日本の中谷正義がフェリックス・デルベホを9ラウンド1分45秒でノックアウト。

空位のWBOインターコンチネンタル・ライト級タイトルがステイクされていましたが、全くどうでもいい話です。

この試合は、同じトップランク傘下のテオフィモ・ロペスとの出世争いに大きく遅れをとったデルベホにとって、絶対に負けられない崖っ淵の戦いでした。

テオフィモが大苦戦した中谷を鮮やかに粉砕すれば、来年前半にもカリブのスター対決が実現するはずでしたが…。
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「バターのように滑らかなテクニック」&「天から降りてきた虹の才能」vs「頑強極まる鋼鉄の顎」&「不撓不屈の精神力」が激突したとき、砕け落ちたのは前者でした。


一方で、もう一度躓くようなことがあれば、多くのメディアが書き立てているように「トップランクはベルデホのスター路線を解除する」ことになります。

プエルトリコのダイアモンドにとって、敗北は〝ボクサーとしての死〟を意味する大一番でした。

オッズはアバウト1−2と「やや不利」 とはいえ、ほとんどの予想は「スピードとテクニックで上回り、初黒星から4連勝と立て直してきたベルデホの中差判定勝ち」。

中谷にとっては引退、1年5ヶ月のブランクから帝拳移籍の第1戦。ベルデホと比べたら敗北の重みは大きくありません。

それでも、勝利への飽くなき執念を見せたのは中谷でした。

トップランクの青写真、米国ファンの台本にはプエルトリコのダイアモンドがロペスを泣崩れさせた〝一発屋〟の日本人を鮮やかにストップして、もう一人のカリブの人気者との決戦に向かうはずでした。

しかし、台本通りに物語が進んだのは6ラウンドまで、
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「集中力が持続しない」「スタミナに不安がある」…ベルデホに指摘される短所は「打たれ弱さ」以外は、ボクシングに全身全霊を賭けていない、単純に厳しい規律をもって練習していないという自業自得の帰結に見えてきます。

アマチュア時代から米国のプロモーターが争奪戦を繰り広げたのは、プエルトリカンという血統書だけではありません。

今日の中谷戦でも非凡な才能は随所に見せました。

Top Rank, the promoters for Verdejo, are going to need to make a decision on whether it’s worth it to keep him with their stable or cut their losses and given up on the idea of turning him into a star. It’s obviously not going to happen. 

トップランクはベルデホのスター路線を継続するのか、それともここで諦めるのかという決断を迫られている。ベルデホがスターになるーーそれはもはや叶うことがないことが明らかになったが。


確かに、負け方は悪過ぎました。逆転負けを喰らうにも、あまりにも淡白でした。もっと足掻かなきゃいけないんです。

それでも、実は「絶対に負けられない戦い」なんて無いんです。 

ロベルト・デュランはメガファイトを途中で投げ出し、マニー・パッキャオは世界戦で体重超過を犯しました。二人ともボクサーとしては最低の試合をキャリアに刻んでしまいました。

しかし、石の拳のノーマスは何故か今では伝説(偉業)扱い、未来のパックマンの汚点は誰もが忘れています。

これからベルデホが復活して、世界王者に就くことは絶対に無いとは誰も言えません。

今日の中谷が序盤で喫した2度のダウンのように、ベルデホの絶望的に見える二つの黒星も劇的なキャリアを演出する舞台効果になるかも知れません。

リングの上では何だって起きます。どんなことでも起こせるんです。
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↑CompuBoxって見にくいんですよね、色使いとか字体が。なるべく、ESPNやリング誌の見やすく加工されたものを引っ張ってますが、見当たらないので。


I'd like to see Stevenson wait for Lomachenko.(ESPN:キャメロン・ウルフ記者)

ボブ・アラムがこの興行で描いた絵面は「シャクール・スティーブンソンのライト級への助走」でした。

米国で最も贅が集まるウェルターのカードをテレンス・クロフォード1枚しか持たないトップランクにとって、有力なタレントを抱えるライト級は最後の生命線です。

テオフィモ・ロペスをスーパースター候補にスタンバイさせることに成功した今、その周りにいかに〝絵札〟を並べるかがプロモーターの大仕事です。

「史上最高のテクニシャン」ワシル・ロマチェンコと、「ロマに五輪で敗れた雪辱の物語を持つ」ベルデホ、そして「ネクスト・メイウェザー」シャクール。

そんなロペスを核にしたライト級ウォーズのシナリオを、中谷がビリビリに引き裂いたのです。

すでに中谷はロペスに対する〝ジョーカー性〟を発揮しています。トップランクは、ロペスvs中谷2を簡単に用意する気はないでしょう。

タイソン・フューリーというロペス以上のエースを持つとはいえ、契約関係は脆弱。ロペスが中谷に負けてしまうと、トップランクの手元に残るカードはウェルター級なのに不人気クロフォードの一枚だけ。

トップランクにとってロペスが日本人に負けることは悪夢です。

「ロペス2」を望むメディアやファンを無視して、中谷に厳しいマッチメイクを突きつけてくるかも知れません。ここは、帝拳には絶対に遠回りはさせて欲しくないです、妥協しないで、次はロペス!です。

世界戦ではないことから、今日のスポーツニュースでもほとんど触れられていませんが「ボクシングのメッカは米国」という点で、中谷は井上尚弥はもちろん、村田諒太も凌ぐ、鮮明な狼煙を打ち上げました。

来年、中谷がマジソン・スクエア・ガーデンのアリーナのリングでメインを張り、FOXがPPVで全米生中継する。これ、もはや夢とか、あと1試合勝てばという段階を越えています。

ロペス人気に乗っかる形とはいえ、ロマチェンコもホルヘ・リナレス戦でしか上がれなかったMSGのアリーナです。

「ロマvsリナ」はチケットの売れ行きが芳しくなく上階席封鎖。

ロペス父やファンから「人気がないならおとなしくシアター(5000人キャパ)でひっそりやってろ」と揶揄されたのを歯がゆく思ってましたが、今度は傲慢なロペス父をアリーナでしっかり号泣させてやりましょう!