気になるニュースを見つけてしまいました。
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ニューヨーク・ヤンキースがCC・サバシア投手に50万ドル(約5600万円)の出来高報酬を与えた。ベテラン左腕は今季最終登板で報復死球を当て、退場処分となったため、出来高が行使される155投球回にわずか2回足らず。自身の報酬を省みず、チームプレーに徹した姿に「男気」と称賛の声が挙がっていた。


おそらく日本のスポーツファン10人に聞いたら、10人ともが「MLBの報復死球は絶対におかしい」と言うでしょう。

MLBにはルールブックに書かれていない「不文律」がいくつもあります。


【死者にムチ打つような行為は卑劣だ!】大量の点差で試合が決した場面で、勝っているチームが「盗塁を試みること」「0ストライク3ボールに追い詰められた投手の次の球を打つこと※」。

※メッツ時代の新庄剛志が、この場面でフルスイングの空振りをして大ブーイングを浴び「何を考えているんだ?」と解説を怒らせたたことがありました。


【チームは軍隊、試合は戦争だ!】乱闘になったら「必ずベンチを出て(乱闘に加わらなければならないこと)※」。「味方の選手が(故意に思われる)死球を当てられたり、危険なスライディングを仕掛けられたら必ずやり返すこと」。

※ヤンキース時代の松井秀喜は乱闘になると加わることはありませんでしたが、渋々ベンチからは出てきました。


こうした「不文律」は公式ルールではありません。

報復死球は多くの場合〝報復の連鎖〟を生み出すことから、最初に「報復」と思われる死球があった時点で審判が両チームに「次にやったら退場」と警告します。

つまり、報復死球は厳しく禁止されているのです。

今回のサバジアのケースもこれでした。

MLBには、公式ルール上は「退場に値する危険な行為」であっても「チームの掟」が優先されるケースがあるということです。

MLBを見ていれば、試合前のセレモニーからして軍隊式です。国技のベースボールは、そのスピリットの発露なのです。

あの国と日本では物の考え方に大きな乖離が生まれることは度々ありますが、戦争や軍隊に対しても対照的です。

日本では「生きて虜囚の辱めを受けず」ですが、米国では真逆です。

あの国では「必ず味方が助けに行く」と教えられます。プライベートライアンの世界ですね。

大日本帝國は、捕虜になって秘密をバラしたり、寝返ることを恐れました。しかし、それは米国でも同じです。それらを防ぐための対処法が真逆だったのです。

日本では「捕虜になったら死ね」と教えました。死んでくれたら、死人に口無し、秘密は漏れませんし、寝返ることもありません。

しかし、米国は「必ず助けに行く」と叩き込みます。これはある意味「秘密を漏らすな」というのに、最高の脅迫かもしれません。


昔、仕事上でお付き合いのあったお偉いさんで戦時中に潜水艦に乗っておられた方がいました。

「鬼畜米英なんかに負けるか」と、灼熱地獄の深海で意識朦朧となりながら闘ったそうです。

潜水艦の中は狭く、恐ろしいほどの暑さ、熱さだそうです。

しかし、戦後になって米国の潜水艦にはアイスクリーマーが設置されていたことを知り、愕然としたと語られていました。

戦時中、最前線では絶望的な物量差を思い知らされ、フルカラーのディズニー映画が上映されていたことを後に知っても、そこまで驚かなかったと言いますが、それでも、潜水艦のアイスクリーマーには「これじゃあ勝てっこない」と力が抜けたそうです。


MLBの不文律は、この国の軍人精神を反映させたものです。

国は兵隊を大切にする(とは限りませんが、日本よりは遥かに大切にします)。

軍人は仲間との繋がりを大切にする。これが「不文律」の正体です。仲間が捕虜になったら必ず助け出す。仲間がやられたら、やり返す…。


潜水艦にアイスクリーマーを乗せる国と、捕虜になったら死ねと言う国。

どちらがいいか?といえば…決まってます。


しかし、それでもMLBは間違っています。報復死球なんて美談にしてはいけません。

試合が決したあとの「盗塁」や、「ストライクが入らない投手が置きに投げたボールを打つこと」も間違いではなく、極めて正しいやり方です。

相手がどんな状況であれ、全力で叩きのめすことがスポーツの礼儀です。



MLBは素晴らしいことだらけですが「不文律」だけは、愚かに間違っています。