今年の甲子園は、グラウンドがいつも以上に、とにかく輝いた大会でした。

コロナ集団感染に見舞われた有田工と浜田の試合後、整列した両校選手をアンパイアは「今日、試合ができたことは奇跡だ」と讃えました。

感染対策のため、審判の声がマイクにしっかり拾われたことで、グラウンドはより一層まぶしく見えました。

「ここまで来たんだ。胸を張れ」。「給水してるか?」。球児を励ます言葉は、どこまでも澄み切っていました。

もちろん、高校野球の審判は実質ボランティア。野球が、甲子園を目指して戦う高校球児が、とにかく大好きな大人たちです。

ねぎらいの言葉をかけることは、珍しくありません。



高校3年の夏、強豪校に敗れた私たちに、アンパイアが「よく戦い抜いた。立派でした」と私たちに声をかけてくれました。

苦戦した強豪校には「〇〇高校が君たちにぶつかっていった気持ちも背負って次の試合も頑張って下さい」とエールを送りました。

そのときは、勝つつもりで戦って負けた直後、大人の言葉は素直に入ってきませんでしたが、時間が経つにつれて、大人の優しさが身にしみました。

その試合、ストライク・ボールの判定に「このおっさん、ブレブレやん」と腹を立ててた自分が恥ずかしく思えてしまいました。

まぁブレブレだったんですが…。


今大会の出色は、やはり仙台育英の須江航監督でしょう。

「僕たちが過ごしてきた高校生活とは全く違うんです」と言葉を詰まらせました。

そして、この不運で残酷な時代を過ごした「全国の高校生に拍手してもらえたら」と結びました。


「高校球児に悪い人はいない」なんて大嘘もいいとこで、運動部なんて理不尽と不条理と悪の巣窟です。

審判だって、普段はイヤな大人かもしれません。


ただ、彼らの努力に嘘はなく、そんな彼らを支える大人の優しさにも嘘はなく、そんな全部が散りばめられた甲子園は、やはりどこまでも清々しく、どこまでも眩しかったのでした。