フライ級からジュニアミドル級に渡る10階級で8階級制覇に成功したマニー・パッキャオ。
ジュニアライト級からジュニアミドル級までの5階級を無敗のまま制覇したフロイド・メイウェザーJr.。

今週土曜日(現地時間)にマイキー・ガルシアが大方の予想を覆してエロール・スペンスJr.を攻略すると、無敗のまま5階級制覇に成功することになります。

日本でも井上尚弥と田中恒成が無敗のまま3階級制覇を達成していますが、二人は競技人口が薄く階級間の体重差が細かく仕切られた軽量級ということで、世界的な関心は高くありません。

ファイティング原田は当時世界最高ボクサーと賞賛されたエデル・ジョフレを大番狂わせに沈めて世界を驚かせましたが、それはメディアとマニアのみの世界が共有したサプライズでした。

もし、彼らのクラスがバンタムではなくヘビー級で、ジョフレがモハメド・アリだったなら、原田のボクサーとしての評価に大きな差は無かったかもしれませんが、世界与えたインパクトは計り知れません。

さらに、そのビッグイフが現実だったなら、後年のアリvsアントニオ猪木は企画すらされなかったでしょう。

さて、原田の60年代からボクシングは衰退の一途を辿ってしまいまい、現在では完全なニッチスポーツに転落してしまいました。

8階級に8人しかチャンピオンがいない時代(原田の時代は10階級10人)から、現在は17階級に主要4団体と準主要のIBOとIBAもカウントすると少なくとも102人の世界王者が粗製乱造されています。

いまや、世界王者のベルトはスーパースターの証明であるわけもなく、そのパスポートですらありません。

誰に勝つか。今のボクシングでは、そのことしか意味を持ちません。

何回防衛したとか、何階級制覇したとか、それが「誰に勝ったのか」を語れないのなら、オマール・ナルバエスやレオ・ガメスらのように数字遊びの偽物王者と切り捨てられるだけです。

私たち日本の122ポンド以下、軽量級ファンの視線で「誰に勝つか」に見渡すとシーサケット・ソールンビサイかドニー・ニエテスのPFPファイター、そしてPFP次点のファン・フランシスコ・エストラーダ、この3人くらいです。

しかし、原田の時代と比較すると大幅スケールダウンになるとはいえ、21世紀の花形階級はヘビーではなくウェルター級です。

この頂点クラスの推定最強王者に、いざ挑まんとするのがマイキーです。

「いつの時代もプロボクサーの興味はカネだったが、かつては世界タイトルや最強王者へ挑戦する意義も認められていた。それが現代はいかに効率良くカネを稼ぐかに偏重、体重超過で王座を手放すことも当たり前になっている」と嘆くマイキーの言葉は、現代のボクシングファンの心を揺さぶります。

自らについては「私には、もっと効率良くカネを集める方法はいくらでもあるだろう。例えば復帰した人気者、ロバート・ゲレーロやマルコス・マイダナと戦うのがビジネスとしては遥かに美味みがあるが、興味は無い。幸い、家族を守るのに最低限のカネは十分にある。私が欲しいのはカネではなく、名誉だ」と、栄光への純粋な渇望を口にしています。
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「ビッグネームと戦いたい」「世界が無謀と決めつける試合で印象的に勝ちたい」「そのためには平常時の体重(62㎏前後)までの階級で誰とでも戦う」。

実際には約70kgのジュニアミドル級でもアルファベット団体の王座に就き、約67kgのウェルター級を主戦場にしているマニー・パッキャオ。

マイキーはパックマンの〝後を継ぐ者〟なのでしょうか? 

No one else is willing to do what I'm doing. After this fight,everybodywill really recognize me as the top fighter. ーMikey Garcia  誰にも真似できないことをやり遂げたいんだ。この試合に勝てば、誰もが私を世界最高のボクサーと認めるだろう。

圧倒的不利が予想されるマイキーですが、スペンスは戦績こそ完璧ですが、そのボクシングは攻撃時にガードがルースになる致命的な欠陥を抱えています。

有り余るスピードとパワーで、この欠陥に付け入る隙を与えず、24戦全勝21KOのレコードを積み上げてきました。

しかし、この大きな欠陥を突くことができなかった24人の被害者たちと、マイキーはステージの違うファイターです。

もし、体格差の問題をマイキーがクリアするようなら、番狂わせは当たり前のように起こるでしょう。

ボクサーの質は、マイキーが明白に上です。