ドワイト・ムハマド・カウイはライトヘビー級でプロデビュー、WBCタイトルを獲得。その後、クルーザー級に上げてWBA王者になりました。
イベンダー・ホリフィールド(身長189㎝/リーチ198㎝)とクルーザー級のタイトル戦を2度戦い、ジョージ・フォアマン(190㎝/199㎝)とはヘビー級で拳を交えました。
この80年代の重量級で活躍したCamden Buzzsawは、なんと166㎝/180㎝でした。身長は数㎝サバを読んでいたという説もあり、それが事実なら井上尚弥と変わらなかったことになります。
しかし、ホリフィールドとの初戦ではカウイは189¾ポンド、リアルディールの186ポンドを大きく上回っていました(当時のクルーザー級リミットは190ポンド)。再戦でも、カウイ190ポンド、ホリフィールド187ポンド。
カウイは身長の低さとリーチの短さが目立っていたものの、その肉体は筋肉が圧縮された重戦車でした。
また、全盛期は220ポンド前後でリングに上がっていたマイク・タイソンは体格こそ178㎝/180㎝でしたが、決して軽量のヘビー級ではありませんでした。

体格差は体重差とセットになったときにアドバンテージを発揮します。体重差がない場合は距離の戦いになります。
低い身長と短いリーチは同じ体重なら「体の分厚さ=体の強さ」を意味しています。そして「速さ」と「パンチの回転数」はインファイトで大きなアドバンテージになります。
高い身長と長いリーチは、十分な距離をとった場合に「相手の射程外からパンチを打ち込める」のであって、セバスチャン・フンドラのようにクロスレンジを好んでしまうとそのアドバンテージは消えてしまいます。
そして、何よりもその階級で目立って低い身長とリーチは、対戦相手にとって練習相手がいない、試合でいきなりぶっつけ本番という、スポーツの世界で最も威力を発揮する「異端の強さ」に昇華します。
このブログでも「タイソンやナジーム・ハメドは小さいのに頑張った。それを考慮したらもっと評価されるべき」という意見を何度か寄せていただきましたが、それを言い出すとカウイは歴代PFPキングで、ロベルト・デュランやヘクター・カマチョ、レオ・ガメス、カール・フランプトン、ガーボンタ・デービスらは、もっと高く評価されるべきで、カウイこそが史上最高のファイターになります。
もし、タイソンやデュランらが当該階級で平均的な体格、あるいは高い身長と長いリーチを持っていたら、そのスタイルは全く違うものになっていたのは間違いありません。
彼らとは逆に、トーマス・ハーンズやフンドラらの体格は、同一体重の場合、欠点も同時に抱えることになります。
ハーンズや中谷潤人の勝ちっぷりを見ると「身長は高い方が、リーチは長い方が絶対有利」と勘違いしてしまいますが、絶対有利ではありません。長距離を保てたとき、という条件付きで有利になるだけです。
ヘビー級以外の階級では、同じ体重でリングに上がるのが基本です(前日計量でこの大前提が大きく崩れていますが)。
つまり、ヘビー級では〝この理屈〟が当てはまります。
ヘビー級で体格と体重で大きな差がある場合、これは巨大なアドバンテージになります。

その意味でオレクサンダー・ウシクがやってのけたことは、同じような体重で戦っていたタイソンとは全く意味が違うのです。しかもタイソンが勝ったのは、ものの見事に弱い相手ばかりでした。
ジュニアミドル級戦を小さな体とウェルター級リミットも割り込む144ポンドで計量したマニー・パッキャオの怪物性も、ウシクと同じ距離を支配する機動力に裏付けられています。
フレームとは、ここでいう体格、身長とリーチのことです。
さらに、カウイやウシク、パッキャオのデータはありませんが、おそらく彼らは骨太です。ボクサーとしては過剰な筋肉を支える骨格が強いのは容易に想像できます。
井上尚弥はモンスターなどではありません。むしろ怪物とは最も縁遠い、自分の分際をわきまえた極めて慎み深い、ボクサーです。
試合のたびに過酷な減量を繰り返していると、肉体が代謝を鈍らせることはすでに解明されています。
とっくに成人して完成した肉体の井上がどんどん減量が苦しくなるのは、もちろん成長期だからではありません。新陳代謝が鈍るのは加齢が主な原因ではなく、過酷な減量のせいです。
減量とは何か?フレームとは何か?
過酷な減量は、肉体や骨にどんな悪影響を及ぼしているのか?
特に、日本のボクシング界に染み付いた減量の宿痾について考えてゆきます。
イベンダー・ホリフィールド(身長189㎝/リーチ198㎝)とクルーザー級のタイトル戦を2度戦い、ジョージ・フォアマン(190㎝/199㎝)とはヘビー級で拳を交えました。
この80年代の重量級で活躍したCamden Buzzsawは、なんと166㎝/180㎝でした。身長は数㎝サバを読んでいたという説もあり、それが事実なら井上尚弥と変わらなかったことになります。
しかし、ホリフィールドとの初戦ではカウイは189¾ポンド、リアルディールの186ポンドを大きく上回っていました(当時のクルーザー級リミットは190ポンド)。再戦でも、カウイ190ポンド、ホリフィールド187ポンド。
カウイは身長の低さとリーチの短さが目立っていたものの、その肉体は筋肉が圧縮された重戦車でした。
また、全盛期は220ポンド前後でリングに上がっていたマイク・タイソンは体格こそ178㎝/180㎝でしたが、決して軽量のヘビー級ではありませんでした。

「アリよりも小さく、フレージャーよりも重い」。それがタイソンでした。
体格差は体重差とセットになったときにアドバンテージを発揮します。体重差がない場合は距離の戦いになります。
低い身長と短いリーチは同じ体重なら「体の分厚さ=体の強さ」を意味しています。そして「速さ」と「パンチの回転数」はインファイトで大きなアドバンテージになります。
高い身長と長いリーチは、十分な距離をとった場合に「相手の射程外からパンチを打ち込める」のであって、セバスチャン・フンドラのようにクロスレンジを好んでしまうとそのアドバンテージは消えてしまいます。
そして、何よりもその階級で目立って低い身長とリーチは、対戦相手にとって練習相手がいない、試合でいきなりぶっつけ本番という、スポーツの世界で最も威力を発揮する「異端の強さ」に昇華します。
このブログでも「タイソンやナジーム・ハメドは小さいのに頑張った。それを考慮したらもっと評価されるべき」という意見を何度か寄せていただきましたが、それを言い出すとカウイは歴代PFPキングで、ロベルト・デュランやヘクター・カマチョ、レオ・ガメス、カール・フランプトン、ガーボンタ・デービスらは、もっと高く評価されるべきで、カウイこそが史上最高のファイターになります。
もし、タイソンやデュランらが当該階級で平均的な体格、あるいは高い身長と長いリーチを持っていたら、そのスタイルは全く違うものになっていたのは間違いありません。
彼らとは逆に、トーマス・ハーンズやフンドラらの体格は、同一体重の場合、欠点も同時に抱えることになります。
ハーンズや中谷潤人の勝ちっぷりを見ると「身長は高い方が、リーチは長い方が絶対有利」と勘違いしてしまいますが、絶対有利ではありません。長距離を保てたとき、という条件付きで有利になるだけです。
ヘビー級以外の階級では、同じ体重でリングに上がるのが基本です(前日計量でこの大前提が大きく崩れていますが)。
つまり、ヘビー級では〝この理屈〟が当てはまります。
ヘビー級で体格と体重で大きな差がある場合、これは巨大なアドバンテージになります。

その意味でオレクサンダー・ウシクがやってのけたことは、同じような体重で戦っていたタイソンとは全く意味が違うのです。しかもタイソンが勝ったのは、ものの見事に弱い相手ばかりでした。
ジュニアミドル級戦を小さな体とウェルター級リミットも割り込む144ポンドで計量したマニー・パッキャオの怪物性も、ウシクと同じ距離を支配する機動力に裏付けられています。
フレームとは、ここでいう体格、身長とリーチのことです。
さらに、カウイやウシク、パッキャオのデータはありませんが、おそらく彼らは骨太です。ボクサーとしては過剰な筋肉を支える骨格が強いのは容易に想像できます。
井上尚弥はモンスターなどではありません。むしろ怪物とは最も縁遠い、自分の分際をわきまえた極めて慎み深い、ボクサーです。
試合のたびに過酷な減量を繰り返していると、肉体が代謝を鈍らせることはすでに解明されています。
とっくに成人して完成した肉体の井上がどんどん減量が苦しくなるのは、もちろん成長期だからではありません。新陳代謝が鈍るのは加齢が主な原因ではなく、過酷な減量のせいです。
減量とは何か?フレームとは何か?
過酷な減量は、肉体や骨にどんな悪影響を及ぼしているのか?
特に、日本のボクシング界に染み付いた減量の宿痾について考えてゆきます。












