ボクサーの天国と地獄の境い目には、多くの試合は必要ありません。

たった2試合で地獄と天国を往来することも決して珍しくはないのです。

しかし、その天国と地獄を最短2試合、一年足らずで往来したとなると、レアケースです。

ロブ・ブラントがトップランクと複数年契約を結びました。 

村田諒太とははるかに巨額の複数年契約を結んでいるトップランクですが、先月番狂わせを起こしたブラントもしたたかに取り込みました。

如才無いです、ボブ・アラム。

ブラントは「トップランクと複数年契約なんて1年前は考えてもいなかった。夢が叶った。近い将来、大きな試合が用意される。このチャンスを必ずものにする」と感激しています。

そして、このブラントには英国マッチルームのエディ・ハーンも食指を伸ばしていました。

マッチルームと提携関係にあるDAZNにはカネロ・アルバレスを筆頭にデメトリアス・アンドラーデやデビッド・レミューなどミドル級のビッグネームが集っています。

ハーンは「〝金メダル殺し〟ブラントは素晴らしいキャラクター」と前のめりでしたが、争奪戦に勝ったのはトップランクとESPN連合でした。

最強のプロモーター同士が綱引きを演じたのですから、公表はされていないもののブラントの契約金は相当な額になったはずです。 

ブラントは村田についても語っています。

「村田はカムバックするだろうが、あれだけ騒がれてたのに負けてしまって、ショックが大きかったと思う。時間がかかるかもしれない。再戦条項は彼が握っているけど、すぐにはやらないだろう。私はチャンピオン、これからはタフな試合ばかりが続く。完全統一チャンピオンを目指す」。 

ブラントは来年2月にも初防衛戦がセットされる見通しです。

それにしても。

1年前はミドル級のトップ戦線にすら手がかかっていなかったミネソタ生まれの28歳の若者は、WBSSに出場してロートルに完敗、ただでさえ低い評価をさらに落としてしまったのですが…。

だった1試合目で全てを変えてみせました。

 つまり、村田諒太にもまた、全てをひっくり返す1試合があるはずです。

村田が再びリングに帰るとき、ミドル級のタイトルは今以上にわかりやすい状況になっているかもしれません。

チャンスはいつだって、どこにだって転がっています。