この忌々しいパンデミックが終息したとしても、すくなくとも数年は以前と同じスポーツシーンが戻ることはないでしょう。

そして、高騰を続けてきたプロアスリートの収入にも変化が起きるとみられ、メジャースポーツではすでに「収入カット」が始まっています。

Yahoo!Sports によると、物価変動を補正して考えても、ベーブ・ルースの生涯収入はわずか16億4000万円。1931年のルースの年俸は8万ドルで、これは現在の貨幣価値で130万ドルです。

これでも当時のルースの収入は超破格でした。しかしその超破格の金額は2020年シーズンを3600万ドルで契約したニューヨーク・ヤンキースの後輩ゲリット・コールの30分の1に過ぎないのです。

この90年でプロアスリートが手にする報酬は加速的に増加してきました。

NBAやNFL、 NHLでは人気チームが資金力にものを言わせて有力選手を集めて戦力の不均衡を招かないようサラリーキャップ制度を導入していますが、プール資金の減少を受けてNBA選手会は25%カットに合意しています。

パンデミック終息後も、以前と同じように観客を入れることは難しく、各リーグの収益が落ち込むのは避けられず、少なくなったパイを個々の選手の成績によって報酬を分け合うことになります。

しかし、プロボクサーの場合は少し事情が変わってきます。

このスポーツでは、素晴らしい技術を持ったボクサーが、それに見合う報酬を得ることが出来るとは限らないのです。

ボクサーの純粋技術を評価する一つの目安PFPランキングで、ファン・フランシスコ・エストラーダはマニー・パッキャオよりも上ですが、その報酬は100分の1にも届きません。

ボクシングでは人気が最優先されます。

もちろん、全く技術を伴わなければ評価されませんが、ボクシングでは「10勝投手」が「20勝投手」よりも遥かに高額の報酬を得ることが珍しくないのです。

米国のボクシングは低視聴率にチケット販売不振、PPVスターの不在と経済的に窒息死寸前です。パンデミックの影響で、イベント再開後はゲート収入も激減するのは確実です。

「全く人気のない20勝投手」の典型テレンス・クロフォードは、ボブ・アラムが必死に売り出したにもかかわらず、地元のネブラスカ州オマハではなんとかファンを集めることができていますが、主要都市では全く集客力がありません。

昨年、人気者アミール・カーンとの試合はPPVで15万件(×@70ドル=1050万ドル)を売り上げましたが、15万セールスは選手報酬にもよりますが損益分岐点。しかも、事実は10万件程度とも言われています。

アラムはクロフォードに500万ドルを最低保障、完全な赤字興行になりました。今回のPPVはクロフォードにとって2回目(初回はビクトル・ポストル戦でわずか5万件販売=この数字も〝盛っている〟と言われています)で「最終試験」(アラム)でした。

クロフォードの不人気は深刻で、アラムは「コナー・マクレガーとボクシングMMAの2試合マッチ」を提案するなど、今の報酬を要求するならボクシングでは使えないと見切りをつけています。

クロフォードは「パッキャオや他の王者が逃げている」と嘆きますが、そりゃこんな貧乏神、誰だって関わりたくありません。やるなら身の丈にあった低報酬を飲むしかないのに、馬鹿だからわからないのです。

「コロナが終息したら通常以上の報酬を要求する。私のレベルのボクサーが健康リスクを冒してリングの上がるのだから、それだけの価値がある。今までも逃げるパッキャオの何十分の1の報酬で我慢してきたが、それすらも減額するなんて受け入れられない」。

数日前に「新型コロナは大したことない、ただの風邪」とステイホームに応じないと啖呵を切った同じ口で、人気と報酬が最も乖離したプロとして恥ずかしいボクサーがのたまうのですから、もう笑うしかありません。

是非、マクレガーとやって欲しいですが、マクレガーも逃げるかもしれません。
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そして、人気はないけどプロモーターが売り込んで不釣り合いな報酬を得ていたクロフォードは間違いなく減収を強いられますが、カネロ・アルバレスやアンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリー、マニー・パッキャオはほとんど収入が変わらないでしょう。

ステイホームが追い風になって、PPVスターの報酬はむしろ上がるかもしれません(DAZNのカネロもPPVに乗る計画もあるようですが、二重取りになります。許されるんでしょうか?)。

クロフォードが1000万ドルレベルの報酬を得たいなら、PPVを最低30万件は売るしかありません。人気が出て貧乏神でなくなれば、ビッグネームは向こうから寄ってきます。