正月気分が抜けないうちに…なんて始めたシリーズが2月になっても終わりません…。

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パッキャオが見た風景。

井上尚弥は「それ」が見たいと語りましたが「それ」が何であるかは本人も消化しきれていないのかもしれません。

もちろん、だからこそ「見たい」のでしょうが…。
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…大上段からハッタリをかましてばかりの私としては、真面目な語りはあまりしたくはありませんが…。

ボクシングの魅力は、150年の歴史によって研磨された二つの拳で、他のスポーツではありえない高尚な野蛮に耽溺できることです。

そこには、素晴らしい勇気を見せてもらったという、快感しかありません。

「欧米では小さなバンタム級は見向きもされない」「卑屈な減量の鎖を断ち切って最も稼げるウェルターに乗り込むパックメイが偉い」…。

「スポーツには貴賎があるように、ボクシングの階級にも貴賎がある」。

…そんなことを書か散らしてきましたが、当たり前ですが、スポーツの素晴らしさ、その源泉は感動です。

感動に貴賎などありません。

ましてや、TVモニターで観る分には軽量級の試合の方が面白いのですから。

そして、ボクサーにとってはそんな感動を1人でも多くの人に届けてボクシングファンを増やしたい、そう思うのが当たり前です。

しかし、米国ボクシング界は目先の利益に目が眩み、クローズドサーキットからPPVという高額な視聴料を支払うマニアを囲い込む……そんな当たり前じゃないやり方で、一握りのプロモーターと数人のボクサーを例外として、魅力的なスポーツ産業とは呼べない構造に陥っています。

半世紀以上も前から「2%のボクサーが98%もの利益を独占し、98%のボクサーが残りのたった2%を分け合う」といわれた産業でしたが、その傾向は時代と共に加速、市場は没落とマイナーの底無し沼にハマっています。

「ボクシングとイコール」とまで言われたHBOの撤退は、その象徴的な事件でした。

そして、ビッグファイトの会場もまた利益優先で、招致フィーが発生するラスベガスのカジノが好んで選ばれるのです。

パックメイに代表されるメガファイトはPPVでマニアを囲い込み、一般のスポーツファンを遠ざけています。マイナー化するのは当たり前です。

さらに、人里離れた砂漠のリングで行われるのですから、黒ミサ的なイベントの色彩を色濃くしているのは当たり前です。 

その試合をTV観戦するために100ドルも支払うマニアたちは、カルト宗教の熱狂的な信者と何ら変わりません。


日本で「ボクシングをもっとメジャーにしたい」と願う井上が憧憬する「パッキャオが見た風景」の正体が、米国ボクシングをマイナースポーツに追いやった張本人、つまりPPVとラスベガスだとしたら、何とも皮肉な話です。

しかも、PPVも招致フィーも期待出来ない軽量級として米国に乗り込むのですから二重の皮肉です。

もちろん、罪深いギャンブルシティで催される黒ミサには背徳的な魅力が横溢しているのは否定しません。

狂信的なマニアから集金するPPVも、考えてみればスポンサーやテレビ局の予算を超越して、「パッキャオのKOシーンを見たい」「メイウェザーが負けるのを見たい」と純粋に願う熱烈なファンがファイトマネーを支えるという点では、最も健康的なプロスポーツの姿かもしれません。

スポンサー収入が試合報酬を大きく上回るゴルフやテニスのスーパースターよりも、ある意味で純粋で健康的に報酬を得ている、という見方だって出来るかもしれません。

フォーブスのスポーツ長者番付で最近まで「endorsement 0=スポンサー収入ゼロ」と表記されていたメイウェザーは、非常にクールに映りました。

まあ、でもそれは詭弁です。

やはり、プロスポーツは〝黒ミサ〟であってはいけません。「マイナーでもいい」「わかる人にだけわかってもらえればいい」なんてことはないのです。

でもでもでもでも、今は井上がラスベガスで羽ばたく姿を考えるときです。

バンタム級でも日本人でも…もしかしたら、やり方はあります!続きます!


The man who has no Imagination has no Wings. 
想像力があれば空だって飛べる!