世界的な統括団体がないために、栄光への道程が極めて見えにくいプロボクシングの世界。

そこに、世界的なパンデミックに襲われて、村田諒太や井上尚弥ら日本の才能は思い描いていた海図の通りに航海することは出来ませんでした。

ゲンナジー・ゴロフキン戦が二転三転した村田は、カネロ・アルバレス戦も2020年12月に内定していました。

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井上も本来なら2020年4月に3団体統一戦をクリアしていたはずでした。

カネロ・アルバレスやヘビー級のメガファイトがしっかり消化されているのを見てしまうと、井上の〝便秘〟な状況は、パンデミックなんてほとんど関係なく、WBSSのクズっぷりとトップランクのやる気の無さが諸悪の根源に思えてきます。

そして、井上の巡り合わせの悪さにも頭を抱えるしかありません。

あの激闘がドネアでなく、若きプエルトリカンのエマヌエル・ロドリゲスなら…。 

あるいはドネアがメキシカンのレジェンドなら…。

もっと贅沢を言えば、同年代・近隣階級にメキシコのスター選手3人位いたなら…いや一人でもいてくれたら…。 

正直、ドネアなんて主戦場にしていた米国ですら人気がないロートルなのに、突然覚醒して、これ以上考えられないハイリスクローリターン の典型です。

圧勝して評価してくれるのは専門家とコアなマニアだけです。

唯一、めぼしいのはレオ・サンタクルスですが、米国での商品価値はゴロフキン並み。日本に呼ぶのは不可能です。だったら、向こうに乗り込む、と言っても山中慎介が相手にされなかったように、あっちは井上とやってもビジネス的に何のメリットもありません。

パッキャオのように噛ませ犬レベルに見られる強豪階級に喧嘩ふっかけるなら米国も大歓迎、大好きですが、そんな危険な橋は「上の階級に行って潰されたら意味がない」というモンスターの方が大嫌いです。 

かつて、井上は「メキシカンは欲しいですね」と語っていましたが、いるんですけどね、上の階級には。

パッキャオが大暴れしたのもフェザー級からでしたし。

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もしかしたら、井上は運や巡り合わせが悪いんじゃなくて、井上のやり方が運を遠ざけ、巡り合わせを硬直させているのかもしれません。

井上が「縁がなかった」と漏らしたエマヌエル・ナバレッテからはおそらく公式にオファーがあって、大橋秀行語でいうと、井上が「逃げた」のでしょう。

「強い相手としか戦わない」というのは、もはや冗談にもほどがあります。

いくらでもいますよ、強い相手。

彼の言葉は「自分が閉じこもった階級の中で強い相手とやれればいいな」「上の階級からオファーがあったら、それは縁がなかったということ」という程度のことでした。

非公式とはいえ、下の階級の井岡一翔にはオファーしても、自分は強い相手からのオファーは絶対に応じない。

一貫してます。井上尚弥。

あそこで冒険できないから、巡り合わせが悪く、挙句はドネアみたいな上の階級から尻尾を巻いて逃げてきた亡霊と二度も戦う羽目になった、なんていうのは言い過ぎでしょうか。