WBSSバンタム級ファイナル。試合の日程・場所は未定。

リング誌/IBF王者・井上尚弥 vs WBA王者(世界的には井上の持つWBAセカンド王座は認められず、ドネアが王者)ノニト・ドネア。

betfair と PADDYPOWER から早速オッズが届いています。井上勝利は1/50(1.02倍)、ドネア14倍。

数字上は、階級最強を決める大勝負ではありません。この試合で何かが決まるとしたら、ドネアが勝利したときに決定する年間最大番狂わせ賞でしょう。
KO ! ArtistPCT.DIVISION
Artur Beterbiev100%Light Heavy
Anthony Joshua95.50%Heavy
Deontay Wilder95.2%*Heavy
Gervonta Davis95.20%Junior light
Angel Acosta95.20%Junior fly
Naoya Inoue89%Bantam
-- ESPN Stats & Information
 
「世界のノックアウトアーティスト」(ESPN)でも井上は6位。18戦のうち16の試合でジャッジの手を煩わせていません。ドネアが17人目の犠牲者になるのでしょうか?

今日のリング誌電子版で「井上はやばい。火炎放射器だ」という読者投稿にダグ・フィッシャー編集長は「火炎放射器?あれはそんな生ぬるい兵器じゃない。辺り一面を焼き尽くすナパーム弾だ」と回答。

「ロドリゲスはパワーがないから相手を仕留めきれない、パワーがないから相手に粘られてしまう。線香花火ではナパーム弾に対抗すべくもない」。

「ドネアは井上相手ではKO負け以外の結果はない」という読者の決めつけには「ドネアの立場に立つと二つの不安と二つの希望がある」。

フィッシャーが指摘する「二つの不安」。

一つ目の不安はもちろん井上の桁外れのファイアーパワー(攻撃力)。「井上の対戦者リストに超強豪の名前は一つもないが、彼の攻撃力が桁外れなのはいまや疑いようがない」。

もう一つの不安は「ドネアが本当にバンタム級に適応できているのかが、2試合戦っても棚上げのまま」という点。126£から122、118と真綿で締めつけられるような減量が35歳の肉体にどんな影響を及ぼしているのか?という疑問です。

ライアン・バーネットが負傷してしまい、ゾラニ・テテの代わりにステフォン・ヤングという誰も知らないボクサーがリングに上がった時点で、この疑問の答えは決勝まで持ち越されることになってしまったのです。


そして「二つの希望」です。一つ目は、その大きな負担をドネアに課しているはずのフェザーからの減量。しかし、ありえない幸運が重なり、バンタム馴化の時間とシミュレーションがこれ以上ない実戦によって可能となったのです。

「井上との決勝でリングに上がるフィリピーノフラッシュはバーネット戦のときよりも、ヤング戦よりも高い次元で仕上げてくるだろう」。

二つ目の希望は、これこそが試合を占う大きなキーになるかもしれません。

「井上はまだ一度も本物の強豪と戦っていない。そして、誰にもそのアゴを叩かれていない」。

「デオンティ・ワイルダーの対戦相手を見れば一目瞭然、圧倒的なパワーを見せつけられたとき、ボクサーは自分の動きが出来なくなる。井上が井上でなくなるかもしれないのだ。そして何よりドネアは井上をリスペクトはしても恐れはしない」。

「予想が圧倒的に井上に偏るのは当然だ。しかし、ドネアのパンチはロドリゲスとは次元が違う。あの左フックが井上のアゴを捉えたら、そこでゲームオーバー。もし井上のアゴがガラス製ならクリーンヒットでなくても試合の帰趨が決まるかもしれない」。

米国BOXING NEWS24 でも「若くて全盛期の井上有利は動かない」としながらも、Inoue’s resume is too weak to gauge how well he’ll do against Donaire (井上の過去の対戦相手はドネアに対抗するにはあまりに貧弱すぎる) 、井上が際立って見えるのは対戦相手が弱いからと厳しく分析。

さらに「ドネアだからこそ速攻で沈めなければ、井上は厳しい試練を迎えるしかない」と、序盤で仕留めないと井上が窮地に陥ると見ています。
 

また、昨日の試合を見て「井上は強い」と戦慄する陣営にドネアは “I saw some flaws,”(彼にはいくつかの欠点がある)と微笑んでいます。

第1ラウンド、ロドリゲスの前進にバックペダルを踏む井上を見て「あれで下がるのか?井上は強いけど若い、若すぎる」とつぶやいたドネア。

井上のキャリアは18戦という少なさを考えると、十分に内容があるものです。

しかし、ドネアなら〝井上はまだ青い〟と言う資格があります。そう、ドネアなら。

フィリピーノフラッシュ。軽量級の魅力を中重量級を凌ぐスピードとパワーで世界に伝えてくれた伝道師。

武士道とラーメンをこよなく愛する一発殿堂確実のグレートの人生を「なんで決勝まで上がってくるんだよ!『テテが来て井上にドネアの仇を取ってもらう』のが俺の中の物語だったのにーー!井上を応援するしかないのに、面倒臭いことしてくれるなよ、ドネア…」と悶々としながら振り返ります。