村田諒太がラスベガスでメインを張る、WBAセカンドタイトルの二度目の防衛戦まであと5日。

リング誌やESPNのランキングはもちろん、他団体ですらTOP10に入っていない無名のロブ・ブラントが相手とあって、試合が迫っても盛り上がりに欠たままです。

「東京ドームでGGGとの統一戦」という夢プランが、少なくとも〝統一戦〟という意味からは潰えたしまったことも、その原因かもしれません。

しかし、世界のミドル級は動いています。10月16日現在のリング誌ランキングから総覧していきましょう。
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まずはWBAスーパー/WBCのタイトルを持つ【リング誌チャンピオン】カネロ・アルバレス。

傑出した人気を誇るメキシカンはスーパーミドル級に進出、ロッキー・フィールディングの持つWBAセカンドタイトルに挑戦することが決定(12月15日マディソン・スクエア・ガーデン)しています。

オッズはカネロ勝利1.04倍、フィールディング8倍。

昨年5月の干からびたフリオ・セサール・チャベスJr.戦以来のスーパーミドルですが、8ポンドも重いスーパーミドルでカネロがどこまで動けるのか注目です。

ここで大きな焦点が、カネロはミドル級に戻ってくるのか?です。

西海岸に絶大なサポーターを抱えるカネロが、英国人のフィールディングとニューヨークで戦う狙いは「米国征服」と「英国進出」(といってもホームに英国のスターを呼ぶ構図です)でしょう。

現状のミドルとスーパーミドルを見渡すと、カネロにとって美味しいタレントが揃っているのは明らかにスーパーの方です。

ヒルベルト・ラミレスとの同胞対決。

WBSS優勝のカラム・スミスが兄リーアム(2016年:カネロに9ラウンドKO負け)の仇打ちに、カネロと戦う。

英国の人気者、ジェイムズ・デゲイルとクリス・ユーバンクJr.とのマッチアップも大きな興行になるでしょう。

ここで、いつカネロウェイトが発動するかも注目です。168ポンドがカネロにとって重いことは間違いありません。

第一次カネロウェイトは155ポンドでミドル級の世界タイトルマッチを敢行しました。160ポンドのミドルよりも154のJr.ミドルに肉薄する理不尽なキャッチウェイトでした。

強豪のスーパーミドル相手なら、161ポンドのキャッチウエイトを要求してくる可能性大です。



【1位】はゲンナディ・ゴロフキン。

カネロとの再戦に敗れて、GGGは8年以上もその腰を離れることがなかった世界チャンピオンのベルトを一本残らず手放してしまいました。

36歳のGGGがキャリアのフィナーレを考えて、ビッグファイトを希求し続ける気持ちはこれまで以上に強くなるはずです。

カネロには人気で大きく劣るため、熱望してる第3戦は赤毛の28歳がボールを握っています。

ミドル級にこだわると、カネロに次ぐビッグマネーを得られるのは村田諒太と東京で戦うことですが、村田がブラント戦をクリアしても賭けられるベルトはWBAセカンドの一本だけ、Undisputed Champion を希求し続けたGGGにとっては寂しいですね。

日本のファンにとっても「ミドル級最強、PFP1位」でなくなった今のGGGの株は大きく下落してしまっています。



【2位】ダニエル・ジェイコブスは、10月27日マディソン・スクエア・ガーデンで、【4位】セルゲイ・デレビャンチェンコと空位のIBFタイトルを争います。

これは強豪激突、注目の一戦です。ミドル級で実績十分のジェイコブスに、サム・ソリマン、トルエノ・ジョンソンといったミドル級の門番的選手をKOして評価を上昇させてきたウクライナの俊才が挑むという構図です。

31歳のジェイコブスと、32歳のデレビャンチェンコ。ミラクルマンの方が若いというのは、両者のプロキャリア(ジェイコブス34勝29KO2敗/デレビャンチェンコ12戦10KO無敗)からは意外ですが、ウクライナの〝ザ・テクニシャン〟(わかりやすい異名です)がトップアマでプロデビューが遅れただけの話です。

二人とも技術はもちろん、強力なパワーを持ち合わせているだけに、スペクタクルな試合になるかもしれません。



【3位】はドーピングでWBO王座を失ったビリー・ジョー・サンダース。 

英国で人気も地位もあるボクサーだけに、すぐに復帰するんでしょうが興味は失せますね。

言い訳を何ダースもほざいていますが、他の競技なら永久追放までいかなくとも、最大4年の出場停止処分です。



【5位】はジャーマル・チャーロ。

ジュニアミドル級時代から「カネロが敬遠したボクサー」と多くのファンが信じているスラッガーです。

このジャーマルがWBC暫定王座を保持しており、このままだとまたWBCから対戦指令を出されることを恐れたWBC王者カネロがスーパーミドルに逃避した、なんてことまで言われるほど勝ちっぷりのいいボクサーです。

「すぐに対戦しなかったとから逃げた」いうロジックでは、前WBC王者のGGGも対戦を避けたことになります。

実際にアベル・サンチェスは「(WBCが指名挑戦者にランクしても)ジャーマルとはすぐ戦わない」と公言していましたが、人気のないジャーマルは優先順位が落ちるということです。
 
一発強打のスラッガーなのに結構まとまっていて、ミドル級の米国人にしては全く人気がない、そして無敗。

確かに、誰もが戦いたくないボクサーの典型です。 誰かが最初に鈴を付けてくれる、魔法を解いてくれるのを待っている状態ですね。

アル・ヘイモン傘下の28歳は、プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)のリングにいつデビュー出来るのか、本人は相当苛立っているはずです。



さあ、そして【6位】村田諒太です!

この人には、あまり説明は要らないですね。

週末、ブラントを豪快に吹っ飛ばしましょう。

世界的には「右の一発とフィジカルだけならトップ」という評価ですが、それって十分ですよね。

日本人が、利き手のパワーと肉体の頑健さでトップと認められてるなんて嬉しくなります。

そして、五輪金メダリストが、次の引き出しを持っていないはずがありません。

ブラント相手ではBプランはお披露目してくれないでしょうが、今後が楽しみです。



【7位】はカナダの伊達男デビッド・レミュー。

ハンサムな容姿と左右の強打でカネロ、村田に次ぐマネーパワーを誇りますが、GGGに惨敗、サンダースにまで完封されたのを目の当たりにしてしまうと、カナダ人じゃない私の興味は失せました。

GBPが売り出した過大評価の見本です。

先月、アイルランドの伊達男?ゲイリー・オサリバンを1ラウンドで屠った試合も、オサリバンが予想以上の見掛け倒しの未熟者だっただけです。

GGGにねじ伏せられる前、アッサン・エンダム戦までのレミューならサンダースを逃さなかったと思いますが、そんなことを言っても仕方ありません。



【8位】デメトリアス・アンドラーデ。

 ジャーマルと同じ、ジュニアミドルからの無敗の転校生。

10月20日ボストンで、サンダースのWBOタイトルに挑戦するはずでしたが、英国人がまさかのドーピング陽性反応。

急遽、代打に送られたウォルター・カウトンドクワと空位のWBO王座を争うことになりました。

オッズはアンドラーデ1.07倍、カウトンドクワ10倍、おおよそ10−1です。

アンドラーデ25勝16KO、カウトンドクワ17勝16KOと無敗対決ですが、ガーナのリングに上がった1試合以外の全16試合を母国ナミビアで戦ってきたカウトンドクワの戦績は世界基準から離れた対戦相手によって作られたものです。

経験不足のナミビア人にとって、サウスポーのアンドラーデと渡り合うのは厳しいかもしれません。

それでも、〝死刑執行人〟と渾名されるナミビア人にビッグマウスのアンドラーデを倒して欲しいですね。



【9位】はアッサン・エンダム。
 
なんだか、懐かしい名前に感じてしまいます。

村田との初戦を戦ったのが昨年5月ですが、もっと長い時間が経った気がします。再戦で完敗してしまってから、休眠状態であるからかもしれません。

ストップされたのは村田だけ、という稀代のタフガイですがもう34歳。残された時間は多くはありません。

ピーター・クイリンとレミューを最後まで手こずらせたカメルーンのゾンビは、年間最高KO賞に輝く強打まで持ち合わせていました。

WBA暫定王者アルフォンソ・ブランコを1ラウンドで仕留めたシーンは戦慄でした。

ゾンビと強打の残像が、村田の脳裏から離れなかったことが初戦でトドメを刺せなかった最大の理由でしょう。 



【10位】マチェック・スレッキ 

12月に予定されているジャーマルのPBCデビューで、対戦相手の有力候補に挙げられています。

今年4月にジェイコブスに敗れたとはいえ、このクラスで10傑に数えられる技術の持ち主であることも証明しました。

一方で、このポーランド人の拳は左右共に軽すぎます。フェザータッチのボクシングではミドル級では限界があります。