プロボクシングと他のスポーツの決定的な違いの一つか、複数の世界王者が跋扈していることです。
WBA/WBC/IBFの3団体時代は、世界に1人しかいないはずの世界王者が、承認団体の数だけ乱立していました。
それはそれで、深刻で重大な問題を孕んでいたのですが、WBOを加えた4団体時代が深まると、一つの承認団体が複数の世界王者を抱える狂気の沙汰が当たり前になってしまいます。
4-Belt Eraではボクサーたちもアルファベット団体の〝世界王者〟にしがみつこうとはせず、安易に王座を返上し、複数階級制覇に乗り出す、あるいは体重超過でストラップを失うことを厭わない、あるまじき醜態を見せることも珍しくなくなりました。
ここに〝世界王者〟の権威は地に堕ちました。
4-Belt Eraは、一つの承認団体の中でも複数の〝世界王者〟が「我こそが本物の世界一」と名乗る狂気と混沌の時代です。
世界一は世界に1人だけしかいないはずですから、誰かが嘘をついています。
そして、多くの場合、誰もが嘘をついているのです。
こんな時代に、他の誰にも〝世界王者〟を名乗らせないためには、Undisputed Champion=議論する余地の無い王者、すなわち完全統一王者になるしかありません。
バンタム級で井上尚弥が希求しているのが、このUndisputed Championです。
翻訳記事の中にはUndisputed Championを「議論する余地の無い王者」などと直訳しているものがほとんどですが、それでは多くの人に正確な意味が伝わりません。
議論する余地の無い=他の誰にも王者を名乗らせない=完全統一王者、です。
Undisputed Championになれば、ほぼ全てのケースで文句なしの世界王者です。
そう、残念ながら「ほぼ」という表現をしなければならないのは、Lineal Champion=正統王者の存在があるからです。
Undisputed Championに文句の付け所があるとしたら、その正当性は問われないという一点です。
怪しい相手との決定戦や、リング上で戦わずして王位を与えられるペーパー王者でもUndisputed Championになれてしまうのです。
チャンピオン・シップ制度の絶対不可侵の戒律は「王者を倒した者だけが王者」という大前提です。
王者を倒した者だけが王者である。
その正統王者こそが、実態の見えにくい、Lineal Championです。
ほぼ全てのケースで、Undisputed Championになれば同時にLineal Championです。ジョシュ・テイラーは、その直近サンプルです。
一方で、Undisputed Champion=完全統一王者になったマイク・タイソンは、Lineal Championのマイケル・スピンクスを倒すまでその座に就けませんでした。
また、現在のランキングを見てもリゴンドーがいまだにジュニアフェザー級王者というのは、多くの人が違和感を覚えるでしょう。
「王者に勝った者だけが王者」。高潔で頑固一徹のLineal Championの理念は、当該階級での試合から遠ざかっているリゴンドーのような王者の存在を許し、いたずらに空位を作るという負の側面も持っています。
ラディカルなLineal Champion理念で王者を認定している独立組織Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)では17階級中わずか7階級でしか王者が認定されていません。
タイソン・フューリー(ヘビー級)、マイリス・ブリエディス(クルーザー級)、アルトゥール・ベテルビエフ(ライトヘビー級)、ジョシュ・テイラー(ジュニアウェルター級)、ライト級(テオフィモ・ロペス)、ギレルモ・リゴンドー(ジュニアフェザー級)、ジュニアバンタム級(ファン・フランシスコ・エストラーダ)の7人です。
「認定」という表現は適切ではないですね、Lineal Championは承認団体が恣意的に認定するものではなく「王者に勝ったものが王者」という誰にでもわかる理屈です。
空位の10階級を見ると(カッコ内は最後のLineal Champion)ストロー級(1999年10月:リカルド・ロペス)、ジュニアフライ級(2011年4月:ジョバンニ・セグラ)、フライ級(2016年10月:ローマン・ゴンザレス)バンタム級(1987年3月:ベルナルド・ピニャンゴ)、フェザー級(2005年3月:マニー・パッキャオ)、ジュニアライト級(2008年7月:パッキャオ)、ウェルター級(2016年4月:マニー・パッキャオ)、ジュニアミドル級(2015年9月:フロイド・メイウェザー)、ミドル級(2021年1月:カネロ・アルバレス)、スーパーミドル級(2016年3月:アンドレ・ウォード)となっています。
バンタム級は、ピニャンゴが1987年にWBAのストラップを返上してから34年間もLineal Championが空位のままです。
ちなみに、ピニャンゴが返上したWBAは六車卓也とアサエル・モランの間で決定戦が行われ、パナマ人を鮮やかに沈めたエンドレスファイターがベルトを巻きましたが、もちろんそれはLineal Titleではありません。
そして、バンタム級のUndisputed Champion=完全統一王者はエデル・ジョフレ(防衛8)→ファイティング原田(防衛4)→ライオネル・ローズ(防衛3)→ルーベン・オリバレス(防衛2)→チューチョ・カスティーヨ→オリバレス(防衛2)→ラファエル・エレラ→エンリケ・ピンダーと経由、ピンダーは1972年12月、挑戦者資格のないロメオ・アナヤとの防衛戦を契約したことを理由にWBCから王座を剥奪されてしまい、ここでUndisputed Championの系譜は断絶したまま半世紀が経とうとしています。
TBRBバンタム級の1位が井上尚弥、2位ノニト・ドネアですから、この二人が戦えば勝者が四半世紀ぶりのLineal Championに就きます。
そして、Undisputed ChampionにもLineal Championにもなれなかったものの〝ピニャンゴ後〟にも、バンタム級では最強と目される王者が出現し続けました。
もし、時代が少し違えば、彼らの中からUndisputed ChampionやLineal Championが生まれていたかもしれません。
そんな魅力的で少し物悲しい〝推定最強王者〟の名簿をめくっていきましょう。
WBA/WBC/IBFの3団体時代は、世界に1人しかいないはずの世界王者が、承認団体の数だけ乱立していました。
それはそれで、深刻で重大な問題を孕んでいたのですが、WBOを加えた4団体時代が深まると、一つの承認団体が複数の世界王者を抱える狂気の沙汰が当たり前になってしまいます。
4-Belt Eraではボクサーたちもアルファベット団体の〝世界王者〟にしがみつこうとはせず、安易に王座を返上し、複数階級制覇に乗り出す、あるいは体重超過でストラップを失うことを厭わない、あるまじき醜態を見せることも珍しくなくなりました。
ここに〝世界王者〟の権威は地に堕ちました。
4-Belt Eraは、一つの承認団体の中でも複数の〝世界王者〟が「我こそが本物の世界一」と名乗る狂気と混沌の時代です。
世界一は世界に1人だけしかいないはずですから、誰かが嘘をついています。
そして、多くの場合、誰もが嘘をついているのです。
こんな時代に、他の誰にも〝世界王者〟を名乗らせないためには、Undisputed Champion=議論する余地の無い王者、すなわち完全統一王者になるしかありません。
バンタム級で井上尚弥が希求しているのが、このUndisputed Championです。
翻訳記事の中にはUndisputed Championを「議論する余地の無い王者」などと直訳しているものがほとんどですが、それでは多くの人に正確な意味が伝わりません。
議論する余地の無い=他の誰にも王者を名乗らせない=完全統一王者、です。
Undisputed Championになれば、ほぼ全てのケースで文句なしの世界王者です。
そう、残念ながら「ほぼ」という表現をしなければならないのは、Lineal Champion=正統王者の存在があるからです。
Undisputed Championに文句の付け所があるとしたら、その正当性は問われないという一点です。
怪しい相手との決定戦や、リング上で戦わずして王位を与えられるペーパー王者でもUndisputed Championになれてしまうのです。
チャンピオン・シップ制度の絶対不可侵の戒律は「王者を倒した者だけが王者」という大前提です。
王者を倒した者だけが王者である。
その正統王者こそが、実態の見えにくい、Lineal Championです。
ほぼ全てのケースで、Undisputed Championになれば同時にLineal Championです。ジョシュ・テイラーは、その直近サンプルです。
一方で、Undisputed Champion=完全統一王者になったマイク・タイソンは、Lineal Championのマイケル・スピンクスを倒すまでその座に就けませんでした。
また、現在のランキングを見てもリゴンドーがいまだにジュニアフェザー級王者というのは、多くの人が違和感を覚えるでしょう。
「王者に勝った者だけが王者」。高潔で頑固一徹のLineal Championの理念は、当該階級での試合から遠ざかっているリゴンドーのような王者の存在を許し、いたずらに空位を作るという負の側面も持っています。
ラディカルなLineal Champion理念で王者を認定している独立組織Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)では17階級中わずか7階級でしか王者が認定されていません。
タイソン・フューリー(ヘビー級)、マイリス・ブリエディス(クルーザー級)、アルトゥール・ベテルビエフ(ライトヘビー級)、ジョシュ・テイラー(ジュニアウェルター級)、ライト級(テオフィモ・ロペス)、ギレルモ・リゴンドー(ジュニアフェザー級)、ジュニアバンタム級(ファン・フランシスコ・エストラーダ)の7人です。
「認定」という表現は適切ではないですね、Lineal Championは承認団体が恣意的に認定するものではなく「王者に勝ったものが王者」という誰にでもわかる理屈です。
空位の10階級を見ると(カッコ内は最後のLineal Champion)ストロー級(1999年10月:リカルド・ロペス)、ジュニアフライ級(2011年4月:ジョバンニ・セグラ)、フライ級(2016年10月:ローマン・ゴンザレス)バンタム級(1987年3月:ベルナルド・ピニャンゴ)、フェザー級(2005年3月:マニー・パッキャオ)、ジュニアライト級(2008年7月:パッキャオ)、ウェルター級(2016年4月:マニー・パッキャオ)、ジュニアミドル級(2015年9月:フロイド・メイウェザー)、ミドル級(2021年1月:カネロ・アルバレス)、スーパーミドル級(2016年3月:アンドレ・ウォード)となっています。
バンタム級は、ピニャンゴが1987年にWBAのストラップを返上してから34年間もLineal Championが空位のままです。
ちなみに、ピニャンゴが返上したWBAは六車卓也とアサエル・モランの間で決定戦が行われ、パナマ人を鮮やかに沈めたエンドレスファイターがベルトを巻きましたが、もちろんそれはLineal Titleではありません。
そして、バンタム級のUndisputed Champion=完全統一王者はエデル・ジョフレ(防衛8)→ファイティング原田(防衛4)→ライオネル・ローズ(防衛3)→ルーベン・オリバレス(防衛2)→チューチョ・カスティーヨ→オリバレス(防衛2)→ラファエル・エレラ→エンリケ・ピンダーと経由、ピンダーは1972年12月、挑戦者資格のないロメオ・アナヤとの防衛戦を契約したことを理由にWBCから王座を剥奪されてしまい、ここでUndisputed Championの系譜は断絶したまま半世紀が経とうとしています。
TBRBバンタム級の1位が井上尚弥、2位ノニト・ドネアですから、この二人が戦えば勝者が四半世紀ぶりのLineal Championに就きます。
そして、Undisputed ChampionにもLineal Championにもなれなかったものの〝ピニャンゴ後〟にも、バンタム級では最強と目される王者が出現し続けました。
もし、時代が少し違えば、彼らの中からUndisputed ChampionやLineal Championが生まれていたかもしれません。
そんな魅力的で少し物悲しい〝推定最強王者〟の名簿をめくっていきましょう。



コメント
コメント一覧 (3)
WBFなどマイナー団体がたくさんあるから、タイトル獲りまくっていたら、長い年月が、かかります。
日本が、なぜIBF 、WBOをみとめたのか?
元IBF 世界バンタム級王者 新垣諭 氏の存在意義
いまだに、新垣氏は、
日本の歴代王者に認めてもらえません。
(新垣氏が申請したら歴代王者に認める)の
ふざけたおまけ
リカルド ロペスも、WBO獲ったら返上したし、
WBC,WBAの統一をめざしていたとおもいます。
できるのなら、4団体統一してほしいのですが、
WBC,WBA(腐っていますが、),獲って
強い人気選手に、勝ったら、
王者 として世界に認められるのでは?
フシ穴の眼
が
しました
独自のランキングで認定しているという点ではちょっと胡散臭いですが、承認団体から離れたリング誌ベルトとかPFPみたいなものなんでしょうか。
フシ穴の眼
が
しました