In the Name of The Father 〜父に祈りを。

火蓋を切ったシンコ・デ・マヨの3大イベント。

1発目のタイムズ・スクエアのイベントには色んな意味で愕然、呆然とさせられました。

他のあスポーツにないボクシングの醍醐味、その究極の要素は「勇気」です。

モハメド・アリの戦いに、どうして人はあそこまで魅せられてしまったのか?全盛期のシュガー・レイ・レナードがあれほど輝いた理由はどこにあるのか?米国市場で頂点に立てるわけがないはずの異邦人マニー・パッキャオがどうして誰からも抱きしめられたのか?

ボクシングファンは、むき出しの勇気をみせられたときに心を踊らされてしまいます。

デビュー戦でニューヨークの変則的超大舞台を用意されたことが悪い意味で影響してしまったかもしれませんが第2ラウンドに事実上のダウンを奪った堤麗斗も、むき出しの勇気を見せて欲しかった。

そして、自分たちの日常で見飽きた怯懦を見つけてしまうと、激しく幻滅してしまうのです。

今日のカネロ・アルバレス、明日の井上尚弥のイベントでは、誰かが勇気を撒き散らしてくれるでしょうか?



シンコ・デ・マヨに登場するテオフィモ・ロペス、デビン・ヘイニー、井上尚弥の共通点は?

ーーー「父親がトレーナー」ということです。

テオフィモ・ロペスのシニアは、息子の代わりにトラッシュトークまで担当する〝分身〟。ボクシングファンもメディアにとって、とんでもなく目障りで面倒臭い存在です。

デビン・ヘイニーの父親ビル・ヘイニーはテオフィモSr .ほどウザったい存在ではありません。

そして、井上尚弥のトレーナーは井上真吾。

3人に共通しているのは、当たり前の話ですが「ドライな契約」を突き抜けた「ウェットすぎる血縁」で強く結びついていることです。

さらに、この3人については優秀な息子以外には、目立ったファイターを育てていないことも共通しています。

真吾パパは拓真も王者に育てましたが、もしこれを評価するなら3人の〝拓真〟を仕上げた亀田史郎の方が上になります。

全米ボクシング記者協会の Trainer of the Year Award、すなわちFutch–Condon Awardも、誰もが知っている〝父子鷹〟の父トレーナーが名前を刻んできました。

1989年にスタートしたFutch–Condon Awardに輝いた父子鷹の「父」は…。


【1995年&2000年】フェリックス・トリニダードSr.

ティトのお父さんはマナージャー色の方が濃いでしょうか?ステージ・パパです。


【1998年】ジャック・モズリー

【2007年】エンゾ・カルザゲ

【2017年/2018年】アナトリー・ロマチェンコ

ワシル・ロマチェンコの父親。

息子をボクサーに育てるイメージを持っていたにも関わらず、幼少期はダンスを学ばせるなど素人にも玄人にも出来ないグランドデザインを描いた天才。

オレクサンデル・ウシクが指導を求めたのも納得です。


【2020年】テオフィモ・ロペスSr.

これがアリなら史郎も真吾もアリだと思うのですが、所詮は全米ボクシング記者協会、米国のローカル記者協会の選定です。




*****こうして見渡すと、史郎と真吾も選ばれて全くおかしくない気がするのですが、やはり、結局は Boxing Writers Association of America という一点に尽きるのかもしれません。

「トレーナーが父」ではなく、名選手の息子が名トレーナーというのが、シェーン・マグギガン。デビッド・ヘイ、カール・フランプトン、ジョシュ・テイラー、ルーク・キャンベル、ダニエル・デュボアらを指導してきました。

サウジアラビア見参のカネロ・アルバレスのトレーナーは、ホセとエディのレイノソ親子。カネロとはないはずの「ウェットすぎる血縁」を、彼らに感じるのは私だけではないでしょう。

そして、日本時間5月5日の井上尚弥。真吾トレーナーは、あと乗りの大橋秀行会長にリクエストした「白州」、ラスベガスでいただくジャパニーズ・モルトはとんでもなく美味しいはずです。