「弱い相手しか選ばない」。

井上尚弥に対して、海外のファンからは辛辣な意見も刺さってきています。

井上だけではなく村田諒太も「アッサン・エンダムは世界が認めるコンテンダーだったが、初防衛戦の相手は酷い」と。

弱い相手を選ぶ理由は「安全に防衛できる」という選手側のメリット(多くの場合、選手本人ではなく稼ぎ頭を失いたくないジムの意向です。内山高志が典型ですね)と、少しでも高い承認料を得たい腐敗団体(承認料はファイトマネーに準じますから、軽量級では日本人はドル箱です)の利権が一致するからです。

腐敗団体のランキングは当たり前ですが、無茶苦茶です。リング誌やESPNなどメディアのランキングに入っていない、おかしなボクサーが10位内のランクを持っていたり、さらには腐敗団体でもランク外だった雑魚が、タイトル戦決定でいきなり挑戦資格の順位に繰り上がるなんてマジックは、現在の日本人世界王者の誰もがその恩恵を与えられてきました。

独断と偏見で、井上が斬り込むバンタム級と、村田のミドルの「本当の世界ランカー」を総覧し、対戦の可能性を探ってみましょう。

まずは、バンタム級の「まともなランキング」から見てみましょう。
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チャンピオン制度を採用しているリング誌は、王者と1位〜10位までの11人、ESPNはトップ10のランキングになっています。

ESPNの10傑とリング誌は9人までオーバーラップ、リング誌で8位のエマヌエル・ロドリゲスがESPNではランク外となっています。

そして、ESPNの1位でリング誌にはその名前がないのが、ご存知、ルイス・ネリーさんです。

リング誌ではネリーのドーピングを受けて、あの試合を実質「無効試合」とし、山中のリング誌タイトルを移動させず、ネリーをランクから追放しました。実に正しい判断です。

さて、「ネリーさん問題」はひとまず置いて、今回は井上尚弥です。

現時点では、どちらのランキングにも入っていませんが、彼がコンテンダーの実力を持っていることは明らかで、すでにジェレミー・マクドネルの WBAのレギュラータイトルに挑むことが内定と言われています。

「まともなランキング」を見渡して、井上の当面の相手を考えると、すでに対戦が決定済みの「山中vsネリー」「ゾラニ・テテvsオマール・ナルバエス」の4人は除外しなければなりません。

ボクシングのパワー国家でないドミニカのファン・カルロス・パヤノ、カザフスタンのザナト・ザキヤノフ、パワー国家ですがまだ人気のないプエルトリコのエマヌエル・ロドリゲスも、〝通常価格〟で呼べるでしょうが、この3人は危険です。

さらに日本に呼べる相手を考えると、ライアン・バーネットはマッチルームの貴重な駒で簡単には動かせません。リー・ハスキンスは現在無冠。もう一人英国で人気が伸びていないWBAのセカンド王者マクドネルが今回の標的です。

正直、井上に「今のバンタムで強豪と戦え」と注文してもマクドネルで精一杯というのが現状です。

マクドネルでも十分強豪です。井上が戦った「まともなランキング」に入っている選手としては、河野公平以来です。

英国の第四の男、ポール・バトラーもマッチルームが温室栽培中で無冠、こちらも現時点で井上が戦う相手ではありません。

井上との対戦が内定と伝えられるマクドネルは、ハスキンスに僅差判定負け、無名で当時10勝(3KO)12敗3分という三流選手にスプリットとはいえ判定負け、と2敗を喫していますが、2015年に亀田和毅に2連勝していることで日本のファンにもお馴染みです。

井上がマクドネルから順当にWBAのセカンドタイトルを奪い、「相手が逃げる」と言って、また弱い相手と防衛を重ねるのが最悪のシナリオです。

長谷川穂積や内山高志と同じ轍を踏む前に、どこかで勇気の橋を渡らねばなりません。