Breez is Nice!

日本時間早朝の英国バーミンガム、バークレイカードアリーナ。

村中優は、12ラウンド通じて勇敢に攻め続けましたが、ジャッジは119-107が2人、残る1人は118-109。大差判定に散りました。私の拙い採点でも116-111、ヤファイの勝利に文句はありません。

村中は2ラウンドにダウンを奪われますが、スリップに見えました。まあ、パンチをもらってから滑ってるので、ダウンの判定に文句は言えませんが。

何よりこのリングはアウエーの中のアウエーです。スリップはダウンに、拮抗したラウンドは相手にポイントが振られる、それがアウエーなのです。


【計量後のフェイスオフ。完全アウエー、完全Bサイドの村中でしたが、敵地の雰囲気を十分楽しんでいるように見えました。】

後半に入るとヤファイは明らかに失速、思い通りにならない展開にイライラし出します。村中の左ボディが確実に効果をあげ始めています。疲弊したバーミンガムの英雄は6ラウンド、マウスピースを2度も吐き出してしまいます。

ヤファイもお返しとばかりにボディで応酬しますが、8ラウンドにあからさまなローブローで減点。

結果的には2人のジャッジはこの減点以外はヤファイの完封勝利、残る1人も村中が減点以外で取ったのは1ラウンドだけという判定でした。

ヤファイが村中の攻撃を受けてマウスピースを吐き出したのは、2回ともどう見ても試合を中断させるための故意に見えましたが、主審は減点どころか、注意もしません。

解説でも「(マウスピースをはめる時間で)ヤファイが休める」と安堵していましたが、露骨な反則ですね。

25勝のうちKOは8つしかない村中ではなく、井上尚弥のパンチなら序盤で試合を終わらせることができたでしょう。

試合後、ヤファイは「2ラウンドで両拳を痛めてしまい、そのあとは勝つことだけに専念した」とバツが悪そうに語り、プロモーターのエディ・ハーンは「今夜はいい勉強になった。もう1度 WBAタイトルを防衛したら、次は統一戦だ」と今後のヤファイの進路を明かしました。

現在のスーパーフライ級はWBAがヤファイ、WBCがローマン・ゴンザレスを大番狂わせで破ったシーサケット・ソールンビサイ、IBFがヘルウィン・アンカハス、そしてWBOは井上尚弥です。

【リング誌で3月の月間最高選手に選ばれたソールンビサイはロマゴンとの再戦など注目度が急上昇、英国に安く呼ぶことは難しそうです。】

ヤファイが英国を出て戦うことはないでしょうから、一番呼びやすいフィリピン人のアンカハスが統一戦のターゲットでしょうか。

井上でも正直、英国では戦いたくないですね。あんなジャッジが認められるなら、井上の攻撃も英国人に都合のいいように中断されるでしょう。

明白にラウンドを支配しないと、ポイントも全部持っていかれそうです。リナレス対クロラの第1戦も、判定が想像以上の小差であったことに、日本のファンは冷や汗をかきました。リング誌やESPNなど世界のメディアは「リナレスの大差判定勝ち。ジャッジは別の試合でも見ていたのだろう」とは書いてくれますが、判定の数字は変わりません。

倒さなければ勝てないとまでは言わないまでも、完全に支配しなければ負ける可能性があるのです。

それでも、あの舞台でヤファイをぶっ倒して欲しいですね。

軽量級選手にとっては、ラスベガスよりもO2アリーナやマンチェスターアリーナで英国のスター選手と戦う方がずっと華やかで、村中のような弱小ジムのボクサーにとっては報酬も日本でやる以上にもらえるはずです。

【アマ、プロ通じてヤファイは常に注目を浴びてきました。英国はもちろん米国でもその活躍は折に触れて紹介されています。この軽量級のスターを日本に呼ぶのは難しそうです。倒すなら敵地に乗り込むしかありません。〜リング誌2014年2月号から〜】

おそらく井上の場合は日本の方が報酬ははるかに高いでしょうから渡英する意味は少なくなりますが、中量級贔屓が甚だしいラスベガスで無名選手を相手にするよりも、軽量級でも熱狂する英国の大観衆の前で地元選手を痛烈に倒す方がワクワクします。

それにしても、村中選手、お疲れ様でした。2年前の日本タイトル戦で体重超過、秤の上でタイトルを失った時は「ボクシングやる資格なし」とも思いましたが、今朝はあんな敵地で敢然と戦う姿に清々しい勇気を見せていただきました。

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村田諒太の大勝負を一週間後に控えて、遠く英国で一人の日本人が圧倒的不利の予想の中、地元の英雄に挑みます。

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ。カリド・ヤファイ対村中優。

この階級は、世界最強の呼び声高い我らが井上尚弥に、PFP1位から陥落したローマン・ゴンザレス、そのロマゴンを倒したシーサケット・ソールンビサイ、河野公平からタイトルを奪取したルイス・コンセプシオンら、日本でもお馴染みのタレントが揃っています。

井上のライバル王者とはいえ、ヤファイは日本ではほとんど無名。しかし、さすがボクシング沸騰の英国、今回の試合はO2アリーナ、マンチェスターアリーナに次ぐ英国3番目の規模を持つ室内競技場、バーミンガムのバークレイカードアリーナで開催されます。

【「バークレイカード」はネーミングライツで付けられた名前で、「ナショナル・インドア・アリーナ(国立室内競技場)」として英国民には親しまれています。ボクシングの興行なら1万5000人レベルで収容できるとのことですが、どれくらいの観客が詰めかけるのでしょうか。】

村中は25勝(8KO)2敗1分、ヤファイは21戦全勝14KOですが、戦績的には大きく見劣りしません。

しかし、地元のオッズは大きく傾いています。ヤファイの勝利はあろうことか1.02倍!村中勝利は11倍です。普通に考えたら誰がヤファイに賭けますか?でも、地元のファンは賭けるんですよね。それがスポーツブックと、株価の決定的な違いです。

ヤファイはバーミンガムで生まれ育った地元の英雄、2010年のヨーロッパ選手権モスクワ大会で銀メダル、2011年のアゼルバイジャン世界選手権ではラウシー・ウォーレンに敗れてベスト4とアマエリートでした。

この世界選手権では村田諒太がミドル級で銀メダルを獲得、翌年のロンドン五輪に弾みをつけました。

プロ入り後も、英連邦、IBFとWBAのインターコンチネンタルと地域タイトルをコレクション、無敗のまま昨年、体重超過のコンセプシオンを圧倒した末にWBA王座をもぎ取りました。バーミンガム出身の世界王者は、バンタム級のオーエン・モラン以来、なんと110年ぶりの快挙で、地元は相当に盛り上がったそうです。

今回の村中戦は「HOME COMING(英雄の凱旋)」と銘打たれ、スカイ・スポーツで英国全土に生中継されます。コンセプシオン戦も、ジョシュア対モリナのアンダーカードとしてマンチェスターアリーナで行われましたから、ずっとAサイドで戦ってきたスター候補ですね。


【軽量級の日本人の存在感は相当に大きいのですが、英国選手相手だと今やBサイドに回るのがデフォルトです。ヤファイの人気はまだまだ伸びそうですから、井上でも敵地に向かわなければならないかもしれません。】

ホルヘ・リナレスとアンソニー・クロラの2戦は、両者の実力を考えると、理不尽なまでにオッズはクロラに好意的だったように、今回の試合もオッズが反映しているのは現実の実力ではなく、英国ボクシングの沸点の高さでしかありません。

コンセプシオン戦を見てもヤファイのボクシングには怖さ、強さは、高い次元では感じ取ることはできません。現状では、凡庸な王者を英国が過大評価しているようにも見えます。井上を脅かす存在ではありません。

村中にもチャンスはあります。アリーナは360度ヤファイのサポーターで埋められ、アウェーの空気は半端じゃないでしょうが、リナレスがやったように英国ファンの酔いをスッキリ覚ましてやりましょう。

大ブーイングの中入場して、落胆で静まり返ったスタジアムを退場するのです。そして、控室で喜びを爆発させましょう。

村中ー!!ちぇすとーーッ!!

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ボクシングには、ミニマム級からヘビー級まで、17も階級があります。17まで細分化する必要などあるわけもなく、世界戦を量産することで承認料を稼ぎたい下劣なアルファベット団体と、一人でも多くの世界王者を作りたい興行側の歪んだ思惑が暴走し続けた結末です。

当然の帰結として、世界王者の地位は失墜、ボクシングそのものもニッチなスポーツに転落してしまいました。日本を見ても、世界王者の認知度の低さは悲惨なまでです。純粋想起で井上尚弥を認知している人は20%もいないでしょう。

ここ数年で、最も認知度の高かったボクサーは亀田兄弟が傑出していますが、彼らもボクシングのパフォーマンスが評価・注目されたわけではありません。厳しい言い方になりますがチンドン屋的な注目です。これがチンドン屋なら、人の耳目を引くことが仕事ですから、超一流、本当に素晴らしかったのですが、彼らはチンドン屋でなかったことが返す返す残念でなりません。


【ヘクター・カマチョはボクサーとしてはもちろん、人の耳目を引きつけることに関しても超一流でした。】

もちろん、ボクサーとしてもチンドン屋としてもお粗末な世界王者もいますから、彼らだけを糾弾するのは不公平です。先日も長兄は、その才能を遺憾なく発揮してくれました。ただし、それはあくまでもチンドン屋の才能を発揮しただけで、彼の言う「ボクシングの素晴らしさ」がどこまで伝わったかは疑問です。

リング誌のPFPランキングに日本人として初めて入った山中慎介と井上ですら、ボクシングの魅力を、一般のスポーツファンにも十分伝えることが出来ているか、となると極めて怪しいものがあります。ボクシングの世界王者っていうのはこれくらい凄い存在で、世界的な評価も高くて、報酬もサッカーや野球のようなメジャースポーツと比べても遜色がない…そいうことがわかってもらえると良いのですが、スーパーフライ級やバンタム級では世界的な注目度は低く、日本のリングが世界最大のマーケットというのが現実です。

井上がロマゴン戦の観戦で渡米した時、リングサイドでファンからサインを求められ驚いたというエピソードがありますが、そういうレベルです。

ボクシング全体が今やマニアのスポーツですが、中でも軽量級はマニアの中のマニアでないとまずニーズの無い階級です。

かつて、長谷川穂積が「尊敬するパッキャオのようにベガスに進出して一攫千金」と意気込んでいましたが、あれは本当に可哀想な妄想です。

確かにパッキャオはフェザー級で100万ドルファイターとスターの座を掴み取りました。それは不人気階級にもかかわらず、当時のフェザーには超弩級のスター選手3人も存在、覇権争いを繰り広げていたリングに、かませ犬として割って入り、3人とも撃破しちゃったからです。軽量級なのにスターが居並んでいたという奇跡の偶然と、そんな怪物たちを木っ端微塵にしてしまう異次元の実力がなければ、アメリカの土地で、軽量級のスター誕生なんて笑い話でしかありえません。

もし、長谷川vsフェルナンド・モンティエルが日本ではなく、ベガスで開催されていたら興行規模は惨めなものになっていたでしょう。あの試合も日本でやったからこそ、ビッグファイトたりえたのです。

また、西岡利晃のMGMメインイベントも極めて恥ずかしい虚飾でした。ラファエル・マルケスは一発殿堂もありうる軽量級屈指のスターでしたが、そのピークはとっくの昔に過ぎ去ったロートル。それでも、浜田剛史らは「今度は文句無しの強豪。西岡もさすがに不利予想を立てられるでしょうな」と語っていましたが、海外では圧倒的有利の予想で、周囲の引退勧告を振り切ってリングに上がるラファエルの健康を気遣う記事も少なくありませんでした。

そして「タイソンやデラホーヤ、メイウェザー、パッキャオが戦ったMGMのリングに西岡が立つ」という報道は正確ではありません。

西岡が立ったのは、同じカジノリゾートホテル内にある宴会場にこしらえたリングです。あの試合は「日本人初のMGMでメイン」という願望がまずありきで、それをなりふり構わず仕立て上げた下劣な虚構でした。さすがに、今ではWOWOWもMGMグランドアリーナの試合を放送するときに「ここは西岡さんも立ったあのMGMです」とは言わなくなりましたが。

大昔、福田健吾という、やはり亀田さん寄りのボクサーがいました。アイドル並みの人気で映画にも主演しました。「ウェルター」というタイトルの。そういう意味では、彼もまたボクシングの真実を図らずも伝えてくれました。「俺はフェザーだけど、一番かっこいいのはウェルター」ということを。

軽量級でラスベガスやアメリカの大舞台にメインイベンターとして立って100万ドルレベルの報酬を得られるのは、飛び抜けて人気のあるヒスパニックか、そのライバルを張れる英国人くらいです。日本のボクシング界も偽りのベガス妄想はもうそろそろ終わりにして、いかに日本で軽量級の大きな試合を継続可能な形で根付かせるかに注力するときです。その方が、軽量級には実体のないベガス妄想よりも、はるかにずっと夢があります。

もっと言えば、ベガスを始め欧米で強力なマーケットが確立されている中量級以上の階級よりも、「日本を真の意味でメッカにする」という道筋を模索できる軽量級の方が、興行的にははあるかに夢があるとも映ります。

村田諒太がよく語っている「ミドル級は美味しい階級。軽量級だとラスベガスで戦っても日本よりもファイトマネーが少ない」というのが真実です。あのパッキャオですら、1000万ドルを超える報酬を受け取り、ボクシング界の頂上を征服したのはウェルター級でした。

「日本人ボクサーにはベガスの夢は無い」のではなく、「日本人軽量級ボクサーにはベガスに夢はまず無い」のです。どうしてもベガスで目立ちたいのであれば、ライト級以上で超強豪をことごとく打ち負かすしか無いのです。

しかし、長谷川や西岡が妄想を膨らませてしまうのも無理はない魅力がラスベガスを始め、アメリカのメガファイトにふんだんに詰まっているのも、また事実です。

そして、その舞台は主にウェルター級とミドル級の選手によって彩られてきました。

そんなミドル級に、日本人が、自国の試合とはいえ、軽量級選手のようにAサイドで(暫定)王者を迎えるのです。

ボクシングの階級には、残念ながら貴賎があります。競技人口、注目度、報酬。メディアでも世界最大のESPNの階級ランキング10傑は、軽量級になるとベスト5までしか発表されません。

反論覚悟で言わせてもらうなら「日本が軽量級のメッカ」というのは、「ドブさらい」ということです。人気のない階級のメッカ、軽量級の人気選手は日本に関心がない。この現状を悔しいと思うなら、日本でメガファイトを、継続可能な形で根付かせることです。それができれば、これ以上に素晴らしいことはないでしょう。

話は逸れました。来週、村田が勝てば、長谷川らが勘違いするほどに煌びやかな中量級のリングに、日本人が上がる可能性があるのです。

ボクシングファンとしては興奮を抑えることなど、出来るわけがありません。

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いよいよあと10日を切ってきました。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ。アッサン・エンダムvs村田諒太。

今朝、銀座駅を降りると電飾の柱広告がズラリ。試合までの一週間あまりで、フジテレビだけでなくNHKや、他の東京キー局でも村田の特集番組を放映するというのですから、ボクシングの試合としては異例中の異例です。

今から22年前、竹原慎二が1995年にやはりWBAミドル級に挑戦した時は事前の特集番組はおろか、実際の試合もテレビ東京が深夜に録画放送するというひっそりとしたものでした。不公平感は否めませんが、これが五輪金メダリストと無名の叩き上げとの差なのでしょう。


【銀座駅構内の柱広告が目立ってました。竹原が見たら「ワシの時と何でここまで扱いが違うんかいのぅ!」と怒りそうですが…】

現在の世界ミドル級勢力図を見渡すと、WBAスーパー/WBC/IBFのベルトを巻くゲンナディ・ゴロフキン(GGG)が実力No.1、その対抗馬がリング誌公認王者のカネロ・アルバレス。3番手はGGGの連続KOをストップさせたダニエル・ジェイコブス。トップ3がこの3人ということには、多くのファンも異論はないと思います。

9月16日にGGGの3つのベルトと、カネロのリング誌ベルトを合わせた4本のベルトを、この二人のどちらかが独占することになります。そして、英国の人気者ビリー・ジョー・サンダースも自らのWBOベルトを賭けてこの勝者との対戦を熱望するでしょう。

5番手以降は混戦状態です。トップ戦線で戦う実力のある「元王者」グループにはデビッド・レミューに、アンディ・リー。階級屈指の強打者レミューと、妙な勝負強さを発揮するリーは不気味な存在です。また、このグループにはアッサン・エンダムも控えていることを忘れてはなりません。トップ5には入らないかもしれませんが、エンダムをトップ10に入れない人もいないでしょう。スピード、パワー、テクニックはもちろん、信じられないほどの回復力も持つタフなカメルーン人です。

これからタイトルを狙うグループは充実しています。先月22日に英国の無敗ホープ、トミー・ラングフォードを5ラウンドで葬ったアブタンディル・クルティゼは、7月8日にサンダースのWBO王座に挑戦します。勢いに乗るジョージア人がラングフォードに続き、英国人を敵地で撃破するようなことがあると、ミドル級戦線は一層混沌としてきます。

このクルティゼ、2010年にエンダムに完敗してるんです。7年前とはいえ、エンダムの実力は疑う余地のない本物です。エンダムが敗れたのは2012年にピーター・クイリン、2015年にレミューの2度だけ。当時のクイリンは無敗のWBO王者でGGGにとって最大の脅威と考えられていましたし、レミューとの一戦もGGGへの挑戦者決定戦でした。そして、クイリンに6度、レミューには4度も倒されながらも判定に持ち込んだだけでなく「ダウンがなければ勝っていた」というメディアもいるほどの脅威の粘りを見せたのです。

「エンダムをノックアウトすることは至難の技(というか今まで誰一人それを成し遂げたボクサーはいません)。しかし、倒さないと(ダウンでポイントを稼がないと)勝てない」。誰が戦うにしても、どうにもこうにも厄介な相手です。


【昨年12月12日に強豪アルフォンソ・ブランコを、わずか1ラウンド22秒で失神させたエンダムを世界10傑に数えないメディアはありません。】

勢いといえば、セルゲイ・デレフヤンチェンコ。ウクライナ生まれのニューヨーカーはまだ10戦しか戦っていませんが、ESPN、リング誌ともにミドル級10位と高い評価を得ています。元王者サム・ソリマンを2ラウンド、無敗の快進撃を続けていたケマール・ラッセルを5ラウンドで粉砕、次戦はトレアノ・ジョンソンとGGGのIBFタイトル挑戦権をかけて戦うことが決まっています。村田がエンダムに勝てば13戦目での王座奪取で、ミドル級史上最短記録となりますが、デレフヤンチェンコがジョンソンに勝って、GGG(カネロ?)から番狂わせで王座も奪うと12戦目となり、村田の記録は短命で終わってしまいます。

さらに、イマニュエル・アリームも17戦全勝無敗。WBAとWBCでランキング10位内に突入、世界挑戦の時が迫っています。魑魅魍魎が跋扈するボクシング界でも異彩を放つ怪人プロモーター、アル・ヘイモンがどこでこのカードを切ってくるのか、注目です。また、2世ボクサー、クリス・ユーバンクJr.もゴロフキン戦のキャンセルなどマイナスイメージが先行していますが、スピード、パワーともに備えた実力者です。リーに足元をすくわれたマット・コロボフもパンチ力と技術は一級品。

最後に、村田です。承認料目当ての多くのアルファベット団体は上位にランク、リング誌でもミドル級10位に滑り込んでいますが、ESPNでは10位圏外。当たり前の話ですがメディアのランキングが正常な評価でしょう。わずか12戦のキャリアは、、デレフヤンチェンコの10戦よりは多いとはいえ内容が違い過ぎます。ウクライナ人は過酷な露地栽培を逞しく生き残ってきましたが、村田は負けるわけがない12人を選んでここまで来た過剰なまでの温室育ちです。

リング誌やESPNなど海外メディアは「村田は栄誉ある金メダリストだが、プロでは何一つ試されていない」と切り捨てています。

ただし、経済大国の金メダリストからプロに転向するエリートは、ほとんど例外なく温室で育てられます。最近ではアンソニー・ジョシュアもそうでした。オスカー・デラホーヤは世界王者になってからも叩かれていました。古くはシュガー・レイ・レナードも、ジョージ・フォアマンも。

もちろん、金メダルの温室栽培が全て花を咲かせたわけではありません。米国史上最強と謳われた1984年ロス五輪チームのエースでスーパーヘビー級金メダルを獲得したタイレル・ビッグス、英国の夢だ未来だと嘱望されたシドニー金のオードリー・ハリソンは、温室の中で朽ち果てました。

とはいえ、温室育ちが全て脆弱なわけじゃありません。認めたくない気持ちもありますが、スーパースターの多くは、温室から生まれます。ロベルト・デュランは温室に入ったこともない豪傑、実力ではトップに立ったものの、人気の面では最高のバイプレイヤーが限界でした。数少ない例外はマニー・パッキャオと、J・C・チャベスくらいでしょう。

【ボクシング界のスーパースターで、過保護な温室栽培を経験しない例はまずありません。数少ない例外が、アジアの誇りマニー・パッキャオです。彼の場合は〝逆温室栽培〟とでも呼べるイバラのマッチメイクを突き付けられ、そして自らも選んできました(今はその反動で、晩年になって温室にこもるという異色のキャリアを紡いでいますが)。〜タイム誌の表紙を飾ったボクサーは偉大なアリら数えるほど、この30年間ではパックマンだけです。そして「世界に最も影響を与える100人」に選ばれた現役ボクサーは往年のアリとパッキャオだけ。】

温室育ちは、メディアやファンの風当たりが強いのは当たり前です。これはもう、有名税ですね。結構高くつく税ですが。

それでも。それでも、本物なら、温室を出されてからその実力を煌めかせます。

厳寒の風雪や、荒れ狂う暴風雨の中でこそ大輪の花を咲かせるのです。その花の大きさに、メディアもファンも、気持ち良く、その手の平を返すわけです。

さて。村田諒太は、どっちなのか。

スピード、パワー、テクニック、経験、そして恐るべきタフネス…全てを世界基準で備えたカメルーン人は、これ以上ない最高の試験問題になるでしょう。

満点回答して下さい!…と言いたいところですが、とにかく、何が何でも勝って欲しいですね。勝てば、日本のボクシングファンが今まで見たことがない、日本人が関わることなど絶対に無いと諦めていた、大きな大きな大きな夢が繋がります。

ケッパレ!!!村田!!!!!

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いやー、期待はずれでした。

「ハンドスピード、フットワーク、いずれも大きく劣るジュニアが離れて戦える時間は長くはない」とは予想していましたが、まさかスタートから最終ゴングまで一度もそれが出来ないなんて。

この一週間、固形物は一切口にできずに、ジュースやヨーグルトで凌いできたというチャベスJr.の動きは、最初から衰弱しきっているように見えました。計量後は「185ポンドまで戻す」と話していたジュニアですが、体調不良でそこまで戻せなかったのではないでしょうか。一方のカネロは、減量はしたでしょうが、過去最高の力強さでした。

ジュニアが「距離をとって戦う作戦だったが、彼のパンチが強すぎた。私は体に力が入らなかった」と、まさかのパワー負けを認めています。カネロは逆に、〝元〟ライバルのパンチ力はもちろん、体の力でも自分の方が上だとかなり早い段階で確信できたでしょう。

スピードと技術でカネロ、ジュニアが上回るのは体格とパワー。その予想は根底から崩れます。唯一上回る体格でも、頑健な筋肉で武装したカネロに対して、ジュニアはひ弱なノッポにしか見えませんでした。

1ラウンド終了、最初のインタバルでは、二人ともコーナーで座らず立ちっ放し。これから、メキシカン同士の意地のぶつかり合いが展開されると期待しましたが、2ラウンド目のインタバルでジュニアが早速ストゥール(椅子)を要求、深々と腰を降ろしてしまいます。一方のカネロは、最終ラウンドまで一度も座らずにコーナーを飛び出しました。

誰がどう見ても120−108という一方的な試合で、無策のジュニアが攻め込まれるラウンドを重ねました。それでも、一度も大きくグラつかなかったのはさすがですが、期待を大きく裏切る内容になってしまいました。

ジュニアは捨て身でも見せ場を作りたかったでしょうが、スピード、技術、パワー、全てで圧倒されては何も出来ません。「ナチョ・ベリスタインはロープに詰めてパンチを集めろと指示したが、カネロは私を誘っていたからその通りにしたらカウンターの餌食になるだけだ。ナチョの作戦は機能しなかった」とコーナーを批判するようなコメントも残しています。

ブーイングの中で試合終了のゴングが鳴らされた拍子抜けのメキシカン対決でしたが、クライマックスは試合後でしたね。カネロの呼びかけで、ゴロフキンが花道を通ってリングイン。9月16日、焦らしに焦らされたGGG対カネロが実現する、と発表されました。

【「SEE YOU SEPTEMBER!」GGGもカネロとの対決を今度こそは確信している様子です。】

ケル・ブルック戦から劣化が指摘されてきたGGGが、キャリア最強のダニエル・ジェイコブス戦でも課題をはっきりと露呈。カネロ陣営が待ち構えていた衰えの兆候をGGGが見せた今、GBPにとって「機は熟した」ということでしょう。最新のオッズはGGG勝利が約1.6倍、カネロが2.5倍と、かつての5−1レベルから急接近中、この数字は9月に向けてさらに拮抗するかもしれません。

今日の試合で「勝者も9月のリングに上がる準備が出来ない」ことが心配でしたが、それも全く無いですね。

現在のミドル級のトップ二人が9月に激突、どちらが階級最強なのか決着がつくわけです。試合内容によっては、ダイレクトリマッチもあるでしょうが、階級最強の座に就いた勝者が、ミドル級タイトルの他のピースを集めようとすることは必然です。9月に村田がWBAタイトルを保持していれば、当然そのターゲットになります。

【まやかしじゃない本当の「ラスベガスのビッグファイトでメイン」へ、村田の夢が膨らみます。】

あと13日後に有明で不撓不屈のカメルーン人を倒せば、9月16日のリングサイド席に村田諒太が座っているはずです。来年の早い段階でカネロかGGGと、村田がベガスで戦うなんてことも、アッサン・エンダムに勝った時点で十分に起こりうるマッチメイクです。

9月16日の試合後のリング上で勝者がリングサイドに向かって叫ぶわけです。「リングに上がって来い!村田!次はお前だ!」と。それがGGGの英語なのか、カネロのスペイン語なのか。

日本人初の正真正銘のラスベガスのビッグファイトへ!

とにかく、もう、何が何でも勝たねばなりません!

がまだせーーッ!!村田!!!

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