分野に注力するようになっているということです。
The Athleticは2021年にニューヨークタイムズが巨額を投じて買収しましたが、NYTが最も魅力に感じたのが調査報道力だったと言われています。
今回のスクープに一番反応したのはThe Athleticの調査報道部門かもしれません。
米国の大手スポーツメディアが調査報道を重視していること、違法賭博に厳しい目を向けていることには観戦スポーツのスポンサーに大きな変化がもたらされていることと無縁ではありません。
ボクシングのリングを見てもバドワーザーやクアーズは遠い昔、今やコロナやテカテも〝独壇場〟とは行かなくなっています。
水原が米国でギャンブルにのめり込むきっかけになったというDraft Kingsはメジャースポーツはもちろん、ボクシングでもすっかりお馴染み。MLBのスタジアムでは当たり前に巨大看板が掲げられています。
MLBのHPを見ると「MLB公認」のブックメーカーまで複数存在します。
また、ESPN系のBET ESPNも急成長で、こちらもMLBのスタジアムで広告看板が続々と立ち上がっています。
ラスベガスが聖地のボクシングではBET MGMは風景の一部。
ビール会社が降ろされ、ブッカーの広告が揚がるーーーDraft Kingsの広告料金はテカテの何倍なのでしょうか?あるいは何十倍?いや、もしかしたら…。1缶1ドルのテカテとは宣伝効果のリターンは10倍レベルではないでしょう。
スポーツ賭博の正当性と合法性を訴求し、違法賭博を糾弾するのはスポーツメディアの責任という表向きの正義と、重大事件を一般メディアに先行されるとボロ儲けのカネヅルの存続に関わる攻撃的な報道に発展させない予防線という意味が混交しているように見えます。
Draft Kingsを眺めれば、どれほど簡単に賭けられるか、一つの試合でどれほど多岐にわたる賭けが出来るか、試合が始まってからも「ここまでの負けが一気に逆転」の賭けが登場することに驚きます。試合終了まで、リアルタイムで賭け続けることが出来、大逆転のチャンスが転がってるのです。
こんなもん、カジノどころのレベルではありません。
健全なはずの観戦スポーツの舞台が、ギャンブル依存症を蔓延させる悪質な仕掛けに成り下がっているのです。
ギャンブル依存症でスポーツ賭博の割合が看過できないほど大きくなるとか、そんな悪夢がすぐそこまで来ているのかもしれません。
。。。。。ドジャースvsパドレス、放送が始まりました。
そして、彼が大谷の口座から盗んだ最低1600万ドル(約24億円)という金額の大きさ。
「まさか、あの人が」。人間は誰だって裏切る。ましてや、その人が重度の依存症を抱えていたのなら。
それでも「何かの間違いじゃないのか?」。そんな思いがしばらく消えないほど、驚きは大きなものでした。
冷徹な米国社会では「一介の通訳にどうしてそんなことが出来たのか」の方が驚きだったでしょうが、彼が「一介の通訳」などではなかったことはわかっていたでしょう。
大谷の言葉を通訳し、チームミーティングに出席し、大谷の本塁打パフォーマンスの代役をつとめることもあった〝分身〟だったのですから。
一昨日のESPNの報道では、代理人ネズ・バレロが雇った納税管理をする経理事務員や、会計士への連絡を水原に依頼しても「翔平はプライベートを保つ時間をしばらく持ちたいと考えている」と拒否されたやり取りが明らかにされました。
大金を巡るさまざまな事件や犯罪を知り尽くした百戦錬磨のバレロをしても「普通なら疑いの信号が激しく点滅するところだが、そういうこともあるかもしれないと思うのに十分な背景が積み重なっていた」と信じ込んでしまいました。
個人的には、まず、自分の口座から24億円以上が消えていても、ESPNを経てドジャースから伝えられるまで気づかなかった野球バカに対して、純粋に「なんて幸せな人なのか」と感動しました。
もちろん24億円がなくなっても気づかない裕福さにではなく、完全にカネからかけ離れた幸せの境地にいる男に対して。カネで買えるものへの執着が想像を絶するほど希薄なのでしょう。
私なら「ニューヨーク遠征はこれで30回目か。1回くらい、ずっと行きたかった店で外食したり軽くお酒を飲むのもいいかな」となるところですが…。
しかし、今回の事件で私が一番驚いたのは「まさか、あの人が」という裏切りに対してでも、失った金額の「巨大さ」でも、カネに対しても「異常な感覚」を持つ幸せなユニコーンでもありませんでした。
「水原が、FBI(連邦警察)が追いかける違法賭博の胴元の顧客で、巨額の借金を背負っている」とスクープしたのがESPNの一介の記者だったという事実です。
ESPNはスポーツ専門のケーブルテレビ局にすぎません。
他人の口座から24億円以上を盗む大事件を、デイリースポーツの記者がスクープしたようなものです。
それどころか、米国時間3月20日に自分のスクープで事件を発覚させるというコントロール下にあったとはいえ、前日の19日夜に韓国入りしていた水原に1時間30分ものインタビューを行なっていました。
大事件の容疑者とのインタビューを、自らが行うスクープ前夜に実施していたのです。
水原が一介の通訳でなかったのと同じように、このTisha Thompsonという女性も一介のスポーツメディア記者でないのは明らかです。
ティシャ・トンプソンのプロフィールをESPNで調べると、彼女の肩書はInvestigative Reporter(事件記者)。ESPNがそんなスタッフを抱えていたとは知りませんでした。
デイリースポーツにInvestigative Reporterは絶対にいません。親会社の神戸新聞でも、兵庫県警に詰める記者くらいでしょう。
トンプソンは「私の記事は誰かの伝聞や憶測ではない。自分が見たり聞いたりしたことだけを記事にする。情報源は政府機関や連邦警察はもちろん、事件当事者まで含めてあらゆるところにある」と豪語している通りに、連邦警察の捜査の進捗を詳細に把握し、事件当事者(水原)にも簡単に接触して長時間のインタビューまで受け入れさせているのです。
一つ間違いないことは、トンプソンはスポーツの取材はほとんど(もしかしたら一切)していないということです。ドジャースの試合をレポートしたり、大谷のホームラン談話を伝えたするのは彼女の仕事ではないのです。
スポーツ選手やその周囲のスキャンダルは、これまで総合メディアがスクープしてきましたが、確かにここ数年はその流れが変わっています。
リング誌など零細な専門メディアが報道しているマイナースポーツのボクシングでも、正確で早い情報を発信しているのはESPNに対抗するほど強力なThe Athleticも「調査報道」に力を入れてきましたが、ESPNもその分野に注力するようになっているということです。
The Athleticは2021年にニューヨークタイムズが巨額を投じて買収しましたが、NYTが最も魅力に感じたのが調査報道力だったと言われています。
今回のスクープに一番反応したのはThe Athleticの調査報道部門かもしれません。
米国の大手スポーツメディアが調査報道を重視していること、違法賭博に厳しい目を向けていることには観戦スポーツのスポンサーに大きな変化がもたらされていることと無縁ではありません。
ボクシングのリングを見てもバドワーザーやクアーズは遠い昔、今やコロナやテカテも〝独壇場〟とは行かなくなっています。
水原が米国でギャンブルにのめり込むきっかけになったというDraft Kingsはメジャースポーツはもちろん、ボクシングでもすっかりお馴染み。MLBのスタジアムでは当たり前に巨大看板が掲げられています。
MLBのHPを見ると「MLB公認」のブックメーカーまで複数存在します。
また、ESPN系のBET ESPNも急成長で、こちらもMLBのスタジアムで広告看板が続々と立ち上がっています。
ラスベガスが聖地のボクシングではBET MGMは風景の一部。
ビール会社が降ろされ、ブッカーの広告が揚がるーーーDraft Kingsの広告料金はテカテの何倍なのでしょうか?あるいは何十倍?いや、もしかしたら…。1缶1ドルのテカテとは宣伝効果のリターンは10倍レベルではないでしょう。
スポーツ賭博の正当性と合法性を訴求し、違法賭博を糾弾するのはスポーツメディアの責任という表向きの正義と、重大事件を一般メディアに先行されるとボロ儲けのカネヅルの存続に関わる攻撃的な報道に発展させない予防線という意味が混交しているように見えます。
Draft Kingsを眺めれば、どれほど簡単に賭けられるか、一つの試合でどれほど多岐にわたる賭けが出来るか、試合が始まってからも「ここまでの負けが一気に逆転」の賭けが登場することに驚きます。試合終了まで、リアルタイムで賭け続けることが出来、大逆転のチャンスが転がってるのです。
こんなもん、カジノどころのレベルではありません。
健全なはずの観戦スポーツの舞台が、ギャンブル依存症を蔓延させる悪質な仕掛けに成り下がっているのです。
ギャンブル依存症でスポーツ賭博の割合が看過できないほど大きくなるとか、そんな悪夢がすぐそこまで来ているのかもしれません。
。。。。。ドジャースvsパドレス、放送が始まりました。
コメント
コメント一覧 (4)
フシ穴の眼
が
しました
銀行員も財務担当者も広報も大きな金の動きが何度もあっても誰も自分側の日本語が出来る人材を使って直接大谷とコンタクトを一度も取らなかったのも国民性なのか。
そう言えば井上尚弥の過去のアマプラ配信試合だけはロープに「Stake.com」とあって何かなとアクセスしたらオンラインカジノ&スポーツベッティングのサイトなんですよね。
フシ穴の眼
が
しました
フシ穴の眼
が
しました