IOCのトーマス・パッハ会長がBBCのインタビューで東京2020について「来年開催が無理なら中止」と〝再延期〟はしないと明言しました。

五輪開催延期の決定のプロセスを見るまでもなく、当事者は最悪のケースを想定しません。

もっと正確に言うと「当事者は最悪のケースを覚悟していたとしても、それを口にすることをギリギリまで引き延ばします」。

そう考えると、バッハ発言は「最悪のケースを現実として受け入れざるをえない段階」だという赤信号とも捉えられます。

考えたくはありませんが、バッハは「1年2カ月後のことなど誰もわからない」とも言いました。

バッハのトーンから「1年2ヶ月後には五輪開催が可能なレベルまでパンデミックが収束している」という希望のニュアンスとは逆の見通しを持っていることは明らかに伝わります。

もし、五輪中止となると東京は二度の中止に泣いた史上初の都市になってしまいます。
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この美しい新国立競技場は歴史上、最も悲劇的なスタジアムになってしまうかもしれません。

それにしても、オリンピックの存在意義とは何でしょうか。 

古代オリンピックが理想とした平和の祭典を復興すべく1896年に始まった近代五輪は、第2回パリ1900では万国博覧会の前座イベントの扱いでした。

そもそもスポーツのステイタスは曖昧で、アスリートが現在のように尊敬されるのはずっと後世になってからです。

オリンピックが〝万博の前座〟〝びっくり人間ショー〟から脱却できたのは、皮肉にもその発祥の理念である平和の祭典とは真逆の「国威発揚」の手っ取り早いツールとして見出されたからでした。 

ベルリン1936はその集大成で、このときの国威発揚のコンセプトは現在まで受け継がれています。

米ソの冷戦からのボイコット合戦、そしてロスアンゼルス1984から鮮明になった商業オリンピック。

 現代オリンピックとは何かを10文字で簡潔にそして的確に書け。ーー簡単な問題です。

「IOCの承認ビジネス」です。

「招致ビジネス」「誘致ビジネス」でも正解です。

そうです。ラスベガスのカジノ&リゾートが招致フィーを支払ってメガファイトを誘致するプロボクシングの仕組みと全く同じです。

しかも、ご丁寧なことに腐臭が鼻に突く怪しげなアルファベット3文字団体まで、ボクシング同様にしっかり登場してくれます。

「東京」が1964と2020で、五輪を迎える国民の高揚が全く違うことから読み取れるように、五輪は間違いなく〝斜陽ビジネス〟です。招致合戦も20世紀末の狂乱からは完全に覚めてしまいました。

見た目の市場規模こそ右肩上がりですが、それは市民レベルの温度が企業に伝わるまでの時間差の問題だけです。

新型コロナの感染問題がなくても、企業は未来の五輪へ莫大な投資をすることを再考しています。

もちろん、アスリートにとって五輪は最高の舞台です。

そして、国威発揚の道具に過ぎないとしても「国旗が縫われたユニフォームを着る誇らしさと重圧は、自分のために戦う四大大会とは全く違う感動と喜びだった」(シュテフィ・グラフ)というのもよく理解できます。

たとえIOCがWBAやWBCよりも遥かに腐った団体でも、招致を巡ってカネまみれの醜いロビー活動が展開されようとも…世界中のトップアスリートが心と技を研ぎ澄ましてその舞台で真剣勝負するという一点だけでオリンピックには大きな意味があり、スポーツファンは最高峰の真剣勝負に耽溺するのです。

しかし、それにしてもオリンピックは巨大になり過ぎました。生々しい誘致ビジネスに成り下がりました。

グラフらの気持ちはわかりますが、テニスやサッカーのようなメジャースポーツはオリンピックにとっては贅肉です。IOCが種目に組み入れたい気持ちはよーくわかりますが、要りません。ゴルフも野球も要りません。

それどころか、こういう機会にオリンピックなんて緩やかに廃止していくのがベストだとも思います。

国威発揚も国の威信も全く興味がない私ですが、オリンピックが無くなることでマイナースポーツの息の根が止まるような事態は受け入れられません。

現代オリンピックの意義は「トップアスリートの真剣勝負」です。もっと、極言すると「マイナースポーツの夢舞台〝メジャー〟舞台」です。

オリンピックは無くなって構いません。ただ、マイナースポーツが輝く舞台は残さなければならない、絶対に。

もっと具体的に言ったらIOCを解体して、超コンパクトな古代オリンピック(オリンピック・クラシック)をアテネ固定で開催するとか、それこそ環太平洋でしか人気のない野球・ソフトボールなら日本と韓国、台湾でオリピック・クラシックを持ち回り開催するとか。

一体、何が出来るのかはわかりませんが、五輪にかける数%のコストでマイナースポーツの特別な世界選手権は開けます。

五輪だからスポンサーがつくのであって、マイナースポーツの世界選手権に巨額の資金を提供する企業はない…そうかもしれませんが、だからといって超ボッタクリのIOCと米国が牛耳る現代オリンピックの仕組みはどこかで壊すべきです。

オリンピックの腐敗ぶりを目の当たりにしてしまうと、ボクシングはスケールが小さいだけまだマシかなとも思ってしまいます。

一晩で何十億円も稼ぐボクサーがカネロ・アルバレスにアンソニー・ジョシュアにマニー・パッキャオ、タイソン・フューリー、デオンティ・ワイルダーと5人も抱えて、ウェイティングサークルには引退したはずのフロイド・メイウェザーがこれ見よがしに素振りを繰り返しています。

確かに、ボクシング界は全体市場の凋落は決定的です。しかし、ヒーロー量産主義と公明正大のカツラを被ったオリンピックとは対極の、開き直った不平等・不公平のスーパースター個人主義です。

ああ、どっちもどっちですが、まだボクシングの方が闇は浅いですね。

闇の深さ不等式では、IOC>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>WBA≒WBC≒ IBF≒ WBO な感じですかね。

アルファベット団体の中では、ボクシングの承認団体の悪徳性は意外なほど低いかもしれません。