先日はプロボクサーの階級別競技人口(BoxRecによる)を世界で見てみました。

私も久しぶりの確認で、いつの間にかウェルター級も2000人割れ、競技人口はジリ貧傾向にあるようです。

きょうは日本の17階級も観測してみます。赤字が日本の数字です。

※「世界」は先日の数字、「日本」は今日1月18日現在の数字です。世界も今日の数字を出すべきですが、大きな変動はないはずで、誤差の範囲、何より私が出先で手間がかかるので割愛させて頂きます。

◉ストロー:202人 49人

◉ジュニアフライ:370人 75人

◉フライ:595人 88人

◉ジュニアバンタム:590人 97人

◉バンタム:788人 111人

◉ジュニアフェザー:982人 125人

◉フェザー:1258人 145人

◉ジュニアライト:1251人 110人

◉ライト:1706人 103人

◉ジュニアウェルター:1698人 59人

◉ウェルター:1785人 59人

◉ジュニアミドル:1551人 31人

◉ミドル:
1303人 34人

◉スーパーミドル:1104人 5人

◉ライトヘビー:922人 no results found

◉クルーザー:906人 no results found

◉ヘビー:1062人 5人


これらの数字から読み取れるのは、フェザー級までの軽量級で日本のシェアが10%を優に超えているということです。

経済大国でありながら軽量級への注目度が高い世界唯一の国、日本は豊饒な競技人口も抱えています。

軽量級ならほとんどの世界戦を自国開催でき、外国の王者や挑戦者も日本で戦うことに憧れています。

当然、穴王者や雑魚挑戦者を吟味できる立場にあるわけです。

大物世界王者が日本のリングに上がらない理由は報酬が高いこともありますが、勝つ見込みが少ないためビジネスとして魅力がない、下手したら赤字興業になることも大きな理由です。

かつては日本人相手に無双していても世界王者になると簡単に陥落したり、大苦戦を強いられることが多かったものですが、最近は世界戦の方を楽勝するケースも目立ちます。

長谷川穂積や山中慎介は日本人と激闘を繰り広げましたが、世界王者になると防衛のテープを悠々と二桁まで伸ばしました。

内山高志が敗北した試合を除く防衛戦で苦戦したのも、やはり2人の日本人でした。

「世界ランカーに弱いやつはいない」なんて言葉は、いまや寝言に過ぎないのです。

また、競技人口が軽量級に偏っている裏返しと、日本人の体格的な問題から、ライト~ミドルという世界のボリュームゾーンでの選手層は非常に薄くなっているのも特徴的です。

そして、フェザー級が最も多くの競技人口(145人)を擁しているにもかかわらず、世界的な成果が乏しいという現実も浮き彫りになっています。

重量級では、ヘビーとスーパーミドルにもプロボクサーを送り込んでいますが、それぞれ5人しかいません。学校なら学級閉鎖です。

ライトヘビーとクルーザーがゼロである事実から日本の天井階級はミドルと断言して差し支えありません。

その天井も竹原慎二と村田諒太がいなければ、もう一段階低いものになっていました。

驚くべき数字もあります。ストロー49人に対して、ウェルター59人、人数ではウェルーターが上回っているのです。

シェアでみるとストローは49/202(24.3%)、ウェルターは59/1785(3.3%)と分母が全く違うため、シェアで大きな差が出ていますが、歴史的に見ても日本人にとってウェルター級は突然変異のクラスではありません。

新設のストロー級で腐るほど世界王者を輩出し続けているにもかかわらず、白井義男のオリジナル8時代から存在しているウェルターには一人のアルファベット王者すら送り出せずにいる事実を偶然と考えるには無理があり過ぎます。

人数的にはストローよりもウェルターの世界王者が多く生まれていてもおかしくありません。

世界シェアから考えてもストロー級王者を7〜8人輩出する間に、ウェルター王者が1人のペースで誕生しているはずです。

米国で最も人気のある花形階級だから経済的にもコネクション的にもマッチメイクが難しい--そいう事情はあるでしょう。しかし、そんなことは些末なことで、世界レベルは高いのに日本は低いというレベルの問題が全てです。

例外はもちろんあります。ストロー級で全盛期のリカルド・ロペスやローマン・ゴンザレスに明白に勝利することは、平凡なウェルター級王者に勝つよりも至難の業です。

ジュニアフライ(重りを隠し持って計量しているので本当はそれ以下)でキャリアをスタートし、悪戦苦闘の末にフライ級で世界王者になったマニー・パッキャオは、41歳になった今、ウェルターのトップ戦線で悠々と戦っています。

だから階級間に貴賤はない--ボクシング150年の歴史で最も特異なキャラクターを持ち出して、階級間のレベル格差を語っても何の意味もありません。
Pacquiao

パッキャオのような極端過ぎる稀有なサンプルを持ち出して平均値や全体像が見えてくるわけがありません。

答えは簡単です。ストローなどの軽量級とウェルターの間には、パッキャオにしか飛び越えることが出来ない、否定しようもない巨大で深い溝があるのです。