「テレビは最低につまらない」「バラエティ番組なんて最悪」と、自分がつまらなくて最悪な人間なのを棚に上げていつもほざいてる私ですが、日曜朝の「ワイドなショー」は松本人志が結構好きなのでよく見ています。

日曜日はあいにく午前中から仕事で録画して見ました。

ボクシングファンの松本が「世の中の方がイマイチ分かってくれてないのがボクは歯がゆくて」と、井上尚弥のWBSSセミファイナル快勝に対する報道の少なさやスポーツファンの盛り上がりの低さにご不満の様子なのです。
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乙武洋匡が「ボクシングでは複数階級制覇と同じ階級で防衛回数を重ねること、どちらが評価されるんですか?」というフリに長谷川穂積が「昔は防衛回数でしたが、今はいくつ階級を制覇したかです」と回答してしまいます。

いろいろ難しいところはありますが「団体と階級が増え過ぎて今は何度防衛とか何階級制覇とかよりも、誰に勝ったかが大切」「井上選手もそれをよく分かってるから、王者が集まって階級最強を決めるWBSSのトーナメントに出場しているわけです」と説明してくれると良かったんですが…。

松本人志にしても、まさか号外を出すほどの大ニュースとは思ってないにしても、どの程度の扱いなら満足だったのでしょうか。

ライバル王者に圧勝するというのは、日本ボクシング界にとっては間違いなく大ニュースです。

しかし、そのことは他のスポーツで例えるとどの程度の偉業に相当するのでしょうか。

先月の世界卓球、伊藤美誠と早田ひなの女子ダブルス銀メダルと比べたらどちらが上でしょうか?

サッカーW杯16強進出、ベルギーと互角の打撃戦を演じた日本代表とでは?

錦織圭のテニスの四大大会決勝進出とでは?

伊調馨の女子レスリング五輪4連覇とでは?

桐生祥秀の100メートル9秒98とでは?

こんな不謹慎な比較、絶対やっちゃいけませんが…。


……そう言えば、リオ五輪カヌー・スラローム男子で羽根田卓也が銅メダルを獲得したときや、バドミントン男子の桃田賢斗が日本人初の世界ランキング1位を獲得したときなども、カヌー界とバドミントン界からは「みんなよく分かってないけどこれってとんでもなく凄いことなんですよ」と、世間の反応の鈍さに苛立つ声が聞こえました。

スポーツの垣根を超えて「どっちが優れているか」を比較するのは、スポーツの貴賎を決める行為で、おおっぴらには絶対タブーです。

こういう場末の井戸端でないと出来ません。

「井上も羽根田も桃田もみんな世界で輝いて偉い!」と片付けるのは八方美人の逃げ口上です。

もちろん「サッカーのバロンドールとMLB三冠王はどっちが上か?」という問いには、両者のパフォーマンスの傑出度まで考察しなければならない難問ですが、多くの場合は答えが出るでしょう。

「世の中の方がイマイチ分かってくれてないのがボクは歯がゆくて」と松本的に嘆かれるスポーツの多くは当たり前ですが、マイナースポーツです。

〝世の中の方がイマイチ分かってくれてない〟理由はマイナーゆえによく知らないのだから当然です。

イチローがメジャーデビューした年にア・リーグMVPに首位打者、盗塁王、新人王を総ナメにしたことを「これって凄いの?」と聞く人は稀です。

街では号外は出るわ、メディアの扱いも尋常じゃないわで、MLBに興味がない人でも「イチローがとんでもないことをやってのけた」ことは理解出来ますから。

しかし、マイナースポーツをよく知らない人にとっては「松本人志が言うんだから本当に凄いことなんだ」「WBSSはボクシングのW杯のようなもので全てのボクサーの憧れの大会」と刷り込まれた人も多かったのではないでしょうか。

プロボクシングの真実を伝えることは必ずしも良いことばかりではなく、短期的には潜在的なファンを興醒めさせてしまう恐れもあるかもしれません。

それでも、プロボクサーとしての実績とスポーツセレブとしての存在感に巨大なネジレがある村田諒太と井上尚弥という格好のサンプルが目の前にあって、PFPなんてボクシング用語がニュースで取り上げられたこんな機会にこそ真実をわかりやすく伝えることは悪いことじゃないと思います。

「井上のライバル王者粉砕、リング誌とESPNでPFP4位ランクインは高く評価されて然るべきだが、もし井上と同じことをミドル級の村田がやったらとんでもないことになっている…その理由は…」という説明、ロジックならプロボクシングの現実が非常に分かりやすく伝わるのですが…。