計量前日で体内の水分を抜く「水抜き」は、ボクシング界の主流になってします。

心身ともに消耗しきった状態で戦い抜き、11ラウンドTKOで散った石澤開は今回の減量で6.4㎏の水分を吐き出さなければならなかったことを告白しました。

従来は4㎏でしたが、高城正宏会長によると「足のケガで試合前の走り込みが出来ず」減量のスケジュールが狂ってしまったということです。

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リング誌などの専門メディアが警鐘を鳴らし続け、英国ボクシング管理員会(BBBofC)が試合前の「サウナ禁止」に踏み切ったのは、まさに今回のようなケースが後を絶たないからです。

「水抜きは契約体重の5%が限界。それ以上は危険」という医学的ガイダンスは、「個体差」や「3㎏」が一人歩きすることで無視され続けています。

水抜きは、サウナなどを利用することでしか成立しません。

例えば、計量前日にフルマラソンを走れば5%の水抜きは余裕でしょう。しかし、それでは翌日の試合を戦えません。

試合時間=ラウンド数が短い総合格闘技の選手はインタバルトレーニングも絡めて水抜きしますが、12ラウンド36分間戦うことを想定するボクシングでは過度の運動は禁物です。

石澤の「普段は4㎏」というのは、もし彼にメディカルコーチが付いていればありえない数字です。

ストロー級の47.6㎏に対して4㎏は8.4%。今回、石澤が抜こうとした6.4㎏なら13.4%。医学的に危険水域とされる5%は2.38㎏ですから、もはや狂気の沙汰です。

水抜きは、直前にケガや体調不良で減量がうまくいかなかった場合、今回の石澤のようにとんでもない負債を抱えて前日計量を迎えることになってしまいます。


水抜きの大前提は、体重の約60%(ストロー級なら28.56㎏)の水分が健康的に充填されていることです。

医学や生理に詳しくない人でも、28.56㎏から2.38㎏を抜くのですら非常に危険なことは直感的にわかるでしょう。

当たり前です。「5%」は立ちくらみや激しい倦怠感を伴う脱水症状を引き起こすラインなのですから。

「個人差」や「3㎏」という科学的根拠のない暗愚な減量を野放しにするから、体重超過が蔓延するのです。

体重超過だけで済むのなら、まだマシです。

BBBofCや米国の一部州のコミッション、格闘技団体が水抜きやサウナに厳しい姿勢で臨んでいるのは取り返しのつかない事故を起こしてしまったからです。

悲劇の事故は、その競技の廃止にも直結する死活問題。

それにもかかわらず、「個人差」を振り回す暗愚な指導者や低脳な選手はボクシングに対する破壊行為を行っていることに気づかなければなりません。

もちろん、禁止ルールがなければ選手はやります。一番悪いのは、ここまで危険性が明るみになっているにもかかわらず水抜きを野放しにしている統括団体です(WBAなどの承認団体には何の権限もありません)。 


すでに、このブログではご紹介済みですが、誰が聞いても理想の減量があります。

荒川仁人や、バンタムに出戻ってからのノニト・ドネアのような、オールドスクール型の減量法です。

目新しいものではありませんが、年に2〜3試合しかこなさない現代のボクサーにとっては高い次元で規律が求められる減量法です。

しかし、理想はそこにあります。