米国は歴史を偏愛する。

それは政治でも経済でも、スポーツでも同じです。

そして、事あるごとに、天国から偉大なアスリートを呼び寄せるのです。

この〝事あるごとに〟ほど難しい作業はありません。

呼び寄せるアスリートが偉大であればあるほど、その難易度は跳ね上がります。

そんな大仕事が出来るのは、傑出した運動能力を持つアスリートだけです。

私が最初に出会った〝霊媒師〟は王貞治でした。

あの頃の熱気を知っている人なら「714」という数字だけをを聞いても、すぐに「ベーブ・ルースの通算本塁打数だ」と、今でもピンと連想するでしょう。

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「大谷翔平のベーブ・ルース」とは全く違うと反感を覚える若い人もいるかもしれませんが、王が呼び覚ましたルースと、大谷のルース、どちらが本物のルースでしょうか?

日本列島を熱狂させた王貞治に並ぶ〝霊媒師〟の登場は、21世紀まで待たねばなりませんでした。

シューレス・ジョー、ジャッキー・ロビンソン、タイ・カツブという野球ファンなら誰もが耳にしたことのあるグレートに、ジョージ・シスラーという米国でも忘れ去られていたグレートを長い眠りから呼び覚ましたのは、イチロー。

そして、二刀流時代のルースの墓を掘り起こしたのが大谷翔平。

これからも、現在28歳の日本人が永眠だと思い込んでいたグレートを叩き起こすはずです。

投手のシーズン40勝以上は全て19世紀の記録ですが、さてさて20世紀の忘れ物を拾いに行きましょうか。

歴代最高防御率は0.96、これは1914年の記録。

本塁打はバリー・ボンズの73本。この話題はいつもドーピングとセットで語られていますが、大谷さんにボンズをそろそろ楽にしてあげてもらいましょう。

そういえば、昨日の4安打固め打ちを見ると、テッド・ウィリアムス以来の4割打者も可能性十分です。

歴代最高打率は4割4分0厘、これは19世紀の記録。いくらなんでも、寝過ぎです。そろそろ眠りから覚ましてあげたい頃合いです。

以上、この辺りは、もう来年とかにも拝めそうです。

ベーブ・ルースは「そろそろ帰って寝直していいか?」と眠たげですが、もうしばらく起きていてもらいましょう。

あれほどのグレートを何度も起こして、ご足労いただくのも気が引けますから。

もう少し待っていただけたら、王貞治に続いて、大谷翔平もあなたの714を超えてゆきますので。