4月25日 ネバダ州ラスベガス マンダレイベイ リゾート&カジノ 

IBF/WBA王者・井上尚弥vsWBO王者ジョンリール・カシメロ

バンタム級3団体統一戦。この試合の勝者が The Undiputed Champion、議論する余地のない王者へ王手をかけることになります。

The Undiputed Champion は強いチャンピオンを指すボヤッとした表現ではありません。「議論する余地のない」、つまり「他に世界王者を誰も名乗れない」状況を二つの拳で作り上げた本物のチャンピオンのことです。

少し前まで、日本のリングアナウンサーやメディアが「議論する余地のない王者」と浅はかに使っていましたが、あれは大間違いです。ようやく気付いて最近は控えているようですが。

現在では主要4団体のタイトルをコンプリートした王者が The Undisputed Champion です。

普通は4団体のピースを集めれば、リング誌の王者にも認定されます。

第5勢力のIBOをはじめマイナー団体も存在しますが、現在では主要4団体のタイトルをコンプリートすることをもってThe Undiputed Champion=議論する余地のない王者と認めることに異論はないでしょう。
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1団体8階級時代に世界王者となった白井義男はもちろんThe Undisputed Champion です。

議論する余地のある王者、つまり a champion がひしめく「4-Belt & 17 Division  Era (4団体17階級時代)」の32年の歳月でThe Undisputed Champion はバーナード・ホプキンス、ジャーメイン・テーラー、テレンス・クロフォード、オレクサンダー・ウシクのたった4人しか産まれていません。

一方で、WBOが創設された1988年以前、4階級制覇は前の年の1987年に達成したトーマス・ハーンズただ1人でしたが、その後の32年間で21人が4つの階級で世界王者となりました。

この2年間では5人( マイキー・ガルシア/ドニー・ニエテス/井岡一翔/カネロ・アルバレス/レオ・サンタクルス)が超人ヘンリー・アームストロングですら不可能だった4階級制覇の難事業をやってのけているのです。

そして、1970年代までは4人しかいなかった偉大さの証明、3階級制覇は55人がそのリストに名前を連ね、この5年間では13人が達成しました。2018年は井上尚弥ら5人が3階級制覇、もはや月間行事に向かって突き進んでいます。

日本人だけでも2010年の亀田興毅から約10年で5人が3階級制覇、もはや偉大さを測る物差しとして意味をなさなくなりました。 

この「王者の大安売り」が続いている最大にして唯一の要因は 4-Belt & 17 Division  Era です。

WBAのヒルベルト・メンドサJr.も、WBCのマウリシオ・スライマンも、IBFのも誰もが「世界王者は多すぎる、乱発を控えて減らさなければならない」と口を揃えていますが、彼らの生業が承認事業である限りそれが実行に移されることは永遠にありません。

自動車メーカーに車を作るな、というのと同じです。

「世界王者を作りたい」承認団体と、「世界王者になりたい」ボクサーが溢れているのです。

4-Belt & 17 Division  Eraが量産した最大のヒット商品は世界チャンピオンです。この32年間でどれだけ売れたのか、何人の世界王者が生まれたのか?…もはや世界中の誰も知る由がない神秘の領域です。 

承認団体がWBAとWBCに分裂した1960年代末から、対立王者を倒す形でThe Undisputed Championの座に就いた本物の世界王者は渡辺二郎、ただ1人です。

2団体時代のWBA王者・渡辺はWBC王者のパヤオ・プーンタラトを倒す1試合でThe Undisputed Champion になることができました。当時は両団体の統一戦への警戒心が強く、渡辺のタイトルはその日のうちに剥奪(当初は「統一戦のリングに上がった時点で剥奪」と報じられていましたが、現実の剥奪指令は試合後で、短い時間でしたが渡辺は間違いなくThe Undisputed Championでした)。

世界王者になること、そのタイトルを防衛すること、複数階級制覇をこなすこと、あらゆる世界戦が安易になった4-Belt & 17 Division  Era ですが、どの時代よりもはるかに困難な事業がたった一つだけ存在します。

The Undisputed Championになることです。

白井や原田がたった1試合、渡辺が2試合で手に入れた「議論する余地のない王者」。

4-Belt & 17 Division  Era でこの座を獲得するには、統一王者に勝つタナボタを除くと最低でも4試合を要することになります。

醜悪な4-Belt & 17 Division  Eraで唯一残された聖域。この時代を代表するパックメイでも一度も成し遂げることの出来なかった、厳かで神々しい大仕事に井上尚弥が挑みます。

現在、IBFとWBAをコレクションした井上に足りないピースはあと二つ。WBO(カシメロ)と WBC(ノルディーヌ・ウバーリ)です。

まずはWBO、フィリピンの喧嘩屋を片付けるまで、あと73日!