カネロvsコバレフにワイルダー vsオルティスと世界的に大注目のメガファイト。

そして日本のファンにはたまらない井上vsドネアの死闘。

今年の11月はボクシングファンにとって熱い季節になりました。

そして、その締めくくりはカール・フランプトンとオスカー・バルデス、フェザー級の人気者がジュニアライト級デビューを果たす11月30日。

で・す・が!…バンタム級から目が離せない日本のファンにとっては英国バーミンガム・アリーナで行われるWBOタイトルマッチこそが大トリです!

王者は南アフリカのゾラニ・テテ。挑戦者は暫定王者のジョンリール・カシメロ。

英国でこのマッチアップ…。今から会場の盛り上がりが心配になりますが、軽量級ファンにとっては面白い試合になりそうな予感にゾクゾクします…。

先日のロドリゲスvsネリでも同じとこ書いてたので不吉な予感もしますが、今回は大丈夫でしょう、テテの右肩が急に痛くなるとかもないはずです。

31歳のテテは世界戦経験は6試合(4勝2KO1敗)ながら、ポール・バルターとオマール・ナルバエスという微妙な強豪に完勝。

その一方でモルティ・ムザラネにKO負け。さらにファン・ロサス、そして井岡一翔に敗れたドミンゴ・ソーサに僅差とはいえ判定負けと、打たれ弱さと限界がはっきりしているボクサーです。

神戸ポートピアホテルで帝里木下を準完封した試合も印象に残らない試合でした。

もちろん、身長175㎝/リーチ183㎝の異形のサウスポーが118ポンドで戦う誰にとっても極めてやりにくい相手であることは間違いありません。

ただ、その実力とスタイルの輪郭は誰の目にも明らかになった、31歳のバンタム級です。

アンソニー・ジョシュアを叩き潰したアンディ・ルイスJr.のような「え?こんなに強かったの?」という気付きはテテには期待できません。
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「カシメロは私よりも遥かに強い」(パッキャオ)。

一方の、カシメロ(28勝19KO4敗)はテテ(28勝21KO3敗)より1歳年下だけの30歳で、4つの黒星の中で唯一のノックアウト負けはやはりムザラネ。テテと非常に近似したキャリアです。

ムザラネが一番強い?多分そういうことです。

ウィリアムヒルのオッズはテテ4/11(1.36倍)、カシメロ12/5(3.4倍)と明白に南アのサウスポーを支持しています。

しかし、番狂わせの匂いもしますね。

テテがWBSSトーナメントを離脱したのが〝仮病〟だったのかどうかは謎のままですが、ビッグマネーへの最短距離があの「貧困トーナメント」ではなく「井上尚弥との日本での決戦」であることをはっきりと理解したことは間違いありません。

バンタム級の31歳、南アフリカ人…現在のテテの属性を考えると、人生ゲームの最後のサイコロをどこで転がすかを考えるのは当然です。

一方のカシメロは、純粋にファイトに飢えています。

「この試合には3階級制覇がかかっている。(フィリピン人では)ノニト・ドネアとドニー・ニエテスに続く偉業だ」。

MPプロモーションズのマッチメーカー、シーン・ギボンズは「カシメロは世界史上で二番目に過小評価されたボクサー」と宣伝しています。「セサール・キャンシラ、チャールズ・エドワーズ、アムナット・ルエンロン、世界的な強豪を敵地でKOしているんだ」。

敵地で強豪を番狂わせでノックアウトするボクサーはどこの国でも人気を集めるはずですが、フィリピンの場合は特殊でパッキャオによってそのハードルが引き上げられてしまったといいます。

「アラモドームでバレラを完膚なきままに叩きのめすとか、MGMグランドガーデンアリーナでデラホーヤを八つ裂きにするとか…そんなのと比べてはいけない。カシメロはこれからその道を歩むのだ」(ギボンズ)。

もちろん、世界史上一番目はMPプロモーションズの総裁です。

テテは確かにやりにくい、しかし3つの黒星以外にも、これまでのキャリアで何度も危険な場面に遭遇している穴の多いボクサーでもあります。

「あの超長距離のジャブが機能しないと、テテは途端に弱気になる。プレッシャーをかけられても弱気になる。」(ギボンズ)。

「テテが逃げるのはわかってる。もし打ち合ってくれたら?試合はすぐ終わる。ナルバエス相手でも攻め込まなかったテテは間違いなく逃げる。追い回す展開になるだろうけど、どこかで捕まえることができる」(カシメロ)というのは半分挑発でしょう。

テテが「日本で井上と戦いたい」と盛んにアピールしていることについてギボンスは「井上は我々がもらう」と断言。

「井上の防御が隙だらけで、打たれ弱いと以前から指摘してたのに誰も耳を貸さなかった。彼は弱い相手を圧倒することでその欠点を隠してきただけ。テテをKOしたら日本で井上と戦う」。

先日のドネア戦は井上のvulnerability(打たれやすさ・弱さ)を露呈したことよりも「100ドル以上のチケットを買った2万人以上の観客が詰めかけた」ことが世界に衝撃を与えました。

欧米では、軽量級のイベントに高額チケットを買った2万人が集まるなんて常識では考えられないのです。

もし米国で同じことが起きれば、間違いなく両者のファイトマネーは100万ドルを超えます。

「2階級制覇したのにフィリピンでも人気がない」と自覚するカシメロが「日本で戦いたくても誰も返事してくれない」という状況を脱するにはテテをノックアウトしてリング上で「次は井上だ!」とコールするのが近道です。 

オッズほどの実力差はないにしても、テテ有利は間違いありません。

ドネア戦がギボンズの予言通りになっただけに、カシメロが勝った方が興味は増しますが…果たして?

まー、しかし、どっちが勝っても「次は日本で井上!」とリングで叫ぶでしょう。

正直、常識的なボクシングをするテテの方がやりやすいです。何より、テテは井上と日本で戦うことがゴールと思ってるかもしれません。

とはいえ、どっちも嫌な相手です。

こっちは「ちょっとボワイヨみたいなのと1試合挟ませてくれるか?」という心境です…。