DAZNはアジアサッカー連盟(AFC)と2028年まで長期契約を締結し、アジア最終予選の放映権を年200億円で獲得したと言われています。

テレビ朝日は2005年に結んだ契約の延長を更新しながら、2017年からは4年180億円で契約を結んでいました。年45億円の計算です。

しかし、昨年〝テレ朝〟契約が切れるとAFCは契約期間8年、金額を従来の4倍以上に当たる1年換算200億円に契約条件を提示。

高騰した契約料を払えなかったテレビ朝日は今予選ではホーム5試合の放送権のみをDAZNとの間で1試合3~5億円でバラ売り契約したとされています。

アウェー戦については、どこの局も手を挙げず、地上波放送は消滅しました。

W杯出場が当たり前になったサッカー日本代表の最終予選、勝敗としての興味は下がってしまい、CMスポンサーが集まらない、つまり番組として成立しない状況が出来上がってしまいました。

オマーンにホームで敗れるなど大苦戦、最終予選突破に未だ黄信号という状況は想定外とはいえ、コロナ下で番組予算が大幅に削減される中、従来の4倍以上の放映権料など用意できるわけがありません。

日本代表の最終予選をフルパッケージで地上波に取り戻すには、テレビ局の資金力は限界を超えています。

スポンサー企業が従来の5倍近いCM出稿料を出すしかありませんが、それには条件があります。

それに見合うだけの盛り上がり「俺たちは見るぞ!」というエネルギーを担保として伝えることです。視聴率が約束されれば、スポンサーはいくらでもカネを出します。

しかし、時差によっては真夜中、状況によっては重要性が低い試合になるというのに、どれだけの人が見るのか?

地球規模のビジネスになったサッカーで、東京キー局が果たせる役割はもう終わったのかもしれません。

最終予選のホーム試合はもちろん、本戦は地上波で生中継されます。しかし、局地的とはいえ「見たい人はお金を払って下さい」というこの流れは、ファン拡大には大きなマイナスです。

ラグビーW杯が有料配信やPPVだったなら、あんなに大きなブームが起きるなんてありえませんでした。
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地上波では支払いきれない放映権料が動いたサッカー日本代表の場合と事情は異なりますが、「井上尚弥vsアラン・ディパエン」が、ひかりTVとABEMAのPPVで配信、地上波では生中継されないことになりました。

販売単価は約4000円。PPVに馴染みが薄い日本でこの価格設定は相当に強気です。

地上波で放送した場合の視聴率を10%だとすると視聴者数は約50万世帯、このうち4000円を支払うのはどれくらいになるでしょうか?

1万世帯=売り上げ4000万円=が購入してくれたら素晴らしいのですが、このラインでも高いハードルに思えます。

両国国技館のゲート収入+スポンサー収入+PPVの4000万円から、選手報酬と経費を差し引くわけです。

今回、興行を取り仕切るのはPhoenix Promotions、大橋ジム単独です。トップランクとの契約がどうなっているのか、もっと突き詰めると、まだ契約関係にあるのか?

いずれにしても、様々な意味で井上陣営に不信感が募っていることは想像に難くありません。

井上陣営がPPVに踏み切った、その動機がどこにあるのかはわかりませんが、今回の試みは賛否はあっても、勇気ある挑戦です。

「報酬は100万ドル」と毎回同じ数字でマッチポンプ報酬を発表することに大橋秀行会長もスポンサーも疲れきったのかもしれません。

ラスベガスにバンタム級のメガファイトなど存在しないという厳しい事実への幻滅と反骨から、日本で「ラスベガス」を実現する第一歩を踏み出したのかもしれません。

ひかりTVは井上のメインスポンサーの一つですから、今回のPPVの数字がどこに着地しても、報酬には何らかの保障があるはずです。ひかりTVにとっても、この試みは授業料を払っても受けたい貴重な実験になるはず。

ウィークデイであること、対戦相手の質を考えると、私は購入する予定はありませんが、土日で家にいる時間帯なら、この挑戦への応援の意味でも買いたかったです。

テレビ放映権料が無くなっただけの単純な話です。これまでの放映権料も5000万円も全然なかったでしょうから、ここが補填されるとビジネスとして成立するはずです。

また、後日、地上波で録画放送されるでしょうから放映権料はゼロではありません。


「村田諒太vsゲンナディ・ゴロフキン」のケースもAmazon Primeが日本でのスポーツ生配信第一弾と、実験的な意味がありますが、あっちは莫大な報酬を地上波ではまかないきれない事情が背景にある例外です。

いずれにしても「見たいヤツは金を出せ」というやり方は、そのスポーツからにわかのファンを遠ざけ、健康的なファンを抹殺してゆく行為です。

両手を挙げて大賛成ではありませんが、日本のボクシングが正攻法で再びメジャーになれるか?というと難しいでしょう。

WOWOWの新規加入者が最も増えたのは錦織圭の全米オープン快進撃の時期でしたが、ボクシングはマイナースポーツで、短期間でトーナメントを勝ち進む興奮も提供できません。

井上のPPVがある程度の成果を収めて、日本のボクシングビジネスの新しいオプションが生まれるなら最高です。