日本はもちろん、世界史上で商業的に最も大きな規模となった軽量級の試合は「薬師寺保栄vs辰吉丈一郎」(1994年12月4日)です。

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米国ではバンタム級以下で大きな注目を集めた試合として「マイケル・カルバハルvsウンベルト・ゴンザレス」がいまだに挙げられますが、規模的には「薬師寺vs辰吉」の3分の1以下、視聴者数などまで考慮した注目度では全く比較になりません。

今回、降って湧いてきた「井上尚弥vs井岡一翔」が実現すると、1994年の〝世界記録〟更新も十分可能性があります。

「薬師寺vs辰吉」と「井上vs井岡」。軽量級大国日本の日本人同士、そして東西対決。

共通点の多い大一番ですが「1994年」が一方的に辰吉が主役で戦前予想も「モノが違う。勝負にならない」(大橋秀行)とまで見られていました。

辰吉と薬師寺のあいだには、実績や評価、人気…プロボクサーとしてのあらゆる側面で巨大な差があったのです。

畢竟、あの試合は興行規模だけが巨大なだけで「究極の日本人対決」とは誰一人考えていませんでした。

それゆえ、多くの人の関心は勝敗そのものには傾かず、一般メディアは「大阪vs名古屋」、専門誌に至っては「辰吉を待ち受ける世界の刺客」にまで飛躍した報道も見られました。

今回の試合も井上有利は動かないでしょうが、そこまで一方的な予想にはならないでしょう。

両者の実績、評価に大きな乖離はありません。

ボクシングの試合として、勝敗の関心が低かった「1994年」よりも、ファンには興味深く楽しめるはずです。