2010〜2019年。10年区切りの各賞がボクシングのみならずいろんなスポーツで発表されています。

ボクシング界では最も名誉あるBWAAの Fighter of Decade にフロイド・メイウェザーが選出されました。

いろんな理由や御託が並べられていますが「2015年のメイウェザーvsマニー・パッキャオ、あの試合の勝者が選ばれた」ということです。

あの試合にパックマンが勝っていれば、パッキャオだったでしょう。メイウェザーが勝ったからメイウェザーです。

極論すれば、ボクシング界にとってこのディケイドはあの1試合が全てでした。

「あの試合が名勝負になっていれば、米国ボクシングは息を吹き返していた」なんて楽観論には同意できませんが、少なからず活性化はしたはずです。

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CNNをはじめ米国の大メディアが数ヶ月前からカウントダウン時計を表示するなど、ニッチスポーツであるボクシングの枠を超えた盛り上がりを見せたパックメイ。しかし、その盛り上がりは2人の銭ゲバによって見事に裏切られてしまいます。


終わった試合のことをごちゃごちゃ言っても仕方がありませんが、あの試合の裁判を開廷したいです。あれほどのイベントで、プロモーショナルツアーもしないで、慌ててでっち上げてしまった試合。

そして何よりも最悪の内容。

あの巨大な幻滅はまだ消化しきれてないので、どっから裁判していいのかわかりませんし、とりあえずは今日のテーマはのThe Highest-Paid Athletes Of The Decade(この10年間で最も稼いだアスリート)です。

ランキングはもちろんフォーブス誌から。

毎年The Highest-Paid Athletes Of The Year を100位までランキングしていますが、節目の今年はディケイドでもトップ10を発表しました。
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【注】以下の日本円換算は当時の為替ではなく120円で統一しています。当時の為替では公平な比較にブレが生じるためです。

ボクシングからはメイウェザー(9億1500万ドル=約1100億円)が1位に、パッキャオ(4億3500万ドル=約522億円)が8位に入りました。

日本がらみでは、6億4000万ドルで5位のロジャー・フェデラー。 その報酬の約半分を2018年にユニクロと10年契約した3億ドルが占めたと報じられています。他にもナイキなどと大型契約を結ぶフェデラーの選手報酬は全体の20%もありません。

カネという面だけで見るならフェデラーはテニス選手ではなく広告塔です。

この10年で超トップのプロアスリートを取り巻く環境は激変しました。

2009年に8000万ドル=約96億円以上を稼ぐアスリートはタイガー・ウッズただ1人でした。しかし、2010年以降は毎年10数人が8000万ドルを超えています。

ウッズやフェデラーのスタイル(スポンサー収入>>>>>>選手報酬)が多くのアスリートに浸透した10年でした。

彼らの超高額収入は、フェデラーのように巨額のスポンサー契約が支えているのです。 

ナイキとアディダスの2大巨人の競争激化、 DAZNなど新しい業態の誕生もこの10年で起きた大きな風です。

また、インスタグラムとフェイスブックなどのフォロワー数世界一(3億4000万人)というクリスティアーノ・ロナウド(2位の8億ドル=960億円)のようなアスリートも増えています。

ところが、メイウェザーはNYヤンキースと巨額の複数年契約を交わすチームオーナーの飼い犬でもなければ、ユニクロやナイキから目玉が飛び出るような莫大なスポンサー収入を得たわけでもありません。

同じことが、パッキャオにも言えます。

彼らは100年前のプロボクサーと同じように、二つの拳だけでとんでもないカネを稼いだのです。

このディケイドで超トップのアスリートに吹いた追い風の恩恵を全くけずに、マネーは1位、パックマンは8位にランクされたのです。

Without collecting a Single Paycheck from a team owner or an Eye-popping Sponsorship deal. 
 

もちろん、これを持ってメイウェザーが史上最高のカネを稼いだアスリートなのか?となるとそうは言い切れません。

カネの価値を変える要素は二つあります。

一つ目は時間です。貨幣価値は時代によって変わります。

現代は過去よりも破格の大金持ちが増えています。その傾向は、プロスポーツ選手においても明らかです。

1920年代、ジャック・デンプシーやベーブ・ルースは大統領よりも高給取りだと羨まれました。

トランプ大統領の国から受け取る報酬は約40万ドル、約4800万円です。10年勤めたとしても400万ドル、4億8000万円。メイウェザーの1100億円とは比べるべきもなく、10年も働いてヤクルトの山田哲人の年俸程度しかありません。

今も昔も、超トップのアスリートの報酬は大統領を凌駕する点で同じですが、現代ではメイウェザーの収入の多さを大統領と比べる感覚はないでしょう。

その点で、貨幣価値を補正してもメイウェザーはデンプシーよりも稼いだ、と言えるかもしれません。

しかし、逆に「高給取り」の代名詞として大統領が出される時代、アスリートの地位が今ほど高くなかった時代、1試合で数10万ドルのファイトマネーを手にするデンプシーの衝撃は、現代のメイウェザー以上だったかもしれません。

そして、カネの価値を決定づける二つ目。

アスリートの生活拠点です。

トップ10から生活拠点を舐めていくと、①メイウェザー(米国)②ロナウド(ポルトガル/イタリア)③リオネル・メッシ(アルゼンチン/スペイン)④レブロン・ジェームス(米国)⑤ロジャー・フェデラー(スイス)⑥タイガー・ウッズ(米国)⑦フィル・ミケルソン(米国)⑧パック(フィリピン)⑨ケビン・デュラント(米国)⑩ルイス・ハミルトン(イギリス)となります。

トップ10人の報酬を、国や地域によって大きな差が出る物価指数や平均給与をフィルターに通すとどうなるのか?

米国を基準の1にした場合、物価指数や給与水準が高いスイスは0.8〜0.7程度でしょうか。つまり、フェデラーの財産は目減りします。

欧州でも経済力の弱いポルトガルやスペイン、イタリアは1.5倍、英国でも1.2倍、そしてアルゼンチンにいたっては5倍じゃ済まないでしょう。

スペインとアルゼンチンを生活拠点にするメッシの7億5000万ドルは相当に増えます。間違いなくメイウェザーを凌ぐでしょう。

そして、そして真打登場です。パックマン。

フィリピンのフィルターはアルゼンチンどころではありません。

パックマンの収入のほとんどは米国で稼いだものですから5割以上の税金が課せられます。それを考慮しても、フィリピン・フィルターにかけると圧倒的な実質1位と言えるかもしれません。