世界に翔び立つアスリートに共通しているのは「より高いステージに挑戦したい」という動機です。

しかし、動機は同じでも彼らが背負わされてしまう重圧は、「優勝を期待されて大きな注目を浴びながら日の丸を背負わざるをえない日本代表」において最も大きくなります。

また、大声では語れない、酷いことを書いてしまいます。スポーツには貴賎があります。

日本のプロ野球は間違いなくメジャースポーツで、その日本代表「侍ジャパン」には大きな注目と期待が集められます。

しかし、サッカー男子のA代表と比較すると、その重圧の差は歴然としています。
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WBCの監督が誰になろうが、ファンもメディアも受容します。それが、監督経験のない稲葉篤紀だったとしても。

そして代表選手に誰が選ばれようが、誰も文句を言ったり騒ぎたてることもありません。

その背景にはWBCという大会が国の威信を懸けた大舞台ではなく、米国MLBの野球啓蒙活動の一環でしかない、という事実をみんな理解しているということもあるでしょう。

しかし、もし米国がベストメンバーを真剣に召集する、真の野球版W杯が開催されたとしても、侍ジャパンが背負う日の丸はやはり、サッカー日本代表に及ばないでしょう。

今回、日本がポッドされたH組はポーランド、コロンビア、セネガルと同組です。けして「死のグループ」ではありませんが、普通に考えたら日本にとっては「余命3試合」の死のグループです。

3戦全敗でも仕方がありません。それなのに、全敗ならメディアは戦犯(負けるべくして負けるのですから本来は戦犯などは存在しえないのですが)を吊るし上げ、ファンも罵詈雑言を浴びせることになったでしょう。

1998年フランスW杯。日本が初めてその切符を掴み取った、記念すべき大会です。 そのときもグループH、アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカと同組でした。

どう考えても、決勝トーナメントに進めるわけがありません。それでも日本代表は戦いました。アルゼンチンとクロアチアには0−1、ジャマイカには1−2。サッカーの試合で1点差の試合を惜敗と呼ぶことなど絶対に出来ないのはわかっていますが、初めて辿り着いた世界の舞台で命がけで戦ったことは間違いありません。

アルゼンチンのFWバティストュータや、クロアチアのスーケル。彼らは日本ゴール前を徘徊しながら、シュートを打つことだけに集中していました。

一方、日本の城彰二はピッチを必死に走り回り、何度も訪れるピンチにはディフェンスにも駆けつけました。何度かのシュートチャンスを外したのは、ミスではなく相手でフェンダーのプレッシャーと、消耗のせいでしょう。

それでも帰国した彼らに待っていたのは批判の嵐でした。空港では城に水の入ったペットボトルが投げられました。

アジア最終予選では加茂周が更迭、岡田武史が指揮を執ることになりました。

サッカーの非情と冷徹を思い知らされた大会でした。ジョホールバルの歓喜からわずか半年、勝者と敗者のコントラストが鮮烈なのがスポーツの魅力の一つとはいえ、あんな絶望的な戦いに挑んで、打ちひしがれた代表がここまで批判されなければいけないことには到底納得出来ませんでした。
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今夜、セネガルとの大勝負です。勝ちます。28日(木)のポーランド戦も勝って、全勝で決勝に進みましす。

「日本では盛り上がっていません。期待されていないから気楽に戦えるのでは?」と聞いてきたメディアに、「どうせ全敗」と無責任に煽り立てたファンに、西野朗監督には「期待されていないお陰で、重圧を感じることなく戦えました。これで日本はちょっとは盛り上がってくれてますかね?」と皮肉の一つも語って欲しいですね。

まあ、彼らはそんなつまらない皮肉を口にするような狭量ではありませんし、無責任な人の相手をする余裕も必要もありません。

とにかく、叩きのめして下さい。いろんなものを、全部まとめて叩きのめして下さい。

日本がとんでもなく盛り上がっていることも、イビチャ・オシムの言葉も、彼らに届いているでしょう。

「日本は確実に強い。相手が一人に少なくなったから、コロンビアが弱いから勝ったんじゃない。この勝利を見たセネガルは、日本をリスペクトした戦い方をしてくる。そのことで戦術の幅が広がることを最大限に利用しなければならない。日本に弱点があるとしたら、自分たちを過小評価しすぎることだ。それは戦術の幅を狭め、相手を戦いやすくするだけだ」。