毎年この時期に発表されるフォーブス誌のThe World’s Highest-Paid Athletes(世界のアスリート長者番付)。

かつて、選手報酬の多くは入場料やテレビ放映権料から分配されていました。

選手報酬を上回るスポンサー収入を得ていたのは、ほんの一部のゴルファーやカーレーサー、テニスプレイヤーに限定されていました。富裕層が自らも興じるテニスやゴルフ、自家用車のメーカーにとってトップ選手は最高の広告塔ですから、当然です。

現在も、富裕層の関心が高いスポーツの関連企業が大きな資金を用意していることに変わりはありません。

一方で、人気スポーツのスター選手が持つ影響力を、イメージ戦略に積極的に起用する企業が増え続けています。

「富裕層の関心」は必要条件ではなく、グローバル時代では「地球規模の人気」を誇るサッカーは長者番付に8人を送り込むスペードのエースになりました。

「地球規模」という点では「局地的」ですが、巨額のスポンサー資金を持つ多くの企業が拠点を構える米国で人気のスポーツ、バスケットボールとアメリカンフットボールも鮮やかな絵札で、NBAが番付に19人、NFLが11人をリストアップ、スポーツ別で1位、2位を占めています。

人気面で、NBAとNFLの後塵を拝しているMLBではさらに「局地的」な現象が起きています。極東の島国で特別な人気を誇る野球、そこに出現した大谷翔平がアスリート史上最高額の契約を結んだのです。

大谷のスポンサーはほぼ全てが日本企業。日本でのイメージがほぼ神に近いユニコーンは、この国の企業にとって白紙の小切手を奉納するほどの対象になっているのです。

そして、そのイメージ戦略は企業だけでなく、サウジアラビアに代表される国家までが食指を伸ばす時代に突入しました。

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さて、フシ穴な解説はこの辺にして、フォーブス誌の2024年概観を拙訳。


******クリスティアーノ・ロナウドが世界のアスリート長者番付の1位に名前を刻んでから8年が経ち、世界的なスーパースターは39歳になった。

レアル・マドリード、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、世界屈指のクラブに迎えられ、現在はサウジアラビアのアル・ナスルに翼を下ろしている。

彼の年齢と環境は大きく変わったが、変わらないことがたった一つだけある。彼が高額の報酬を獲得し続けて、世界を驚かせているということだ。

ロナウドはこの1年間で2億6000万ドルを稼ぎ、4度目の番付トップになった。その内訳は、アル・ナスルから選手報酬2億ドル、ナイキなどからのスポンサーから6000万ドル。

サウジを筆頭に中東マネーが欧米の人気スポーツに投下されたことが市場を拡大させたのだ。

スター選手の好感度イメージを利用する企業が増え、またスター本人もその名声を活用して事業活動を行うようになり、選手報酬の76%(29億4000万ドル)に対して、エンドースメント(スポンサー収入など選手報酬以外)が24%(9億3600万ドル)を占めている。

トップ50のボーダーライン、50位はNBA選手のデビン・ブッカーで4520万ドルで、昨年から20%増。トップ50のハードルは年々、引き上がっている。*********

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さて、サウジアラビアでの試合も話題に上がっている井上尚弥です。

マイナースポーツの底に沈み続けるボクシングで、さらに不人気階級の軽量級。そしてアジア人。井上がForbes Fighterになるためのハードルはいくつもあって、そのどれもが非常に高いもの。

歴史上、The World’s Highest-Paid Athletesのランキングに名前を刻んだアジア人のボクサーはマニー・パッキャオ唯一人だけ。そのパッキャオも人気階級のウェルター級に進出してから。

さらに、井上のファイトマネーはブラックボックス。

もちろん、ファイトマネーからアルファベット団体への承認料(3%×4団体=12%)が接収されますから、ここを抑えたい、不透明にしたいという思いはあるでしょう。

とはいえ、大橋秀行会長の口頭ではなく、欧米のようにコミッションからの公表があっても良い、その方が日本ボクシング界の健康的な発展につながると思うのは私だけではないでしょう。