昨日も、50歳!で自転車の杉浦佳子が金メダルを獲得しました。史上最年長記録です。

連日、熱狂を届けてくれるパラリンピックですが、正直に告白すると、どう見て良いのかよくわかっていません。

マニー・パッキャオや阪神タイガースを応援するときには「体格で押し込まれてるようならもう引退しろ!」「負けてるよ、両手挙げてんのはまさか勝利アピールか?!」「なんでヒット一本欲しい場面で佐藤輝が代打?佐藤はよくやってる、休ませろ!」「負けるのはええ。エラーとか四球とかつまらんきっかけで負けるな!」…心の底から湧き出る言葉は罵声も少なくありません。

サッカーやテニス、野球など超がいくつも付くスポーツセレブが登場する競技を除くと、オリンピックの場合は特に女子には罵声を浴びせるタイミングが少なくなりますが、それは程度の問題です。

それが、パラアスリートに対しては純度100%の応援しか出来ません。

というと聞こえが良いのですが、それは本気で応援していない、ということかもしれません。
FullSizeRender
私は重度のパックマニアです。

それは寺尾新戦、リーロ・レジャバ戦を観戦する幸運に恵まれたからだと思ったこともありましたが、きっとそうではありません。

彼の試合からは、勇気が溢れ出していたからです。マッチメイクから試合内容まで、どこを切り取っても勇気がほとばしっていたからです。

どんなに素晴らしい技術を持っていても、その戦い方に勇気が読み取れない試合ほど面白くないものはありません。

その意味では、一番勇気を見せてくれているのがパラアスリートだというのに、本気で感情移入出来ない自分がいます。

本当はパラスポーツにこそスポーツの原点、勇気の発露があるというのに…。



本当は面白いのに…という点では男子100mに注目が偏る陸上競技・中距離もそうです。

スピードと持久力、激しいポジション取り、一瞬のスパート、そこには走る競技のエッセンスが全部詰まっています。

そんなレースに、田中希実のような勇気の塊が弾丸のように飛び出したら、面白くないはずがありません。

1500m走は中高生が体育の時間に測るなど、本当なら最も身近な駆けっこのはずですが「苦しいだけ」と苦手意識が先行する子が多いせいか、けして人気種目ではありません。

マラソン人気と比べると、世界と互角に戦える日本人がいなかったことも中距離をマイナー種目たらしめてきた原因です。

その意味でも今後の田中、そして彼女に触発された中距離ランナーたちの登場に期待です。

シファン・ハッサンら世界の強豪がひしめく集団をグイグイ引っ張りながら田中がラスト一周の鐘を聞く…想像するだけでゾクゾクします。

実は、57年前の東京1964、男子800mで森本葵は優勝候補の1人でした。

私が学生時代だった80年代末まで、森本が1964年にドイツで叩き出した1分47秒4はアンタッチャブルの日本記録でした。

しかも、森本が疾駆した時代のサーフェイスは土でしたから、タータンならどれほどの記録になっていたことか!

帰国後、急性肝炎を患い、五輪は準決勝敗退でしたが「日本人に中距離は無理」「トラックはレベルが高いからマラソン勝負」というのは「世界中の才能が結集する100mは無理」「桁外れのパワーが求められるホームラン王は無理」「レベルの低い軽量級ならまだしも人気のあるウェルター級やヘビー級は無理」という愚かな呪文と同じです。



本当の魅力が知られていない、という点ではボクシング軽量級は30年前のモルトウイスキーにも似ています。

モルトの場合はジワジワとブームに火がつき「マッサン」で爆発、投機マネーまで流れ込んで、未だに人気国産ブランドの年代物は超品薄、高値で取引されている惨状が続いています。

酒は飲むもの、という絶対正義を頑なに遵守する私にとっては、全くもって迷惑千万な話ですが、中距離や軽量級に関してはもっともっと人気が出て欲しいと強烈に願っているのですが…。



欧米では関心の低い軽量級ですが、今夜は115ポンド級でWBOのピースを握っている井岡一翔が大田区総合体育館に登場します。

現在、122ポンド=ジュニアフェザー級以下の超軽量で最もレベルが高いと見られているジュニアバンタムは、4つのアルファベットタイトルが拡散しています。

リング誌のベルトとLineal Title も掌握しているWBC/WBA王者ファン・フランシスコ・エストラーダ、そのエストラーダとの再戦で互角以上のパフォーマンスを見せた前WBA王者ローマン・ゴンザレスが115ポンドの2強。

トップランクの軽量級政策の杜撰さとパンデミックから思うようなマッチメイクが出来なかったIBF王者ジェルウィン・アンカハスと、円熟の井岡が2強を追っています。

また、トップ戦線から遠ざかっているシーサケット・ソールンビサイとドニー・ニエテスの元PFPファイターも無視出来ません。

この2人がかつての実力をキープしていたなら、階級最強候補に割って入ります。

井岡が3度目の防衛戦で迎え撃つのは、フランシスコ・ロドリゲス。

指名挑戦者は強さと無関係の言葉に貶められている現在ですが、29歳のメキシカンはリング誌評価で7位。本物の世界ランカーです。

それでも、そのロドリゲスに勝って井岡のレガシーに積み上げはありません。

井岡はそんなステージに立つボクサーです。

勝ち方が求められる試合です。

FullSizeRender
というわけではありませんが、黒豚ヒレカツ定食。