私が「見るボクシング」の世界に引きずり込まれた80年代は、すでに団体分裂と階級増殖による複数王者の時代でした。

全団体統一王者、他の誰にも王者を名乗らせない、議論する余地のない王者=Undisputed Championはファンにとっても最も尊敬できるスーパースターでした。

Undisputed Championのステイタスは、階級の増殖は低下リスクですが、より多くのベルトをコレクションしなければならないことになる団体増加は上昇要素になるように見えました。

しかし、4団体時代はUndisputed Championの地位ですら引き下げてしまっているのが現実です。

どの団体のランキングも我田引水のフェイクに成り下がり、世界王座が量産される現状は気軽な複数階級制覇を容易にしたばかりか、そのための王座返上はもちろん、多くのボクサーが体重超過などによる王座剥奪も厭わないなど、もはやその権威は地に堕ちています。

散逸した世界王座のピースそのものの価値が暴落しているのですから、コンプリートしたコレクションにかつての輝きがないのは当たり前です。

数年前に立ち上がった〝詐欺団体〟WBSSはUndisputed Championを生み出すためという大義名分を掲げましたが、手掛けた階級は米国で関心の低い階級ばかりの不人気トーナメントでした。

WBSSの悪戦苦闘は「現代のUndisputed Championとは?」という命題にをわかりやすい答えを提示してくれています。

「現代のUndisputed Champion」とは「(WBSSでも手が出せる)不人気階級の(WBSSのウソ報酬にも引っかかる)不人気選手が目指すもの」程度なのです。※もちろん、井上尚弥ら例外はあります。

しかし、ボクシングがスポーツだとしたら、Undisputed Championが最も尊敬されるべきであること、人気階級やスター選手が優先的な興味を示さない現実はスポーツとして間違っています。

井上が完全統一する前提でのバンタムや、記録的な興行になるヘビー級、米国の花形クラスであるウェルター級でUndisputed Championが誕生するなら、ボクシング界のメインストリーム、腐った潮目が少しは変わるかもしれません。



◉クルーザー級◉
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実はイベンダー・ホリフィールドの時代から好みのクラスです。

WBSSに対して散々非難してきましたが、ファーストシーズンのクルーザー級は唯一「公約」を果たしただけでなく、非常に面白く見ることができました
。

【可能性】バンタム級がメジャーな国が極東に存在するように、クルーザー級がメジャーな国がバルト海に存在します。

ラトビアの国民的英雄マイリス・ブリエディスは「第二回WBSSクルーザー級トーナメント」の優勝者。初回でUndisputed Championとなったアレクサンダー・ウシクとは違い、現在はリング誌とIBFのベルトをキープする元警察官のラフファイター。

残る3つのストラップはWBA=アルセン・グラミリアン、WBC=イルンガ・マカブ、WBO=ローレンス・オコリーが分け合っています。

米国と日本では関心が低いクラスながら個性的な巨人が群雄割拠、ユニエル・ドルティコスは結構お気に入りのキューバ人です。

【価値】ウシクのヘビー級転向で再びベルトが分裂したとはいえ、WBSSがシーズン2でもこのクラスを手がけたことは多くのファンを失望させました。

「クルーザーのラトビア」 が「バンタムの日本」に匹敵する金脈であり、ビジネスとして取る組むのも当然です。

それにしても、ラトビア寄りの裁定が目立ち、興醒め感は否めません。

そして。やはり日本のファン目線では〝ヘビー級の日陰階級〟のままです。

優秀な選手同士の試合は面白いのですが…それはどこの階級でも同じとはいえ、クルーザー級には迫力もスピードもあります。

ブリッジャー級が定着すると〝日陰階級〟のババ〟をブリッジャーが引くことになり、クルーザーはヘビー級のシャドウから多少は解放されるかもしれません…。