現在、プロボクシングには17もの階級が存在しています。

〝オリジナル8〟を維持するMMAの最大勢力UFCの2倍以上の階級ですが、それでもWBCは18番目の階級を創設してしまいました。

プロ格闘技として、どちらが分かりやすいかは誰の目にも明らかです。

日本時間の今週土曜日、10月23日に18番目の階級、ブリッジャー級の初代王座決定戦がカナダ・モントリオールで行われます。

「世界」王者決定戦と銘打たれていても「カナダ在住のコロンビア人、オスカル・リバス」と「生粋のカナダ人ライアン・ロシツキ」の間で争われる「カナダ」のブリッジャー級王者決定戦というのが実情です。

それにしても、何をいまさら、新設階級なのか。
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人類の体格向上だけでなく、旧ソ連圏の巨人の遺伝子を持つボクサーがプロに参入、ヘビー級の大型化が〝階級問題〟として語られてきました。

つまり「スーパーヘビー級」を作るか、ヘビー級の下に「スーパークルーザー級」を作るか。

いずれにしても「ヘビー級を分割するべき」という考え方です。

先日の「フューリーvsワイルダー」を見るまでもなく、この考え方には理があります。

クルーザー級が1980年に誕生したとき「ヘビー級の大型化でライトヘビー級との体重差が大きくなり過ぎた」「承認料目当ての軽量級の新設階級とは違う」という大義名分には、ある程度の正当性が認められました。

それは、ライトヘビー級より15ポンド上の190ポンドに設定されたリミットが、200ポンドに更新されたことからも十分窺い知ることが出来ます。

リミット引き上げは承認料目当てではなく、ヘビー級大型化の波の中で、自然の成り行きでした。

「オリジナル8」を信仰する原理主義者ですら、ライトヘビー・175ポンドの上がダイレクトでフューリーのような大巨人が277ポンドで秤を軋ませるヘビー級である現状は不条理だと認めています。

デビッド・ヘイが217ポンド(今ならブリッジャー以下)でニコライ・ワルーエフ(316ポンド)と戦ったときは、ほぼ100ポンドの重量差がありました。

軽量級ではジュニアバンタム(115)とバンタム(118)のようにわずか3ポンド(1.36㎏)刻みでクラスが細切れされているにもかかわらず、ヘビー級ではその20〜30倍の体重差が当たり前に横行しているのです。

もちろん、ヘビー級は言い訳の効かない特別なクラスです。彼らは「より弱い相手と戦うために自分も弱体化する」減量はしません。脱水症状で足が痙攣したりもしません。

ナチュラルに強い自分を鍛え抜いて、強い相手に挑むのがヘビー級の世界です。

無差別級がなければ、格闘技など減量とリバウンドで衰弱しながら、より弱い相手を追求するおかしな競技に落ちぶれてしまいます。

それでも、もはや看過できない次元に突入しています。

ただ「どこから」無差別級なのかは、時代の状況を鑑みて柔軟に設定すべきです。

あの試合を「フューリーの技術がワイルダーを駆逐した」 と見るのはあまりにも短絡的です。もちろん、その要素もゼロではなかったでしょう。しかし、あの試合を決したのは「階級の壁」でした。

ブリッジャー級には「一理」あります。

WBC以外のアルファベット団体は、現状ではブリッジャー級を「王者の地位を貶める」と否定的で、追従しない姿勢です。

オレクサンダー・ウシクらはブリッジャー級にランキングされることを拒否するなど、WBCに批判的な選手も少なくありません。

それでも、WBCが18階級体制で承認料売り上げを伸長させると、他の団体が「世界王者の地位を希釈化させるような真似はしない」という綺麗事を放り投げるのは時間の問題です。

これ以上階級を増やすのは、ボクシング界にとって大きなマイナスです。 その一方で、ヘビー級で進む大型化は、新たな階級を必要としているのかもしれません。

最も理屈に合ったやり方は、ブリッジャー級の新設と、軽量級(たとえばストロー級やジュニアバンタム級)を廃止する〝ゼロサム〟方式ですが…。