マイク・トラウトを三振という言葉の通りにKOした大谷翔平の姿を「神々しい」と叫んだフォックスの解説者は手前味噌だったかもしれません。しかし、そう感じたファンも少なくなかったでしょう。



半年前にオスカー・デラホーヤをストップしたマニー・パッキャオが、タフなリッキー・ハットンを5分以上も寝転がらせたとき、「これはもう神が介在してますよ!」と唸った香川照之の言葉を大袈裟に感じた人も少なかったでしょう。 

しかし、トップアスリートは神ではありません。

彼らの言葉は変節します。

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大谷翔平はファイターズ入りを決断するまで「二刀流がプロ入りの条件」などとただの一度も口にしたことはありません。

「メジャー1本。NPBには指名されても絶対に行かない」と明言していました。しかし、最初は有名な目標シートのど真ん中には「ドラ1 八球団」と書いていたのです。

「ドラ1 八球団」。どでかい夢です。みんな書きます。そして、誰もその夢を叶えることはできません。

ましてや、その夢を超えるなんざ!



マニー・パッキャオは世界ライト級王者になるのが夢でした。

敵地タイで、大番狂せを起こしてフライ級王者になったときには「ライト級で世界王者になれればそれがゴール」と口にしたのを聞いて、私は「ラッキーパンチで勝った王者が何言ってるの?」と覚めた目で見てしまいました。

下院議員に当選したときも、上院議員になったときも「大統領になんて興味がない。立候補することは絶対にない」と宣言していましたが、大統領選が迫ると前言をひっくり返しました。 

パッキャオがラスベガスでメガファイトを繰り広げながら、通信教育で学業を修めたのは、酔狂ではありません。



大谷やパッキャオが呆れ果てるほどユニコーンなのは「夢」を簡単に超えてしまったからです。

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ほとんど全てのアスリートは成長するにつれて、現実に圧倒され、その「夢」は萎んでゆきます。

井上尚弥はラスベガスの最大会場がすでにT -Mobileアリーナに移ってしまってからだというのに「MGMグランドガーデンアリーナでメインを張るのが夢と、語ってしまいました(事実を教えられていなかったのでしょう)。

そして「そのためには最低でもフェザー級に上げないと」という趣旨の夢を語りました。

しかし、井上が夢見た巨大な需要は軽量級にはありえないことを思い知らされて、日本に逃げ帰りました。

「逃げ帰った」という表現は、刺激的かもしれませんが、そういうことです。事実を受け止め、しっかり理解しなければなりません。


そして、優れたアスリートに〝嘘〟を吹き込む人が、一番ダメです。最低です。

「MGMメイン」なら西岡や井上のロジックを使えば、いくらでも試合ができます。足元を見られて、高額の憧れ料をふっかけられましたが。

実際に井上は「まさかバンタムでメインが張れるとは思わなかった」と感激していましたが、聡明な彼はすぐ気づいたでしょう。

コロナ禍で入場制限されていましたが、そこはアリーナではなく会議室でした。入場して馬鹿騒ぎしてる観客は、普通に考えるとサクラでした。

「本場の観客はどうでしたか?」という質問に、井上が「ただ騒いでるだけ」と吐き捨てるのは痛々しかったです。

井上は、コロナ前にジョンリール・カシメロとの試合が決定していました。舞台はMGMグランドガーデンアリーナに次ぐラスベガス・カジノの大会場マンダレイベイでしたが、もしコロナがなく、あの試合が行われていたら上階席封鎖で超格安チケットになっていたのは100%間違いありません。



ラスベガスで夢とまで、目標にすべきはT -Mobileアリーナ、ニューヨークならマディソン・スクエア・ガーデンのアリーナかバークレイズセンターです。

ただ…これをあからさまにしてしまうと〝西岡ロジック〟や〝井上方式〟は使えません。もしかしたら、だから見えないふりをしているのかもしれません…。

あるいは、信者も含めて本当に知らないとか…だとすると怖すぎます。



井上のアメリカでの夢が頓挫したように、「夢」は萎むのが当たり前です。



ところが、誰からも「絶対に無理」と決めつけられながらも、夢を膨張爆発させる本物の化け物もいます。  

変節しながら、魅惑のフェロモンを撒き散らしたクレイジーなグレートを振り返ってゆきます。