【問】スポーツにおける最高峰は、どこにあるのか?



最高峰は、最高難易度に置き換えることができるでしょう。そうであるなら、下記の二つは【模範解答】です。


◼️地球規模でのメジャースポーツ、飛び抜けて競技人口が多く、報酬も高いサッカーの最優秀選手、バロンドールこそが最高峰。

人類にとって最高難易度であることは論を待たない。


◼️日本における世界とはパワーの国・アメリカのこと。その憧れのアメリカで最も華やかに評価されるESPY'最優秀アスリートこそが最高峰。

体格で劣る日本人にとって難易度が高いのはもちろん、憧れというエッセンスも考えると、これが最高峰。



…しかし、いずれも個人の最高峰です。


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日本は、個の力では敵わなくても、組織力・戦術で世界を相手に勝利を手繰り寄せてきました。陸上4×400mリレーはその典型です。

トランジスタラジオやウォークマンに通じる哲学、思想です。

だからこそ、個の力で世界をねじ伏せる巨大なデストロイヤーの出現に、私たちは恋焦がれてきたのかもしれません。

過去形です。

私たちは見てしまいました。

見てはいけないものを、見てしまいました。

個人の場合は、たった一人の突然変異、変態の登場で、それまでの常識があまりにもあっけなく、木っ端微塵に破壊されてしまうことを。

Mission: Impossible という視点では、大谷翔平がやってしまったことは、日本人などという島国の枠を超えて、人類として最もMission: Impossibleなハードルを易々と超えているかもしれません。

彼は本当に取り返しのつかないことを、やらかしました。



誰かが分厚く高い壁をぶち抜くと、大きな穴が空いて、それまで足を踏み入れることが不可能と思われた〝向こう側〟に多くのアスリートがなだれ込みます。

大谷はそんな〝バニスター〟ではありません。彼はバニスターのように心理的な壁を打ち砕いたわけではないのです。

MLBはNPBよりも明白にレベルの高い怪物ランドです。日本の怪物がそこに行っても、同じように活躍できることはありえません。

特に野手・打者においては、その厳しさが際立ちます。

イチローや松井秀喜ですらスケールダウンを余儀なくされ、日本のタイトルホルダーの多くは無残な成績で朽ち倒れました。

松井稼頭央の守備を「高校生」と嘲笑され、筒香嘉智
が「どの球なら打てるんだ?」と呆れられる世界です。

そこで、進化している化け物が、あの男です。



変態は突然現れます。だから突然変異なのですが。



10年後に日本人がバロンドールを手にしても、大谷のような衝撃はないかもしれません。少なくとも「世界」はそうでしょう。

毎年の恒例行事と、驚天動地の差です。

バロンドールなど「それってメッシとかロナウドが獲ってたヤツやん」という、ユニコーンとは対極で、毎年見ることができる既製品です。

もちろん、サッカーW杯優勝も4年に一度の恒例行事ですが、これは突然変異が現れても獲れるかどうか、わからないシロモノです。

サッカーは、この30年間で最も多くの人材と巨額の資金が投資され、最も成長したスポーツです。

それなのに、世界レベルで、30年前から一歩でも前に進めているでしょうか?

30年間も不断の努力を積み重ねてきたというのに、W杯で〝入賞(8位)〟にすら手にできていないのが現実です。

同じ規模の投資を他のスポーツで行えば、30年もかからずに、大きな果実をいくつももぎ獲っているはずです。



日本人は戦略・戦術を練るのに長け、組織力を発揮するのが得意…それは本当でしょうか?

4×100mリレーや、野球のWBCは本当に世界の最高峰を決める舞台ですか?もしかしたら〝競歩〟と同じグループに属していませんが?

あれが、世界中の選び抜かれ傑出した才能が死に物狂いで勝ちにくる、そんな地獄の一丁目で繰り広げられる大勝負ですか?



本当の組織力とは、その場しのぎの戦略・戦術といった枝葉ではなく「日本は斯く戦う」という強烈な根を張った大きな幹であり、体を流れる血液の色であるのかもしれません。

それは「文化」と呼ぶにはあまりにも本能的・原始的で、「伝統」や「歴史」と呼ぶには単純に時間が経てば手に入るものでもありません。

日本とドイツは、几帳面な性格など共通点が多いと言われています。

「大和魂」と「ゲルマン魂」は同義語といって差し支えないでしょう。

しかし、サッカーのピッチに立った瞬間、ゲルマン魂と大和魂はダイアモンドとガラスほど異なったものになってしまいます。



ガラス玉がダイアモンドに砕かれるまで、あと92日となりました。