日本時間早朝の英国バーミンガム、バークレイカードアリーナ。

村中優は、12ラウンド通じて勇敢に攻め続けましたが、ジャッジは119-107が2人、残る1人は118-109。大差判定に散りました。私の拙い採点でも116-111、ヤファイの勝利に文句はありません。

村中は2ラウンドにダウンを奪われますが、スリップに見えました。まあ、パンチをもらってから滑ってるので、ダウンの判定に文句は言えませんが。

何よりこのリングはアウエーの中のアウエーです。スリップはダウンに、拮抗したラウンドは相手にポイントが振られる、それがアウエーなのです。


【計量後のフェイスオフ。完全アウエー、完全Bサイドの村中でしたが、敵地の雰囲気を十分楽しんでいるように見えました。】

後半に入るとヤファイは明らかに失速、思い通りにならない展開にイライラし出します。村中の左ボディが確実に効果をあげ始めています。疲弊したバーミンガムの英雄は6ラウンド、マウスピースを2度も吐き出してしまいます。

ヤファイもお返しとばかりにボディで応酬しますが、8ラウンドにあからさまなローブローで減点。

結果的には2人のジャッジはこの減点以外はヤファイの完封勝利、残る1人も村中が減点以外で取ったのは1ラウンドだけという判定でした。

ヤファイが村中の攻撃を受けてマウスピースを吐き出したのは、2回ともどう見ても試合を中断させるための故意に見えましたが、主審は減点どころか、注意もしません。

解説でも「(マウスピースをはめる時間で)ヤファイが休める」と安堵していましたが、露骨な反則ですね。

25勝のうちKOは8つしかない村中ではなく、井上尚弥のパンチなら序盤で試合を終わらせることができたでしょう。

試合後、ヤファイは「2ラウンドで両拳を痛めてしまい、そのあとは勝つことだけに専念した」とバツが悪そうに語り、プロモーターのエディ・ハーンは「今夜はいい勉強になった。もう1度 WBAタイトルを防衛したら、次は統一戦だ」と今後のヤファイの進路を明かしました。

現在のスーパーフライ級はWBAがヤファイ、WBCがローマン・ゴンザレスを大番狂わせで破ったシーサケット・ソールンビサイ、IBFがヘルウィン・アンカハス、そしてWBOは井上尚弥です。

【リング誌で3月の月間最高選手に選ばれたソールンビサイはロマゴンとの再戦など注目度が急上昇、英国に安く呼ぶことは難しそうです。】

ヤファイが英国を出て戦うことはないでしょうから、一番呼びやすいフィリピン人のアンカハスが統一戦のターゲットでしょうか。

井上でも正直、英国では戦いたくないですね。あんなジャッジが認められるなら、井上の攻撃も英国人に都合のいいように中断されるでしょう。

明白にラウンドを支配しないと、ポイントも全部持っていかれそうです。リナレス対クロラの第1戦も、判定が想像以上の小差であったことに、日本のファンは冷や汗をかきました。リング誌やESPNなど世界のメディアは「リナレスの大差判定勝ち。ジャッジは別の試合でも見ていたのだろう」とは書いてくれますが、判定の数字は変わりません。

倒さなければ勝てないとまでは言わないまでも、完全に支配しなければ負ける可能性があるのです。

それでも、あの舞台でヤファイをぶっ倒して欲しいですね。

軽量級選手にとっては、ラスベガスよりもO2アリーナやマンチェスターアリーナで英国のスター選手と戦う方がずっと華やかで、村中のような弱小ジムのボクサーにとっては報酬も日本でやる以上にもらえるはずです。

【アマ、プロ通じてヤファイは常に注目を浴びてきました。英国はもちろん米国でもその活躍は折に触れて紹介されています。この軽量級のスターを日本に呼ぶのは難しそうです。倒すなら敵地に乗り込むしかありません。〜リング誌2014年2月号から〜】

おそらく井上の場合は日本の方が報酬ははるかに高いでしょうから渡英する意味は少なくなりますが、中量級贔屓が甚だしいラスベガスで無名選手を相手にするよりも、軽量級でも熱狂する英国の大観衆の前で地元選手を痛烈に倒す方がワクワクします。

それにしても、村中選手、お疲れ様でした。2年前の日本タイトル戦で体重超過、秤の上でタイトルを失った時は「ボクシングやる資格なし」とも思いましたが、今朝はあんな敵地で敢然と戦う姿に清々しい勇気を見せていただきました。