12月13日、日本、会場未定。

世界バンタム級完全統一戦。リネラル/リング誌/WBA/IBF王者・井上尚弥に残された最後のタイトルWBOのストラップをポール・バトラーから強奪する日です。

upcoming-wbo-bouts

BoxRecにまだアップされていないことからも、まだ正式決定ではありませんが、この試合が成立するとして、その興味は「大番狂わせの可能性があるのか?」に尽きます。

井上とバトラー。比較するのも馬鹿らしくなるほど、両者の戦力には大きな開きがあります。

もし、バトラーが勝つようなことがあれば、日本のボクシングファンにとっては「1974年のキンシャサの奇跡」に並ぶほどの衝撃ですが、そんなことが起き得るでしょうか?



リング誌の 「Upset of the year=年間最大番狂わせ」を三つの類型に分け、バトラーにチャンスのひとカケラでもあるのかどうかを考えてみます。




最初は一番わかりやすい【パンチャーズ・チャンス】。

ハシム・ラクマンvsレノックス・ルイス(2001年)、コーリー・サンダースvsウラジミール・クリチコ(2003年)、アンディ・ルイスvsアンソニー・ジョシュア(2019年)などヘビー級でたびたび起きてきました。

ファン・カルロス・サルガドvsホルヘ・リナレス(2009年)も、パンチャーズ・チャンスをモノにした典型的な大番狂わせでした。

このパンチャーズ・チャンスには、被害者が打たれ弱いという要素を抱えていることも、番狂わせの引き金になるケースが少なくありません。

オッズやメディア、ファンは、トップドッグの致命的な欠点を過小に見る過ちを犯しがちです。



次の類型は、トップドッグを過大評価してしまう【オーバーレイテッド】。

ロイド・ハニーガンvsドナルド・カリー(1986年)や、ジェームス・ダグラスvsマイク・タイソンはその代表です。

「カリーはグラスジョーで防御技術が未熟」「タイソンはジャバーが苦手で下がると何もできない」なんていうのは後付けで、当時のタイソンやカリーは無敵のUndisputed champion とみられていました。

IMG_0468

バーナード・ホプキンスvsケリー・パブリック(2008年)、石田順裕vsジェームス・カークランド(2010年)、マルコス・マイダナvsエイドリアン・ブローナー(2013年)なども、過大評価のメッキが剥がされた番狂わせでした。



三つ目の類型は「それ実は番狂わせじゃないから!」という、【リアルディール】。アンダードッグが過小評価されていたケースです。

S05186-770x522
リング誌Upset of the yearがまだなかった時代。アリとソニー・リストンの二戦はいずれもリストン有利とみられていました…当年代はかくもフシアナなのです。


アリvsフォアマン(1974年)、ウィルフレド・ベニテスvsアントニオ・セルバンテス(1976年)、イベンダー・ホリフィールドvsタイソン(1996年)、ノニト・ドネアvsビック・ダルチニアン(2007年)、タイソン・フューリーvsウラジミール・クリチコ(2015年)など…。

スクリーンショット 2020-09-12 16.25.41

意外にも、リング誌のUpset of the yearは獲得していないものの、マニー・パッキャオのマルコ・アントニオ・バレラ戦や、オスカー・デラホーヤ戦なども、パックマンが過小評価されすぎていたことが大番狂わせの引き金になりました。




バトラーが井上に勝つようだと、今年のリング誌Upset of the year は確実ですが…。

そんなことが、起こり得るでしょうか…?

〈続く〉