これから登ろうとする山が〝人の目から見て〟高ければ高いほど、戦意は高揚するものです。
悲しいかな〝人の目〟が大切なのです。
人が、世間が、世界がチヤホヤするーーーそんな山に誰もが登りたがるのです。
スポーツでいうとサッカーのワールドカップや、野球のメジャーリーグが〝そんな山〟です。
もちろん、真実はそんな誰の目にも見やすいところにはありません。
スポーツの本質が「挑戦する勇気」に凝縮されるとするならば、それを遂行しているのはchallengedたちに他なりません。
しかし、私たちにはそれが見えないのです。
challenged でなくてもマイク・タイソンとリカルド・ロペス、ほぼ同時代に生きた二人、どちらが競技と真摯に向き合い研鑽したかは論を待たないというのに。
人は空ばかり見てる(中島みゆき)のです。
ロペスのような軽量級ボクサーにとって、世界中がチヤホヤする高峰の山など、どこを見渡してもありません。
カリド・ヤファイは、PFPなどの専門家評価で人気階級のスター選手を凌駕したローマン・ゴンサレスを尊敬していました。しかし、同時に「私がミドル級なら住む家も乗る車も何もかもが違っていた」と、軽量級の哀切を嘆いていました。
実は、富裕国で唯一軽量級が正しく尊敬されている日本ですら事情は変わりません。
もし、井上尚弥がミドル級やウェルター級でバンタム級と同じパフォーマンスを見せていたなら「米国で無名」なんて誰も言えなかったでしょうし、米国の大きなメディアでも取り上げられながら、日本でのステイタスも全く違うものになっていたはずです。
井上もヤファイと同じ「もし私がミドル級なら…」の一人である、軽量級なのです。
スティーブン・フルトンも、そんな軽量級の辛酸を舐めてきました。
特に、それはプロになってからのことです。
アマチュア時代から親交のあったガーボンタ・デービスやエリクソン・ルービン、ジムの後輩、ジャロン・エニスら人気階級で戦う彼らと自分の間には、明らかな格差があることを痛いほど感じてきました。
ルービンやエニスは「スーパースター候補」でしたが、軽量級はどんなに強くてもスーパースターにはなれないから、フルトンは「どんなに勝っても無敗でもスーパースター候補になれない」と悟りました。
マイク・タイソンやシュガー・レイ・レナード、オスカー・デラホーヤ、フェリックス・トリニダード、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ・アルバレス…ボクシングファンなら誰でも知っている有名なボクサーに軽量級の選手がたったの1人もいないことは、何となくわかっていました。
しかし、いざその場所に立つと未来への希望が萎んでいくような気がしました。
デービスやルービン、エニスと同じように無敗のプロキャリアを重ねても、彼らとフルトンではメディアの扱いとファンの声援は全く違う種類のもの。それを目の前で見るのは面白い話ではありません。
身近に人気階級の友人がいたことは、良いことばかりではないのです。
これから登ろうとする山が〝人の目から見て〟高ければ高いほど、戦意は高揚するものです。しかし、その山が想像してた以上に低いことを知ってしまったら…?
それでも、フルトンは世界王者を目指して無敗街道を突き進みます。
もし、自分がミドル級ならカネロにはなれなかったかもしれない。軽量級だから世界王者になれるチャンスがあるのかもしれない。
とにかく前向きにリングに上がり続けます。 2017年にはルイス・ロサリオ、アダム・ロペスとの無敗対決に連勝。ジュニアフェザー級の世界ランキングに突入します。この2試合のビデオを見たカール・フランプトンがフルトンをスパーリングパートナーとして英国に呼び寄せ、ノニト・ドネア戦に備えたのでした。
フルトン、最後のストップ勝ちは2019年8月24日。もう4年近くも前のことです。
ドネアに完勝したフランプトンから「ドネアより強い」と激励されたフルトンは、タフなヘスス・アフマダ・アルセを初めてストップ。
戦績を15戦全勝6KOまで伸ばすと、ついに世界戦のチャンスが舞い込みます。
2019年5月11日、バージニア州フェアファックス・イーグルバンクアリーナ。マイナー団体IBOのジュニアフェザー級王者38歳のパウルス・アンブンダに挑戦。三者とも120−107の完封勝利を収めました。
アンブンダは6年前の全盛期に亀田和毅に完敗、初黒星を喫するとともにWBOバンタム級王座も奪われている〝世界基準未満の世界王者〟。
ボクシングマガジン2019年7月号の小さな記事を読んだファンの多くは「アンブンダ、まだやってたのか」と思った程度で、フルトンに注目した人はほとんどいなかったでしょう。
この7月号は井上尚弥が英国グラスゴーでエマヌエル・ロドリゲスを粉砕、WBSS決勝進出を決めた試合が大特集されていました。
SSEハイドロで行われた井上vsロドリゲス戦は、ジュニアウェルター級の世界戦ジョシュ・テイラーvsイバン・バランチェックのセミファイナルでしたが、上階席が封鎖される悲しい風景。英国ではジュニアウェルター級でも「軽い」ということを実感させられてしまいました。
そして、アンブンダに勝って初めて世界王者になったフルトンでしたが、地元ですら全く注目されません。
しかし、この男はどこまでも前向きです。
「メジャー団体のタイトルを獲れば少しは注目されるに違いない」。
そして…フルトンの道は一気に開けるのでした。
悲しいかな〝人の目〟が大切なのです。
人が、世間が、世界がチヤホヤするーーーそんな山に誰もが登りたがるのです。
スポーツでいうとサッカーのワールドカップや、野球のメジャーリーグが〝そんな山〟です。
もちろん、真実はそんな誰の目にも見やすいところにはありません。
スポーツの本質が「挑戦する勇気」に凝縮されるとするならば、それを遂行しているのはchallengedたちに他なりません。
しかし、私たちにはそれが見えないのです。
challenged でなくてもマイク・タイソンとリカルド・ロペス、ほぼ同時代に生きた二人、どちらが競技と真摯に向き合い研鑽したかは論を待たないというのに。
人は空ばかり見てる(中島みゆき)のです。
ロペスのような軽量級ボクサーにとって、世界中がチヤホヤする高峰の山など、どこを見渡してもありません。
カリド・ヤファイは、PFPなどの専門家評価で人気階級のスター選手を凌駕したローマン・ゴンサレスを尊敬していました。しかし、同時に「私がミドル級なら住む家も乗る車も何もかもが違っていた」と、軽量級の哀切を嘆いていました。
実は、富裕国で唯一軽量級が正しく尊敬されている日本ですら事情は変わりません。
もし、井上尚弥がミドル級やウェルター級でバンタム級と同じパフォーマンスを見せていたなら「米国で無名」なんて誰も言えなかったでしょうし、米国の大きなメディアでも取り上げられながら、日本でのステイタスも全く違うものになっていたはずです。
井上もヤファイと同じ「もし私がミドル級なら…」の一人である、軽量級なのです。
スティーブン・フルトンも、そんな軽量級の辛酸を舐めてきました。
特に、それはプロになってからのことです。
アマチュア時代から親交のあったガーボンタ・デービスやエリクソン・ルービン、ジムの後輩、ジャロン・エニスら人気階級で戦う彼らと自分の間には、明らかな格差があることを痛いほど感じてきました。
ルービンやエニスは「スーパースター候補」でしたが、軽量級はどんなに強くてもスーパースターにはなれないから、フルトンは「どんなに勝っても無敗でもスーパースター候補になれない」と悟りました。
マイク・タイソンやシュガー・レイ・レナード、オスカー・デラホーヤ、フェリックス・トリニダード、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ・アルバレス…ボクシングファンなら誰でも知っている有名なボクサーに軽量級の選手がたったの1人もいないことは、何となくわかっていました。
しかし、いざその場所に立つと未来への希望が萎んでいくような気がしました。
デービスやルービン、エニスと同じように無敗のプロキャリアを重ねても、彼らとフルトンではメディアの扱いとファンの声援は全く違う種類のもの。それを目の前で見るのは面白い話ではありません。
身近に人気階級の友人がいたことは、良いことばかりではないのです。
これから登ろうとする山が〝人の目から見て〟高ければ高いほど、戦意は高揚するものです。しかし、その山が想像してた以上に低いことを知ってしまったら…?
それでも、フルトンは世界王者を目指して無敗街道を突き進みます。
もし、自分がミドル級ならカネロにはなれなかったかもしれない。軽量級だから世界王者になれるチャンスがあるのかもしれない。
とにかく前向きにリングに上がり続けます。 2017年にはルイス・ロサリオ、アダム・ロペスとの無敗対決に連勝。ジュニアフェザー級の世界ランキングに突入します。この2試合のビデオを見たカール・フランプトンがフルトンをスパーリングパートナーとして英国に呼び寄せ、ノニト・ドネア戦に備えたのでした。
フルトン、最後のストップ勝ちは2019年8月24日。もう4年近くも前のことです。
ドネアに完勝したフランプトンから「ドネアより強い」と激励されたフルトンは、タフなヘスス・アフマダ・アルセを初めてストップ。
戦績を15戦全勝6KOまで伸ばすと、ついに世界戦のチャンスが舞い込みます。
2019年5月11日、バージニア州フェアファックス・イーグルバンクアリーナ。マイナー団体IBOのジュニアフェザー級王者38歳のパウルス・アンブンダに挑戦。三者とも120−107の完封勝利を収めました。
アンブンダは6年前の全盛期に亀田和毅に完敗、初黒星を喫するとともにWBOバンタム級王座も奪われている〝世界基準未満の世界王者〟。
ボクシングマガジン2019年7月号の小さな記事を読んだファンの多くは「アンブンダ、まだやってたのか」と思った程度で、フルトンに注目した人はほとんどいなかったでしょう。
この7月号は井上尚弥が英国グラスゴーでエマヌエル・ロドリゲスを粉砕、WBSS決勝進出を決めた試合が大特集されていました。
SSEハイドロで行われた井上vsロドリゲス戦は、ジュニアウェルター級の世界戦ジョシュ・テイラーvsイバン・バランチェックのセミファイナルでしたが、上階席が封鎖される悲しい風景。英国ではジュニアウェルター級でも「軽い」ということを実感させられてしまいました。
そして、アンブンダに勝って初めて世界王者になったフルトンでしたが、地元ですら全く注目されません。
しかし、この男はどこまでも前向きです。
「メジャー団体のタイトルを獲れば少しは注目されるに違いない」。
そして…フルトンの道は一気に開けるのでした。

コメント
コメント一覧 (13)
ヘビー級や一握り(と言うか数人?)の米国人かヒスパニックのスター以外でビッグビジネスになることはないですしね。
つまり彼らにとっての本場です。
本国ではウェンブリースタジアムやマンチェスターアリーナ埋めるフロッチすら米国ではスーパー6をヴォードウォークのダンス会場でやるくらいですから。
これ、よく西岡マルケスで宴会場などと揶揄されるMGMボールルーム以下の会場です。
流石に本国のスター、ウォードとはヴォードウォークのアリーナの方でしたが。
軽量級だけが悲哀、というより"米国、ヒスパニックに生まれなかった悲哀"の方がしっくり来ますかね。
それでもフロッチや井上の様にビッグマネーを稼げる場所があってボクシング界での評価がトップクラスならそれで充分だと思います。
あとヤファイなんてミドル級だったとしても全く稼げないでしょう。
フシ穴の眼
が
しました
人気階級のミドル級の価値はそれほど大きいということです
まぁ井上はフルトンMJ戦次第で日本国内では価値が高騰するかもしれませんが…
フシ穴の眼
が
しました
やる前からわかっとたやろ的な。
フシ穴の眼
が
しました
奴が日本人として産声を上げていたなら…
私はフルトンを応援します
フシ穴の眼
が
しました
フシ穴の眼
が
しました
フシ穴の眼
が
しました