今月日に行われたデオンティ・ワイルダー vsタイソン・ヒューリー、面白い試合でした。

日本では「WBC世界ヘビー級タイトルマッチ」と報じられましたが、試合では挑戦者のはずのヒューリーが後から紹介され、王者として扱われました。

これは、ウラジミル・クリチコを倒したヒューリーがWBCの承認よりも世界が納得するLineal Champion だったからです。

このブログでもたびたび取り上げている Lineal Champion「正当に王位を継承した王者」は、欧米では非常に一般的な「王位」です。

 Lineal Champion の反対語が、王者決定戦など書類手続きを経て、腐敗承認団体が決定するPaper Championで「書類(ペーパー)上の王者」「紙のように薄っぺらな王者」と多くの場合、軽く見られます。

本来ならアルファベット団体もヒューリーを王者として認め続けるべきでしたが、腐敗団体は承認料が稼げない状況が続くことを、とにかく嫌います。

暫定でも休養でもどんな屁理屈でもこねて王者を粗製乱造、もっと正確にいうと捏造するのが彼らの仕事ですから、 Lieal Champion は乱造された王者の中に埋もれてしまいがちです。

さらに、王者の乱造は、Lineal Champion が必ずしも最強王者でないケースが珍しくないという悩ましい状況も生み出しています。

この悩ましい状況の典型が、最近のミドル級です。

2014年、ミドル級最強の Lineal Champion だったリング誌/WBC王者セルヒオ・マルチネスが、WBA王者ゲンナディ・ゴロフキンとの統一戦を回避してミゲール・コットとのビッグファイトを選択、番狂わせでこの試合を落としてしまいます。

2015年、コットもGGGを回避して優先したカネロ・アルバレスとのメガファイトで敗北、155ポンドでしか戦わないカネロが Lineal Champion になってしまいました。

キャッチウェイトでしか戦わないコットとカネロが ミドル級最強と考えるメディアもファンもほぼ皆無でしたが、それでもリング誌/ Lineal Champion はカネロなのです。
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リング誌のシンシア・コンテからインタビューを受けるゴロフキン。「カネロは臆病者だ」。

 Lineal Championの概念「王者に勝って王者になった」のは、あくまでもカネロであり、GGGは「暫定王者決定戦」で就いたPaper Champion だからです。

十分に時間稼ぎしたカネロは、昨年ついにGGGとの対決に踏み切り、議論を呼ぶ判定で引き分け。

この試合でGGGはWBA/WBC/IBF、アルファベット3団体の王座を防衛しましたが、カネロもまたLineal Champion の防衛に成功したのです。

 それにしても、Lineal Champion が誰もが納得する最強王者ならいいのですが…ややこしい話です。

このLineal Champion 認識の有無は、日本と世界で「パッキャオは何階級制覇か?」の解釈が分かれる原因にもなっています。

「Lineal Champion=誰もが納得する最強王者」であり、リング誌認定の世界王者であったマルコ・アントニオ・バレラと、リッキー・ハットンに勝利したパッキャオは紛うことなき世界王者なのですが「主要四団体」に盲執する日本では、この二階級を認めていません。

これが「世界では8階級制覇」 だけど「日本では6階級制覇」という〝世界の常識は日本の非常識〟の原因です。



【Part2】では「ジュニア」やら「スーパー」「ライト」「ミニマム」「ストロー」…メディアや団体、イベントによって混乱している階級の呼称についてです。