WBAジュニアフェザー級のスーパー王座にブランドン・フィゲロアがルイス・ネリを7回KOで破って就きました。

しかし、このタイトルには既にムロジョン・アフマダリエフが座っています。

リング誌など海外メディアの多くは「1団体1王者」の原則から、WBAの場合は「スーパー王者がいる場合のレギュラー王者は王者として認めない」としています。

また、WBCのように「名誉」「ダイアモンド」「フランチャイズ」など特権的上位タイトルを乱立する動きについては「防衛戦義務のないタイトルは王者と認めない」という観点から、いずれも認めません。

しかし、昨年の防衛義務のないフランチャイズ王者ワシル・ロマチェンコとテオフィモ・ロペスの対戦で、マウリシオ・スライマンは「テオフィモ陣営とトップランクの熱心なリクエストに答えてフランチャイズのタイトルを賭ける」「WBCの正統で議論する余地のないタイトルはフランチャイズ」と狂言を撒き散らしました。

もし、これを認めると「マウリシオ狂言」の瞬間まで王者だったデビン・ヘイニーは突然セカンド王者に格下げ、WBAスーパー/WBO王者ロマチェンコとIBF王者テオフィモの勝者が完全統一王者=Undisputed Championの座に就くことになります。

当然、リング誌とESPNは試合に勝ったテオフィモをUndisputed Championと認めていません。

いくらなんでも大概にせぇよという話です。

さて、これだけ王者が量産されてしまうと、どのベルトが最も価値があるのか?どの団体が最も格上なのか?も五里霧中です。

まず、WBAとWBC、IBF、WBOの4団体は数あるアルファベット団体の中でも主要4団体と認められています。



…と、ここでWBAとBoxRecからスーパー王座の表記が消えました。フィゲロアはセカンド王者のまま?



アルファベット主要4団体の中ではWBCが最も多くの加盟国を抱えていますが、団体間の序列はないと考えて差し支えありません。
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そして、主要4団体のベルトを完全統一したのがThe Undisputed Championです。

日本語に訳すと、議論する余地のない王者。

つまり、他の誰も王者を名乗らせない王者、ということです。

山中慎介を「議論する余地のないチャンピオン〜」と無知をさらけ出すようなコールをする滑稽なリングアナウンサーが過去にいましたが、さすがに今は絶滅したようです。

完全統一、The Undisputed Championが究極であることは間違いありません。

ここで面倒な問題が発生します。

The Ring Magazine Champion と The Lineal Champion の存在です。どちらのタイトルもアルファベットのピースより格上です。

多くの場合、4団体統一するとリング誌王者とリネラル王者も付いてきます。

逆に言うと、リング誌とリネラル王者は何かしらのアルファベット・ベルトの所有者であるケースがほぼ100%です…のはずです。

例えば、京口紘人はWBAのピースしか持っていませんがリング誌王者、井上尚弥もIBFとWBAの2/4王者ですがリング誌王者。

しかし、ごく稀に例外が発生します。

マニー・パッキャオの出世試合、マルコ・アントニオ・バレラとの初戦。バレラは誰もがフェザー級最強と認めるLineal Champion、PFP3位でした。しかし、保持していたのはThe Ring Magazine Championのみ。アルファベットはWBCとの確執から授与を拒否していたため、一つも持っていませんでした。

パッキャオについては、バレラと全く同じケースがジュニアウェルター級のリッキー・ハットン戦でも再現されます。

しかし、日本ではアルファベット4団体しか王者と認めませんから、この2階級で王者とカウントしていません。

かたくなにアルファベット団体にこだわり、The Ring Magazine Champion と The Lineal Champion を認めようとしないのですから、非常に珍奇な組織と言えるでしょう。

ニューヨークタイムズ・CNNからリング誌まで欧米のほとんどのメディアがパッキャオを8階級制覇と認める中で、アルファベット団体に固執する日本では6階級制覇にとどまっているのは、この珍奇なこだわりのためです。
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見えないし触れない…。しかし確固とした概念があるタイトル。それがリネラルタイトルです。その真逆が、目に見えるし触れるけど、確固とした概念も矜持もないアルファベットタイトルです。

そして、この逆パターン。つまりThe Ring Magazine ChampionやLineal Championに相当する実力がないにもかかわらず、このタイトルに鎮座するボクサーが、やはり稀ですが産み落とされてしまうのです。

3団体時代にマイク・タイソンは完全統一王者=The Undisputed Championになりましたが、Lineal Championはラリー・ホームズを破ったマイケル・スピンクスのまま。

最近でも、WBA/IBF/WBOの3/4王者アンソニー・ジョシュアがヘビー級最強と目されていたのにThe Ring Magazine ChampionとLineal Championはタイソン・フューリーというねじれが発生していました。

もし、ジョシュアがWBC王者デオンティ・ワイルダーに勝利して Undisputed Champion になっていたとしても、Ring Magazine ChampionとLineal Championはフューリーのままでした。

同じように3/4王者だったゲンナディ・ゴロフキンがミドル級最強と多くのファン、メディアが認める中で、Ring Magazine ChampionとLineal Championはキャッチウェイトで戦う卑劣なミゲール・コットからカネロ・アルバレスへとリレーされていました。

Ring Magazine Championになるには王者を倒すか、18ヶ月が経過しても試合をしないなどで空位になってから決定戦に出場するしか手段はありません。

Lineal Championに至っては、その座を掴むには王者を倒す以外の方法がありません。

Lineal Championが大きく取り上げられるのはヘビー級限定ですが、ベルトが存在しないタイトルでありながら、「王者を倒した者だけが王者を名乗れる」というチャンピオンシップ制度を具現化した概念だけに厄介といえば厄介です。

1970年代までのボクシングファンは、ヘビー級王者の系譜を暗唱していました。そのことが、Lineal Championへのこだわりがヘビー級だけに残る原因です。

また、ヘビー級以外の階級では、複数階級制覇や体重超過でタイトルを返上したり失ったりすることも珍しくありません。そんな階級でLineal Championなんて言いだしたら、魔宮の中に迷路を作るようなものです。だから、誰も大きな声では言い出さないのでしょう。