今日の読売新聞朝刊に気になる特集記事が掲載されていました。

「スポーツBIZワールド」というタイトルで、現在のスポーツをビジネス面から切り取るコーナーです。

今日からスタートしたのが「格闘マネー」。

ヘッドラインは「一戦300億円 拳で稼ぐ」。
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〝ボクシングはとにかく巨額のファイトマネーが稼げる〟と誤解を招く内容になってるんじゃないかと嫌な予感が…。

日曜日に井上尚弥がセミファイナルを戦ったWBSSにについて「主催者によると(バンタム、ジュニアウェルター、クルーザーの)3階級で賞金総額5000万ドル(約55億円)」と報じ「日本から近年、才能あふれる選手が海外に進出」している理由を「日本人の評価が高まり、海外でも高いファイトマネーが得られるようになった」(大手ジム幹部)からと説明しています。

モハメド・アリやシュガー・レイ・レナード、マイク・タイソン、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオらプロボクサーがいかに莫大なカネを稼いだかを他の有名スポーツ選手も合わせた生涯収入ランキングとPPVビジネスの仕組みも合わせて紹介。

最近はDAZNやESPNなどネット配信サービスがメガファイトを生中継、DAZNはカネロ・アルバレス と巨額契約を結んだことも報じています。

そのすぐ横には「世界各国で盛んなボクシング」の見出しで、各国のプロボクサー人口に主要4団体の成り立ちと井上、拳四朗、岩佐亮佑、伊藤雅雪を写真付きで並べていますが、彼らの報酬については全く触れていません。

「彼らもビッグマネーを掴んでいる」という文脈でしか読めない構成です。

今日が第一回ですから、これからWBSSの実態やボクシングの闇、日本では報酬のチケット払いが今でも横行している惨状も暴きながら、このスポーツが健康的に発展する提言になってくれる内容で締めくくってくれたらいいのですが…。



フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオ、カネロ・アルバレス、アンソニー・ジョシュアは1試合で1000万ドル単位の報酬を受け取るスーパースターです。
日本でも「村田諒太の年収は500万ドルを優に超えている」(リング誌)とはいえ、村田のケースはファイトマネーよりもエンドースメント(スポンサー収入)の方が多いという、タイガー・ウッズもビックリの特殊ケースです。

そして昨日、大橋秀行会長は、井上尚弥のWBSS2試合をあわせた報酬について「軽量級では破格の1億円を超える」と報道陣に語りました。

1試合あたり5000万円、約50万ドル。

井上と立ち位置、世界評価が似通っているファン・フランシスコ・エストラーダがシーサケット・ソールンビサイ②で20万ドルを手にしたことがキャリアハイだったことを考えると、井上の報酬は確かに破格です。

年2試合として井上の年収は約1億円。これが「破格」と言われる時代になってしまいました。

プロ野球で最も年俸総額が高いソフトバンク・ホークスでは、二軍も含めた全支配下選手60人の平均年俸が7013万円、高給取りが集中する外野手は1億353万円と大台をクリアして来ます。

1億円プレイヤーはソフトバンク1球団だけで13名、プロ野球全体では72名を数えています。※数字は全てプロ野球選手会公式HPより。

井上はこの72人の1億円クラブの末尾は辛うじて掴むことが出来ますが、菅野智之(6億5000万円)、柳田悠岐(5億7000万円)ら6人の5億円クラブはもちろん、西川遥輝や涌井秀章ら44人の2億円超クラブにもお呼びじゃありません。

もちろん、この年俸ランキングには田中将大やダルビッシュ有のような、カネロとも比較出来る大物は入っていません。

日本のボクシング界の頂点が1試合で稼ぐ金額は5000万円、年俸とはいえソフトバンクの二軍を含めた全選手平均7000万円に遥かに及ばないのが現実なのです。

ボクシングをやるならミドル級かウェルター級で世界戦線を戦うことでしか、野球には対抗出来ません。

ボクシングのフライ級やバンタム級の王者になるよりも、プロ野球でレギュラーになる方(控え選手ですら?)が遥かに長い選手生命を楽しめて遥かに稼げるのです。

しかし、今とは全く風景が違う時代も確かにありました。

1970年代、具志堅用高は1試合4〜5000万円、年4試合リングに上がって1億5000万円以上を稼いでいました。

プロ野球では球団主導のいろんなカラクリがあった時代とはいえ、王貞治がキャリアハイで8000万円。

70年代まで、ボクシングの世界チャンピオンは別格だったのです。

プロ野球でレギュラーになるよりも、いえいえそれどころか、プロ野球のタイトルホルダーになるよりもボクシングの世界チャンピオンの方が遥かに稼げたのです。

ファイティング原田の60年代はもっと贅沢な時代でした。



昭和は遠くなりにけり。



ああ、ここで語ろうとしたのは、軽量級の大勝負だったのに、朝から変な記事を目にしてしまいカネの話になっちゃいました。

巨額のカネが動かない軽量級でも、中重量級を凌ぐスペクタクルな名勝負が紡がれて来ました。

次回は「小さな巨人の大勝負」を熱血を情熱でまぶしてお伝えいたします。