Uncasville, Connecticut (Showtime)
12 rounds – bantamweights

王者ノルディーヌ・ウバーリがノニト・ドネアを迎えるはずだったWBCバンタム級タイトルは、ウバーリが新型コロナ感染で離脱、エマヌエル・ロドリゲスが代打に抜擢された王者決定戦がセットされますが、今度はドネアが感染(再検査で陰性)。

ようやくマッチメイクされたのは「ロドリゲスvsレイマート・ガバリョ」というWBC暫定のベルトを争う、当初とは全く違うカード。

ロドリゲスは「タイトルがステイクされることになったのは素直に嬉しい。ガバリョはドネアよりも攻撃的だが、防御に欠点がある。それでも無敗のフィリピン人は簡単な相手ではない」と気を引き締めています。

二転三転する対戦相手、日程に翻弄されたのは、ホセ・ベラスケスからファン・カルロス・パヤノ、そしてロドリゲスに落ち着いた〝Assassin〟の渾名を持つ24歳のフィリピン人にとっても同じです。

「対戦相手の変更など不測の事態が起きることは、この状況下では想定内。ロドリゲスの名前も(共同プロモーターのMPプロモーションズから)聞いていた。舞台がメインイベントで世界戦にステップアップしたことは、私のモチベーションにとってプラスでしかない」(ガバリョ)。
rodriguez-gaballo (3)

日本時間の今日未明に行われた前日計量で、両者ともに117.6ポンドと0.4ポンドアンダーの同じ体重でクリア。

世界的には全く無名のガバリョは「ゼネラルサントス出身(事実は車で20分の隣町)」「MPプロモーションズ」「ネクストパッキャオ」という、米国のボクシングファンでもわかる〝パッキャオのキーワード〟を並べて紹介されていますが、その実力は懐疑的に見られています。

誰でもかれでも〝ネクストパッキャオ〟って付けるのは、もうそろそろやめたほうがいいです。それをいうと、ロドリゲスも〝プエルトリコのマニー〟ですが。

そのガバリョ、ジュニアフェザー級でWBCアジア、バンタム級ではWBA暫定のタイトルを手にしていますが、どちらも決定戦。

WBCアジアは対戦時で11勝14敗のメイコット・コンピュトは負け越しの数字を17勝27敗まで〝伸ばして〟いるB級クラブ・ファイター。

2018年3月に獲得したWBA暫定は、当時無敗のステフォン・ヤングから3ラウンドにダウンを奪っての判定勝ちですが、相手はあのヤングです。

つまり、23戦全勝20KOという数字には、全く中身がありません。

一方のロドリゲスは、王国プエルトリコで期待のホープ10人に数えられたこともある元IBF王者。山中慎介にノックアウトされたアルベルト・ゲバラを大差判定で下し、タイトルは英国のポール・バルターからやはり大差判定でもぎ取りました。

バルター戦は初回に2度のダウンを奪いながら仕留めることができませんでしたが「初のタイトル獲得に慎重になった」と好意的に見られていました。

しかし、初防衛戦のジェイソン・マロニーで「世界基準ではパンチがない。動きが読まれる」と評価は一転。

不利予想で〝挑戦〟した井上尚弥戦も第1ラウンドの動きは良かったものの、2ラウンドでストップ負け。2度目のダウンでセコンドの「立て!」の指示に首を降る様はメディアやファンを幻滅させてしまいます。

さらに、昨年11月23日のWBC王者決定戦では体重超過を犯したルイス・ネリとの対戦を拒否。

このブログでも「ネリ側の交渉を受け付けなかったロドリゲスは当然」と書きました。しかし、それはあくまで〝スポーツ〟一般論です。

こっちがAサイドならそれでも問題ありません。

しかし…。

①超過体重は1ポンド、②試合のAサイドは圧倒的にネリ、③ShowTimeのPPVイベント「デオンティ・ワイルダーvsルイス・オルテス」の前座という3点を〝ボクサー〟として考えるなら何があっても受け入れるべきでした。

マニー・パッキャオ陣営や、チーム・カネロに取り入り、パッキャオやワイルダーのメガファイトの前座に出場、バンタム級では本来ありえない報酬を手にするようになっていたネリは、1ポンドの体重超過で対戦を断る相手ではありません。

このときの報酬もネリは30万ドル、ロドリゲス7万5000ドルと元王者に何のリスペクトもない設定でした。ネリに人気があるならまだしも、そうではないのです。ファイターのプライドに火がつかなかったのでしょうか?

メディアも「王者側でも譲歩する例が普通にあるのに、たった1ポンドの超過でBサイドが交渉のテーブルにも着かないのは異例」と批判、ファンは「ヘタレならボクシングやめろ」ともっとあからさまに糾弾しました。

もちろん、ロドリゲスは何も悪いことをしていません。悪いことしたのはネリの方です。

しかし、不条理が大手を振ってまかり通るのがボクシングの世界です。カネロのキャッチウエイトや当日リバウンド制限は〝事前了承済み〟の体重操作です。それでも、カネロの前には対戦を希望するボクサーが行列を作ります。

規模は違えど、同じことです。

ロドリゲスは〝スポーツマンとしてまともな行為〟を行っただけで、批判や罵詈雑言を浴びるのは御門違いです。

そう、その通りです。ただし、それは〝スポーツの世界〟なら、の話です。



ーーネリは今年9月に、ShowTimeのPPVイベントにチャーロ兄弟の前座で出場しWBCジュニアフェザー級王者になりました。




今回の試合は、ロドリゲスに与えられた贖罪のチャンスです。チキンでもヘタレでもないことを証明する力強いファイトが見せれるのか?それとも、やっぱり…?

オッズはロドリゲス4/6(1.67倍)、ガバリョ6/5(2.2倍) 。

世界レベルではパッとしないロドリゲスですが、経験値は買われてると見ているのか、それとも底の割れたロドリゲスよりも未知数のガバリョに勝機があると踏んでいるのか。

ウィリアムヒルではガバリョのノックアウトが4倍、ロドリゲス5倍。KO決着ならフィリピンの暗殺者が評価急落のプエルトリカンを破壊する方に微妙ながら傾いています。

いずれにしてもオッズも予想も拮抗しています。 

未知数のAssassinと、悪い意味で評価の固まったロドリゲス 、衝撃的な結末が待っているかもしれません。