井上尚弥のWBSS初戦、ファン・カルロス・パヤノ戦までいよいよあと1週間。

このバンタム級トーナメントは、横浜アリーナ( WBAセカンド/10月7日:井上vsパヤノ)、エカテリンブルグEXPO(WBO/10月13日:ゾラニ・テテvsミーシャ・アロイヤン)、フロリダ州のCFEアリーナ(IBF/10月20日:エマニュエル・ロドリゲスvsジェイソン・マロニー)グラスゴーのSSEハイドロアリーナ(WBAスーパー/11月3日:ライアン・バーネットvsノニト・ドネア)と日本、ロシア、米国、英国と四カ国で初戦の火蓋が切られます。

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WBSSバンタム初戦では最もキャパが大きいのは横浜アリーナ(1万5000人)、次いでTHE SSE ハイドロ(1万3000人)です。SSEは2014年の〝英連邦のオリンピック〟コモンウェルズゲームズのために建設された多目的アリーナです。なんだか格好良いですね〜。


経済力のある日英露の井上とバーネット、アロイヤンが自国で開幕戦を迎え、プエルトリカンのロドリゲスも母国のコミュニティが確立しているフロリダで戦うという、わかりやすい構図です。

決勝まで進んでも、井上が日本を出ることはないかもしれません。

海外に出るとしたらバーネットとの対決が考えられますが、経済原理優先なら日本の井上>>>英国のバーネットです。

ジュニアバンタムのカリド・ヤファイ、フェザーのカール・フランプトンという英国軽量級の二枚看板なら日本に来ないでしょうが、横浜アリーナのチケットはすでに即売状態、マネーパワーで井上がバーネットを上回っているのは明らかです。

オレクサンダー・ウシクが優勝したばかりのクルーザー級で立て続けに開催するなど、迷走気味のWBSSですが、経済原理優先の姿勢はブレていません。

バンタムでの開催地だけでなく、明日決勝を迎えるスーパーミドル級のジョージ・グローブスvsカラム・スミスは、なんとサウジアラビアのダッジでリングが組み上げられます。

オイルマネーと王族の分厚い財布から、これまでもサウジやUAEがマニー・パッキャオvsフロイド・メイウェザー、パッキャオvsアミール・カーンのメガファイトの招致を試みましたがいずれも実現には至りませんでした。

グローブスとスミスが拳を交えるのはキング・アブドュラー・スポーツシティ。今年は米国WWEのプロレス興行を招致するなど、熱心に格闘技の興行を呼び込んでいます。

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ボクシングファンには馴染みのない「キング・アブドュラー・スポーツシティ」ですが、巨大なスポーツ施設の中心にあるサッカースタジアムは6万5000人を飲み込みます。昨年はアジア最終予選で日本代表も戦い、サウジに0−1と惜敗したあのスタジアムです。

プロモーターのカレ・サウザーランドは「中東の砂漠でボクシング興行を打とうなんてプロモーターは誰もいなかったが、これは偉大な歴史の最初の1ページになる。私は成功を確信している。砂漠の決闘と聞いてラスベガスを思い浮かべる時代はもうすぐ終わるかもしれない」と自信満々です。

WBSSの仕掛け人の一人、サウザーランドは「モハメド・アリの〝スリラー・イン・マニラ〟〝ランブル・イン・ジャングル〟を想像してくれ。新天地は常に大きな可能性を秘めている」と語り、フィリピンのマルコス大統領、ザイールのモブツ大統領という独裁者が国家と自らの権威発揚のために超弩級のメガファイトを招致した〝前例〟を挙げましたが、まさに全く同じ構図と捉えて良いでしょう。

招致フィーは明らかにされていませんが、ラスベガスのメガファイト相場1000万$レベルかそれ以上と推測されます。

ただし、サウジアラビアです。イスラム圏のど真ん中です。イベントを盛り上げるパーティや、当日の会場でもアルコールの販売はありえませんし、リングで腰を振るラウンドガールも見ることはできません。

サウジアラビアの王家は、マルコスやモブツのような刹那の独裁者ではありませんが、メガファイトを招致した動機は単なる気まぐれでしょう。というか「サウジが招致したからメガファイトになった」とも言えるかもしれません。

まあ、大金持ちの気まぐれでも大歓迎ですね。

バンタムトーナメントのメンバーを見渡して、井上尚弥は日本を出ない、出る必要がないと書いてしまいましたが、サウジの気まぐれでバンタム決勝も招致してくれたら、それは嬉しいですね。

実際には100万ドルもないとみられるバンタム級の優勝賞金も、サウジの招致フィーが加算されるなら話は全く変わってきます。

来年の今頃、井上尚弥はキング・アブドュラー・スポーツシティの特設リングに立っているかもしれません。その対角線のコーナーには誰がいるのか?

いやぁ、お楽しみがいよいよ始まります!