ボクシングほど、対戦相手の質を考慮しなければ選手評価を大きく見誤ってしまうスポーツはありません。

かくいう、ゲンナディ・ゴロフキンもその一人です。完全無欠のKOを積み重ねながらも「強豪とは戦っていない」という疑惑を常に突きつけられていました。

ダニエル・ジェイコブスに連続KO防衛を止められてから、カネロ・アルバレスとの2戦、セルゲイ・デレビャンチェンコ戦、やっと訪れた強豪との対戦は私たちの期待通りの内容・結果ではありませんでした。

「劣化する時期を窺ってたハイエナのような強豪がようやくゴロフキンに接近してきた」というのは、半分正解ですが、半分間違いです。

その「劣化版」でもバーネス・マーティロシュヤンやスティーブ・ロールズらは全盛期よろしく粉砕しているのですから。

そして、世界ミドル級の最多防衛記録「21」をマークした今日の試合も出色でした。
boxing-Golovkin-Result14
キャリア最長の440日のブランクが、激闘続きのダメージ回復にプラス作用したのかもしれません。

しかし、冷静に考え直すと「激闘」の原因は「強豪」相手でした。

今日の相手がカネロ・アルバレスやジャモール・チャーロら「強豪」だったなら〝440日効果〟もありる仮説ですが、一方的に痛めつけたのはカミル・シュレメタです。

この試合では「まだGGGは格下にはめっぽう強い」という〝マイク・タイソン性〟の再確認しかできませんでした。

スローでノーパンチのポーランド人なら、村田諒太でももっと早く仕留めてたかもしれません。
Punch Stats
PUNCHESGOLOVKINSZEREMETA
Total landed22859
Total thrown554327
Percent41%18%
Jabs landed9410
Jabs thrown317192
Percent30%5%
Power landed13449
Power thrown237135
Percent57%36%
-- Courtesy of CompuBox 

アベル・サンチェスを解雇して新たにトレーナーとして迎えられたジョナサン・バンクスは「間違った指導でゴロフキンはone-trick pony(融通の利かないボクサー)にされていた」「彼は決定的なKOパワーも持っているが、本来は美しいボクサー。私たちはそこに回帰するだけで良かったんだ」と語っていました。

 I wanted to open back Pandora's box.

「(世界中のボクサーが恐怖していた)パンドラの箱をもう一度開けたい」。

一度閉じられたパンドラの箱は、2度と開くことはありません。剥ぎ取られた魔法のガウンをもう一度羽織ることが出来ないように…。

それとも、その肉体にクロンクの血が流れるバンクスは、奇跡を起こすステッキを握っているのでしょうか?



そういえば、セミファイナルで〝ネクストGGG〟アリ・アフメドフがカルロス・ゴンゴラに8−1のオッズを引っくり返されて最終回逆転負け。年間最大番狂わせの賞レースに名乗りを挙げました。

「中谷vsベルデホ」は一歩後退かな。