
=写真=ESPNの興行の番宣で、涙ながらに決意を語るベルトラン。「家族を守るためにもアメリカの永住権を掴まなければならない。私は36歳、この試合がラストチャンスだ。今までも、勝つと信じてリングに上がってきた。しかし、この試合は特別だ。絶対に負けられない。私と私の家族の人生が、丸ごとか賭かっているんだ」。
絶対に負けられない戦いがある。
そんなアディダスの広告が語る言葉が現実に当てはまることは、実は滅多にありません。
その、滅多にない〝絶対に負けられない戦い〟を迎えるのが、明日のレイです。
もし、この世界戦を落としてしまうと、就労ビザが切れ、レイの稼ぎを頼りに生活している家族を残して、メキシコに送還される可能性が大なのです。
世界王者になれば「アメリカの国益に貢献できる普通じゃない才能がある」と認められ、〝アーティストのグリーンカード〟が手に入るのです。
「どうせ負けてもパッキャオが家族の面倒見てくれるんでしょう」と聞いてくる意地の悪いメディアに対して、レイはムッとして、まくしたてます。
「それを言ったらパッキャオのスパーリングパートナーを辞めてなんかいない。最初から変な世界チャンピオンよりも待遇は良かったし、金額はどんどん跳ね上がっていったからね」。
「ただ、私はパッキャオの傘から出て行く必要があると感じたんだ。彼のおかげで強くなった、でもこれからは、自分の傘をさして、家族を守って、嵐の中を突き進んでいくのさ。それが私にとっても家族にとっても大切なことだとわかったから。これは、会社の傘に身を寄せ合って生きている君たちにはわからない、誇りの話だ」。
かつての雇用主、マニー・パッキャオからは「お前は絶対に勝たなければならない。勝てばグリーンカード、負けたら家族と引き離されるんだ。ここからはお前だけの責任だ。私には何も出来ない」とエールを送られています。

=写真=ベルトランが提出した書類一式の「受理と審査を行う」ことを告げる通知書が、国土安全保障省から送付されました。「世界タイトルマッチの結果を鑑みて審査を行う」…つまり勝てばグリーンカード、ゲットです。
レイのEB-1取得に対する陳情には、米国の議員を含む多くの米国市民が支持を表明しています。
異例と言うか、当然というか、その中には非米国市民がたった一人だけ署名しています。マニー・パッキャオです。
1996年間、15歳のときに母親と兄弟と極寒の国境越えを敢行してから22年もの時間が経ちました。
今度は、夜の山脈を突破する違法の国境越えではありません。
合法の〝国境越え〟です。米国政府に認められて、晴れて米国市民になれるのです。
運命のゴングまで12時間を切りました。
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