2019年の日本のボクシングシーンを振り返ると、やはり「井上尚弥の一年」でした。

エマヌエル・ロドリゲスとノニト・ドネアを倒してWBSSバンタム級トーナメント優勝。

2団体(WBA+IBF)統一とリング誌認定王者は、田口良一(WBA+IBFジュニアフライ級)以来、史上二人目。

リング誌PFPで日本人史上最高の3位まで登り詰め、世界評価で井上に残されたテーマは非常にわかりやすい一点に絞られるまでになりました。

バンタム級の井上が研ぎ澄ますのが「世界評価」なら、村田諒太はバンタム級では到底手の届かない「日本の夢」に向かって走っています。

日本が誇る重戦車は、キャリア初の不利予想の中で挑んだロブ・ブラントとの再戦は力づくの2ラウンドKO。

スティーブン・バトラーを迎えた防衛戦でもフィジカルの違いを見せつけて、ミドル級という聖域でビッグネームとのメガファイトへ夢をつなぎました。

井上と村田。この二人が抜けた2019年でしたが、世界評価の点で井上を追うのが井岡一翔と田中恒成です。

今日の大田区総合体育館。、最初にリングに上がるのが24歳の恒成。2013年11月のプロデビューから6年あまり、14戦全勝8KOのWBOフライ級王者は無敗のまま3階級制覇を達成しました。
 田中恒成トロハツ
身長164㎝163㎝
リーチ164㎝164㎝
年齢24歳26歳
プロデビュー2013年11月2015年11月
戦績14勝8KO無敗13戦6KO3敗
スタイルオーソドックスオーソドックス
「東海の至宝」として14試合中13試合(1試合は大阪)を地元のリングで戦ってきた田中は東京初見参、26歳のウラン・トロハツを迎え撃ちます。

二人とも構えはオーソドックス、体格もほとんど変わりません。年齢も2歳違い、プロキャリアも恒成が14戦、トロハツ16戦。

しかし、キャリアの内容が全く違います。ビック・サルダールやモイセス・フェンテス、アンヘル・アコスタ、パランポン・CPフレッシュマート、木村翔、田口良一、ジョナサン・ゴンザレスと強豪との対戦経験豊富な恒成に対して、トロハツはキャリアのほとんどを中国国内で無名の選手相手に積み重ねてきました。

新疆ウイグル自治区のカザフ人という、政治的にも経済的にもハングリーな環境で育ったに違いないトロハツが簡単に試合を投げ出すことはないかもしれませんが、両者の力量差は明らかです。

リング誌が「PFPは時間の問題」と評価する24歳は、その世界評価に保証書を送るようなパフォーマンスを魅せてくれるはずです。

オッズも比べるべくもないキャリアの差を反映して、恒成1/25(1.04倍)、トロハツ10/1(11倍)と大差が付いています。
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24歳で3階級制覇の恒成に続いて、メインのリングに上がるのが4階級制覇を達成した井岡です。

26歳の井上も3階級制覇ですが「5」となると、レベルが一気に跳ね上がるフェザーを制覇しなければなりません。

5階級制覇に最も近いのは「年齢」と「残された階級の難易度」で恒成、「現時点で4階級」の井岡でしょう。
 井岡一翔シントロン
身長164㎝170㎝
リーチ167㎝179㎝
年齢30歳24歳
プロデビュー2009年4月2017年4月
戦績24勝14KO2敗11戦5KO無敗1ND
スタイルオーソドックスサウスポー
その井岡の相手はハビエル・シントロン。

「ボクシング大国プエルトリコ史上初の2大会連続の五輪出場=2大会連続敗退」というどう評価していいのか微妙な看板を引っさげてプロデビュー。

空位のWBOインターナショナルのタイトルを争った江藤光喜との試合では不運なバッティングに見舞われたとはいえ、脆さを露呈。再戦では慎重なボクシングでリベンジしましたが、12ラウンド逃げ切れたのは江藤だったから。

長身サウスポーのシントロンが日本の準エースにトラブルをもたらす可能性も指摘されていますが、アストン・パリクテ(身長170㎝/リーチ176㎝)を仕留めている井岡が非力なプエルトリカンに戸惑うことは少ないでしょう。

2大会連続で完全な手ぶらで五輪から帰ってきたシントロンのアマキャリアはハリボテ、没落一方のプエルトリコ代表というだけで、プロでの経験不足を補填できるものではありません。

オッズは井岡4/9(1.44倍)、シントロン13/8(2.625倍)と、明白に有利と出ていますが、オッズには江藤との初戦で覆された判定に見られるように、プエルトリコに本部を抱えるWBOが自国のホープにどこまで忖度するかという力学も作用しています。

現実の差はオッズ以上にあるでしょう。

今度は文句無しのパンチで葬ってあげましょう。