スティーブン・フルトン。

彼の28年の人生を辿るようなイメージで書き始めましたが、このボクサーのバイオグラフィーっぽいものはどこにも見当たりません。

というわけで、引き続き、求む!フルトン情報!

さらにというわけで今夜は「階級の壁」について。

語り尽くされたテーマです。

このブログでもジュニアフェザー級以下の超軽量級では、10ポンドが「節目の壁」になると書いてきました。

フライ(112)〜ジュニアバンタム(115)〜バンタム(118)ではパンチャーの誉れ高かったノニト・ドネアは、ジュニアフェザー(122)になると、その強打は影を潜めてしまいます。

ドネア以上にフライ〜ジュニアバンタムで破壊的だったビック・ダルチニアンは、バンタム級ではその強打に急ブレーキがかかってしまいました。

超軽量級で史上初のPFPキングに就き、その座を2年間も守ったローマン・ゴンサレスですら、ストロー(105)〜ジュニアフライ(108)〜フライで見せたボクシングはジュニアバンタムでは歪んでしまったのです。

バンタム〜ジュニアフェザー〜フェザー(126)と、3階級に渡って軽量級のフロントランナーだったレオ・サンタクルスも135ポンドでは相手(ガーボンタ・デービス)が相手だったとはいえ、テクニックでは互角以上に戦いながら、最後は枯れ枝のようにへし折られました。

この10年のサンプルを振り返るまでもなく、優れた超軽量級ボクサーでも階級の壁は10ポンド先までに立ち塞がるケースがほとんどです。

これは、ある意味でオリジナル8の階級設定の正しさを裏付けているとも言えるでしょう。

フライ(112)〜バンタム(118)〜フェザー(126)。3階級制覇など滅多やたらに出来る該当ではありません。ましてや1団体、強豪王者が居座る時代です。

井上尚弥の場合は、ジュニアフライからバンタムの10ポンドの旅路を順調すぎるほど見事に走ってきました。

しかし、世界初戴冠のジュニアフライは将来の複数階級制覇を見越した無理やりのスタートで、ゆっくり階段を上がったロマゴンらとは事情が違います。

井上の実質的なスタート階級はフライかジュニアバンタム。112ポンドのフライだとすると、122のジュニアフェザーは〝10ポンド先の鬼門〟になります…。

また、サンタクルスはもちろん、カルロス・サラテやウィルフレド・ゴメスのようなグレートですら、10ポンドの〝長旅〟を経ていきなり世界のトップに挑戦するのは危険な行為です。

サラテにとってのゴメス、ゴメスにとってのサルバドール・サンチェス。名前だけに目が行くと「フルトンごときがゴメスやサンチェスであるわけがない」と思うかもしれませんが、階級の壁はそこに潜んでいます。

あのエリック・モラレスが、デビッド・ディアスに押し切られたこともあったのです。

リングの上では、どんなことでも起きてしまいます。

「10ポンドの壁」の先で「いきなりの頂上アタック」。

そして、その頂上は井上のキャリアで初めて迎える、旬の強豪。

〝何か〟が起きたときの後付けの説明と言い訳が、これほど揃った試合は、キャリア初となります。

瑣末とはいえ小さな不安材料が複数浮かび上がるのを反映しているのか、オッズもこれまでのキャリアで飛び抜けて接近しています。

井上勝利2/5(1.4倍)、フルトン2/1(3倍)。

正式発表はまだですが、ブックメーカーや海外メディアは5月30日の火曜日を設定しています。

火曜日はもういい加減、やめて欲しいのですが…ブッカーの鋭い予想を裏切って欲しいところです。