ESPNが Boxing fights we want to see in 2019 (2019年に見たい、この試合)を発表しました。

ボクシングの試合はプローモーターが傘下の選手同士を戦わせたり、テレビネットワークの契約選手を使うことで、ファンのニーズに応えていない現状を嘆いた恒例の記事です。

日本でもテレビ局の問題は大きな障害ですし、世界王者同士やジムのエース同士の戦いは「星のつぶしあい」と敬遠されています。



ESPNが選んだ、一発目はテレンス・クロフォード(トップランク/ESPN)vsエロール・スペンスJr.(アル・ヘイモン/ShowTime)。

確かにこのカードは実現可能性が低いですね。

ただ、この二人は個人的に親しい関係にあるようで、そこが唯一の望みとか。

11月のモーリス・フッカーの防衛戦の会場に二人は示し合わせて観戦に訪れていました。

このマッチアップが、テレビ局まで含めた両陣営にとってWin-Winの関係になるなら、交渉は進みそうですが、二人の人気がそこまでないだけに、今年の実現は難しそうです。


続いて、デオンティ・ワイルダー(アル・ヘイモン/ShowTime)vsタイソン・ヒューリー(フランク・ウォーレン)Ⅱ。

第1戦は、試合内容は面白かったし、ヒューリーの人間ドラマと際立つキャラクターで盛り上がったが、レベルの高い試合とは言えませんでした。

あの試合のヒューリーにとって、2年のブランクと様々な障害がどの程度の重しになっていたのか?

もしそれが、相当に重いもので、英国の白い巨人がブラッシュアップして再戦に臨むとしたら、ワイルダーには非常に難しい戦いになります。

この点からワイルダー陣営が逡巡するようなら、交渉がもつれるかもしれません。

この試合は、第1戦のポストカンファレンスを見る限り、十分実現しそうです。

→京太郎は?…お呼びでない?



ワシル・ロマチェンコ(トップランク/ESPN)vsマイキー・ガルシア(フリー)。

ガルシアは3月17日のスペンスJr.戦で勝利するようだと、最も肥沃なクラス、ウェルター級にとどまることになるのは確実です。

しかし、ここで敗北するようなら…。

裁判まで引き起こしてトップランクから離脱したガルシアと、ボブ・アラムの間にはまだ確執が残っていると見られていますから、この試合の最大のハードルは老害かもしれません。



カネロ・アルバレス(ゴールデンボーイプロモーションズ/DAZN)vsゲンナディ・ゴロフキンⅢ (K2プロモーションズ)。

両陣営とも面倒臭いことを要求しあって、もううんざり…とはなりませんね、やっぱり3戦目は見たいです。

ただ、時計とも戦い続けたGGGは今年4月で37歳。今まさにプライムタイムの28歳との3戦目は厳しい戦いになりそうです。

3戦目にして初めて、オッズと予想は逆転するでしょう。

個人的にはGGGの最後の輝きを見てみたい、カネロが大きく躓くところを見てみたいのですが…。

→村田諒太にこのトップ戦線に絡んで欲しいところです。最短でも強豪に2連勝は必要です。



ダニー・ジェイコブス(マッチルーム:アル・ヘイモン)vsジャーマル・チャーロ(アル・ヘイモン)。

1ヶ月前に、この二人の勝敗予想をしていたらジャーマルに大きく偏っていたでしょう。

ジャーマルはけして弱くありません。ミドル級でも間違いなく強豪ですが、相手が弱いとその強さが際立つタイプのボクサーです。

日本では長谷川穂積や井上尚弥がこの典型で、悪い意味でなく過剰な評価をうけやすいのです。

これ、当たり前に思えますがメイウェザーやパッキャオはそうではありません。

チャーロが手こずったマット・コロボフは純粋な160ポンドと言うだけでなく、そのクオリティでもキャリア最強の相手でした。

ラッキーパンチ一撃で沈めるのではなく、12ラウンド36分間でコロボフを完封できるボクサーはいないでしょう。

そういう意味では、チャーロの評価暴落は可哀想な一面もあります。

それでも、コロボフと同じくらいに速くて見にくい軌道のジャブを放ち、コロボフよりもはるかに強烈なパワーパンチも装備しているGGGやカネロと戦えばKO負け必至と思われます。

ジェイコブス戦はその模擬試験になります。

チャーロは、今まで通りに一気呵成に攻め込むことはないでしょう。ジェイコブスとボクシングをしながらポイントをピックアップして、一撃のチャンスを伺えるか?

無理です。



マニー・パッキャオ(アル・ヘイモン/ShowTime)vs キース・サーマン(アル・ヘイモン)。

1月に予定している試合をクリアしたら、十分に実現可能性があるマッチアップです。

パッキャオは1月19日にエイドリアン・ブローナーと、サーマンは同26日にホセシト・ロペスと対戦、この試合を両者がクリアすることが大前提のメガファイトになります。

パッキャオにはサーマン同様、ヘイモン傘下のスペンスJr.との対戦も可能性があり、そのどちらに勝ってもPFP10傑に上位で復活することは間違いありません。

→40代のPFPキングは史上一人もいません。もう一回、奇蹟を起こして下さい。



ディミトリー・ビボル(ワールド・オブ・ボクシング)vsバドゥ・ジャック(メイウェザープロモーションズ)。

15戦11KO無敗のビボルは、直近2戦を判定勝利で終えています。

イサック・チレンバ、ジャン・パスカルはしぶといベテランとはいえ、ビボルのスーパースターの潜在能力があるのかどうか、そろそろ黄信号が灯りそうです。

一方の、ジャックもこのクラスの強豪で、アドニス・ステベンソンとの再戦を熱望していましたが、カナダのスーパーマンが前回の試合で起きたあわやリング禍という事故で、復帰が不透明な状況です。

これは、二人にとって存在証明になる試合です。



ジャレット・ハード(アル・ヘイモン)vsハイメ・ムングイア(ゴールデンボーイプロモーションズ)。

無敗の28歳と22歳の対決は、ジュニアウェルター級だけでなく、全階級通じて屈指のドリームカード。

WBO王者ムングイアは1月26日に井上岳志の挑戦を受けますが、ここで躓くとは考えられません。

パワーと闘争心が前のめりになった二人の激突は、面白い展開にしかならない、そんな期待が膨らみます。

→井上岳志〜〜〜〜!勝ったら北米が揺れますぞ〜〜〜〜!!!!!Shock the World!!!!!!



ホセ・ラミレス(トップランク)vsホルヘ・リナレス(帝拳:ゴールデンボーイプロモーションズ)。

これは、プロモーションのハードルを越えなければならないビッグファイトです。

140ポンド、ジュニアウェルター級は層の厚い人気階級ですが、不人気階級に的を絞ったトーナメントWBSSが開催されているように現在は真空状態。

西海岸をホームに持つWBCの無敗王者ラミレスが、リナレスの四階級制覇を明白な形で阻むようなら、不人気階級に堕ちたクラスに希望の灯がともります。

33歳のベネズエラ人の野望を26歳の拳が打ち砕いたとき、140ポンドが再び動き出します。

→フェザー級からジュニアウェルターまでの四階級制覇。マイキーが挑むときに欧米メディアは「パッキャオとマルケス、史上二人しかいない殿堂入り直通の超エリートクラブ」と言ってましたね。帝拳のリナレスが入部届けを出しますよ!



オスカー・バルデス(トップランク)vsレオ・サンタクルス(アル・ヘイモン)。

体重超過のスコット・クイグとの対戦で顎を骨折、ブランク中のWBO王者バルデスと、軽量級屈指の人気者サンタクルス。

同じロスアンゼルスを拠点にトレーニングを積む二人のメキシカンが激突するとなれば、とんでもないビッグファイトです。

このブログでは「ほんの一部の例外を除いて欧米では軽量級にビッグファイトはありえない」と断定してきましたが、この試合はまさに「ほんの一部」です。

リング誌も「米国ではsab-featherweight(フェザー級以下)への関心は低い」とポロっと書いてしまっていましたが、この試合は例外です。

もし、決まれば間違いなく両者はそれぞれ、100万ドル以上の報酬を受け取ることになります。

フェザー級は、カール・フランプトンとジョシュ・ウォリントンが英国で巨大な旗を掲げていますし、軽量級ではありえない本物のビッグネーム揃い、ビッグファイトが何枚も切れるカードを持っています。

→ここなんですよね。軽量級は本質的に面白いのですが、世界的な注目度(そんなものどうでもいいとはいえ過小評価されっぱなしは忸怩たる思いです)はこのクラスで、ビッグネームを倒すしかないんです。

スーパーフライやWBSSの貧乏・日陰興行では世界に脳震盪を起こすことは出来ないんです。ここです、ここなんです!




ダニー・ローマン(トンプソン・ボクシングプロモーションズ)vsレイ・バルガス(実質フリー)。

このクラスはアイザック・ドグボーが最強と目されていましたが、まさかの頓挫。

この対決が122ポンド最強決戦です。

日本人にも実力的にも金銭的にも十分手が届きそうな、名前がまだないジュニアフェザー級の二人は、派手な勝ち方が苦手なため世界的にも過小評価されています。

この統一戦は、舞台(報酬)さえ整えてあげれば簡単にまとまるカードですが、軽量級はそもそも財布が軽いですから、どうなることやら。

→WBSSが落ち着いたら(いろんな意味で)、井上尚弥をからめて122ポンドのトーナメントを日本主導でやって欲しいですね。絶対できると思うのですが…。



オレクサンダー・ウシク(マッチルーム)vsルイス・オルティス(アル・ヘイモン)

昨年3月にデオンティー・ワイルダーの強打に壮絶な逆転負けを食らった39歳のキューバ人でしたが、復帰戦2試合2KOと素早い立ち直りを見せています。さすが、キングコングです。

クルーザー級統一王者ウシクはヘビー級進出を希望していますが、いきなりオルティスでは厳しいでしょう。

エディ・ハーンは、無敗のウクライナ人をアンソニー・ジョシュアにぶつける地図を描いていますが、ウシクのパンチはクルーザーでも傑出したものではありませんでした。

そして、最も懸念されるのがウシクにヘビー級のパンチが耐えられるのかという点です。

イベンダー・ホリフィールド以来のクルーザー級完全統一王者は、ヘビー級ではおそらくはリアルディール(本物)ではありません。

→クルーザー無敵のウシクのパンチが通用しない、キングコングのジャブでグラつかされる…ヘビー級の恐怖劇場…見たいような見たくないような。




シーサケット・ソールンビサイ(One Cahmpionship)vsファン・フランシスコ・エストラーダ(実質フリー)Ⅱ。

確かに第1戦は接戦でした。

しかし、スーパーフライ興行を仕切ったHBOボクシングは破綻、撤退。

元々、HBOの格安報酬が不満だったシーサケットはONEに戦いの場を変え、エストラーダは仕方がなく12月8日の最後のHBOのリングに登場しましたが、女子ボクサーの前座でした。

エストラーダは「私はPFPにも評価されるボクサーなのに報酬はせいぜい10万ドル。マネジメント費や税金を引いたらいくらも残らない。ウェルター級のノンタイトル戦で100万ドル、200万ドルの報酬が支払われるのは不当な差別だ」とことあるごとにブチまけていますが、仕方がありません。

PFPファイターだから、タイトルマッチだからという理由で報酬が上がるわけもありません。

実力のはっきりしているエストラーダは、日本でも敬遠されるでしょう。

悔しかったらフェザー級に殴りこむしかありません。

→ここは井岡一翔の〝もう一丁!〟です。シーサケットとエストラーダはニエテスよりもハードル上がりますが、もし戦わば、勝ったときのリターンも大きい!楽しみです!



ジャーボンタ・デービス(メイウェザープロモーションズ:アル・ヘイモン)vsアルベルト・マチャド(ゴールデンボーイプロモーションズ:ミゲール・コットプロモーションズ)
ジャーボンタ・デービスvsテビン・ファーマー(ルウ・ディベラ:エディ・ハーン)。

ジュニアライト級のWBAスーパー王者デービスは2月9日にアブネル・マレスの挑戦を受けますが、ここで負けることはないでしょう。

プエルトリコは、温室栽培フェリックス・デルベホが転落してしまい、コットの後継者が現れないままです。

現状はマチャドが最有力ですが、致命的に華がないんですよね。

タイトルを獲ったジェスレル・コラレスが典型的なChump(穴王者)と烙印を押されていたのに、KOするまで手こずりましたから、あの時点で怪しいイメージがこびりつきました。

ただし、デービスに勝つようならこれは、コットからトーチを受け取るスター誕生です。

→日本のハンサムボーイを忘れるな!ミスターコンテストならデービスもファーマーも蹴散らしてやるぜ!