どんな格闘技でも、無差別級は特別です。

まず「減量」がありません。

無差別級以外の階級には「減量」があります。

それは「より弱い相手と戦うために自分も弱体化する」行為です。「より弱い相手」を追求し「自分の弱体化」を最小限に抑えるのが「減量」の極意です。

「より弱い相手と戦うために自分も弱体化する」最も高価的な「減量」は、一気の減量と12%前後の一気のリバウンドと言われています。

日本の2大エース、井上尚弥と井岡一翔が最も天才的才能を発揮しているのも、この「減量」です。

ヘビー級でも「減量」はあります。また、他の階級ではあり得ない「増量」もあります(ヘビー級でもないのに、増量してリングに上がることもあった超弩級の変態が2匹生息していましたが、1匹は引退して茶番劇に興じ、もう1匹は先日引退しました)。

しかし、ヘビー級のそれは「強い相手に勝つために、最も強い自分を追求する」という、格闘技においては本来なら当たり前の体重管理です。
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長い歴史を抱えるボクシングでは、ヘビー級以外のクラスは100年前も現在も同じです。

半世紀以上の時を経ても、エデル・ジョフレと井上尚弥は同じ118ポンド。シュガー・レイ・ロビンソンと村田諒太は160ポンド。

しかし、ジョフレと同時代のモハメド・アリは210.5ポンド=95.48kg(1964年2月25日:ソニー・リストン第1戦)でリングに上がっていましたが、現在最強と目されるタイソン・フューリーは273ポンド=123.83kg(直近2020年2月22日:デオンティ・ワイルダー第2戦)と、両者の間にはなんと62.5ポンド=28.35kgもの差があります。

これは、フライ級=112ポンドの中谷潤人と、ライトヘビー級=175ポンドのアーサー・ベテルビエフの体重差に匹敵します。

中谷とベテルビエフが戦うなんてことはあり得ませんし、もしそんな試合が成立しても中谷に勝機はありません。

しかし、ヘビー級ではそうとは言い切れないのです。それがヘビー級です。

「より弱い相手を求めて減量する階級」と、「最強の自分を作って戦う無差別級」との差です。

アリと全く同じフレーム(身長191㎝/リーチ198㎝)のオレクサンダー・ウシクは、2年前までアリよりも軽い200ポンド以下のクルーザー級で戦い、今週末に対峙するのは198㎝/208㎝/240ポンドのアンソニー・ジョシュアです。

ウシクは215〜218ポンドで仕上げて来ると見られていますから、ジョシュアとの体重差は20ポンドはあるでしょう。フェザー級=126ポンドとウェルター級=147ポンドの差です。

エマヌエル・ナバレッテが、テレンス・クロフォードやエロール・スペンスJr.と戦うようなものです。常識的に考えて、勝ち目はありません、

しかし、ヘビー級は「より弱い相手を求めて自分も弱体化する」階級ではありません。

最強状態のファイター同士が激突するのがヘビー級です。

減量との戦いでまず消耗するのがヘビー級(パックメイ)以外のボクシングです。

「クルーザー級時代は計量でぐったりしたボクサーを何度も見てきた。しかし、ヘビー級には脱水で衰弱したボクサーはいない。小さく見えてもフィジカルは途轍もなく強い。パンチも強いし、なによりも打たれ強い」(イベンダー・ホリフィールド)。

季節はすっかり秋ですが、そんな特別にも程があるヘビー級が今月から熱すぎる真夏を迎えます。
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メイウェザーがNo.1滞在期間記録を持つと言われるPFPや、パッキャオの史上唯一無二の8階級制覇の如きは、所詮ヘビー級で戦えない〝弱者の詭弁〟に過ぎません。

ジャック・デンプシーもジョー・ルイスもアリも、現代のヘビー級王者たちも複数階級制覇などに興味はありません。

そもそもPFPは負け犬の言い訳から始まりました。

トドの詰まりは、複数階級制覇もPFPも減量野郎の逃げ道です。



前置きが長くなりました。

この週末から雪崩式に勃発するヘビー級トップ戦線を追いかけてゆきます。