WBSSバンタム級決勝戦。

日程・会場は未定ですが対戦カードは決まっています。
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圧倒的優勝候補のリング誌/IBF王者・井上尚弥と、WBA王者(世界的には井上の持つWBAセカンド王座は認められず、ドネアが王者)ノニト・ドネア。

まだまともに叩かれたことがないアゴなど試されていない部分はあるとはいえ、井上の強さにもはや疑問を挟む余地はありません。

そして、その強さの一つが、かつてのマイク・タイソンやゲンナディ・ゴロフキンらが何重にも着込んで心理的に対戦相手を追い詰めた〝魔法のガウン〟にあることもまた事実です。

経験と実力に自信のないボクサーは戦わずしてこのガウンの重圧に絡め取られてしまいます。

しかし、イベンダー・ホリフィールドやダニエル・ジェイコブスのような経験と実力に裏打ちされた自信を持つボクサーと戦うとき、ガウンは魔法を喪いただの重しになってしまうのです。

「とにかく序盤は無傷で凌がなければならない」(ファン・カルロス・パヤノ)、「井上の攻撃を封じるには前に出るしかなかった」(エマヌエル・ロドリゲス)。

彼らには井上が羽織る恐怖のガウンがはっきり見えたはずです。

この〝脅し〟に屈しないボクサーなど滅多やたらにいるわけがありません。

ガウンの正体を知る豊かな経験と実力に裏打ちされた泰然の自信を持つグレートなんて、全階級を通しても何人いるでしょうか?。



確かにフィリピンの閃光はかつての煌めき、眩さを喪失しています。

フェザー級まで漕ぎ出した小さな船は悪戦苦闘を重ねてボロボロになって、バンタムの港に帰って来ました。

それでも、リングの上で起きる何もかもを識り尽くした35歳の軽量級ボクサーの言葉は、どこまでも澄み切っています。

「ボクサーとしてまだ達成していないUndisputed Champion(完全統一王者)になるためにトーナメントに参加した」。

そして、ドネア本人は意識していないでしょうが多くの誇り高きグレートが最晩年に無意識にそれを希求するように、彼もまた死に場所を探しているはずてす。

その最後の場所が井上尚弥と雌雄を決するリングなら、偉大なドネアの墓標を打ち建てるのに、これ以上ふさわしい場所はないでしょう。

井上はドネアがひとカケラの未練も残さないように、見事な介錯をしなくてはなりません。

…しかし、ドネアは厄介な相手です。

確かにギレルモ・リゴンドーの技巧に翻弄されました。

ニコラス・ウォータースのパワーにねじ伏せられました。

しかし、彼らとて無傷では済んでいません。キューバの超絶技巧派から豪快にダウンを奪い、ジャマイカの怪人をダウン寸前に追い込みました。

井上は、魔法のガウンを恐れないリングマスターと初めて相対することになります。

ドネアの閃光がいかに眩かったかを、泣き出したくなるような愛を込めてお届けします。