「かなわなかったJapanese ShowDown」「リング誌から『井上vs井岡』を振り返ってみましょう」と、すでに二つのテーマに分岐してしまったこのお話ですが、さらに「文句なしに『メリットのある試合』」と三つ目の支流が…。

1月19日、暖房効き過ぎの通勤電車からお届け、です。



「僕にとってメリットのない試合」。

田中恒成と福永亮次の試合前に、井岡一翔が口にした言葉です。

キャリアの総仕上げに最後の筆を振るっている井岡にとって、恒成は筆を折られる可能性もある危険な相手、福永は無駄な回り道、という観点ならその通りです。

しかし、井岡は「どっちも負ける相手じゃないし自分のレガシーにはプラスにならない」と考えたのでしょう。

現実には恒成戦はキャリア初のアンダードッグで、経験の差を見せつけた完勝は、日本でも世界でも井岡の評価を見直しさせ、これまで何度も「ウェイティングサークル」と表現されながらトップ10入りが許されなかったPFPの扉をこじ開けました。

鮮やかな番狂わせを起こした恒成戦は、キャリア最高の内容で、井岡にとっては間違いなく大きなメリットで「メリットがない」なんてことは微塵もありませんでした。

福永戦にしても、やるやらないはTBSも含めた井岡陣営がサイコロとタクトを握っている試合。メリット云々を語るのは間違っています。
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そして、井上尚弥との大勝負は「メリットしかない試合」です。

もちろん、階級の問題や、リターンの大きさに比例する巨大な危険を孕んでいます。

日本最高のリングマスターが現在、向き合っている「115ポンドの完全統一」という作品をほっぽり投げてまで、突発的で脈絡のない井上のオファーに応じる必要なんて無い、というなら全くもってその通りです。

5階級制覇を標榜している井岡にとっては「いずれバンタムに上げたときに戦うならわかるが、それは今じゃないでしょ」という気持ちかもしれません。

ただ、もし実現したら大阪開催でもアウェーになりかねないほど日本での人気と評価には乖離がある二人です。

井岡にとっての「メリット」は計り知れません。

井上はトップランクとの契約とラスベガスの試合で「バンタム級の日本人」への冷遇以下のほとんど無視に近い扱いについて、考えることも多いでしょう。

井上と大橋秀行が「ラスベガスで天文学的な数字」からトーンダウンして「日本でビッグファイト」と再三口にするようになった変節にも、そんな背景があるのかもしれません。

井上が語った「那須川天心vs武尊」に刺激を受けたというのも、事実でしょう。

天心と武尊の試合は、社会的に認知されていないキックボクシングですから、一般紙はスポーツ欄では扱いません。

それでも、社会面で大きく報じるはずです。

後楽園球場をフルハウスにした白井義男、個人競技では想像を絶する視聴率を何度も叩き出したファイティング原田には及ぶわけがなくとも「井上vsノニト・ドネア」は軽く凌駕して「亀田興毅vs内藤大助」にも迫る興行になる可能性大です。

「ラスベガスでビッグファイト」はあり得ないと悟った井上の目に「天心vs武尊」が羨ましく映ったのは当然かもしれません。

大晦日をタイムリミットとして、それぞれの階級で完全統一を果たすとすると、今年は二人とも最低2試合を戦ってから3試合目で激突となります。


そんな、贅沢な一年になりますやらどうやら…正月気分が抜けません。



おお、地下鉄がちょうど有楽町駅に滑り込みます。