プロボクシングはビジネスです。

営利追求は当然です。それがうまくいけば、市場の発展に直結します。

どうしたら儲かるか?

簡単です。「多くの人に見てもらうこと」と「多くの人にお金を支払ってもらうこと」です。

「多くの人に見てもらう」最も効果的な方法は、地上波で誰にでも観戦できること。

そして「多くの人にお金を支払ってもらう」にはPPVのように地球規模で課金すること。フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオは米国だけで460万件を販売しましたが、世界中のどこを探しても460万人を収容できるスタジアムはありません。

そうです。営利追求の二つの柱「多くの人に見てもらうこと」と「多くの人にお金を支払ってもらうこと」は、一見同じベクトルに見えて、実際には真逆の働きかけなのです。

もし、メイパックが地上波なら全米で数千万人が観たはずです。しかし、二人のファイトマネー合計3億ドルは番組スポンサーから提供してもらうしかありません。そんなの絶対無理です。

つまり、地上波でのメイパックの価値は3億ドルなんてありえないということです。

しかし、PPVなら単価100ドル、〝たった〟300万件を売れば二人の報酬が確保できるのです。

ボクシングのスーパースター主義は大昔から変わりません。2%のスター選手が市場の98%の利益を独占する超弩級の寡占マーケットです。
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現在でも、ヘビー級のトップ選手やカネロ・アルバレスは当たり前に5000万ドル以上の報酬を稼ぎますが、軽量級の複数団体世界王者でPFP常連のファン・フランシスコ・エストラーダの報酬は20万ドルレベルが最高。

そして、カネロと24ラウンドに渡って互角以上の戦いを見せたゲンナディ・ゴロフキンも、その現実的な市場価格は「せいぜい200万ドル」です。

この、残酷すぎる格差は「人気階級か不人気階級か」という〝種目〟だけなら、陸上競技の100mと競歩と同じですが、ボクシングの場合は「メキシカンや米国人、日本人かどうか」という〝人種〟の問題も大きく絡んでくるのです。

「100万ドルポッキリ」の摩訶不思議な報酬を連発している「軽量級の例外中の例外」井上尚弥は、欧米では全く人気のないバンタム級ですが、日本人だから特別なのです。それでも、人気階級のスター選手と比較すると、その報酬は塵のようなものです。

「ボクサーにとって小さな体で生まれることほどの不幸はない」(エストラーダ」、「もし私がミドル級なら住む家も乗る車も何もかもが違っていた」(カリド・ヤファイ)。

最も恵まれた国の一つ、日本では「バンタム級のPFPファイター」と「五輪ミドル級の金メダリスト」という対極的な価値を持つ井上尚弥と村田諒太がフロントランナーとして市場を牽引しています。

その二人が奇しくも同時に〝脱・地上波〟の試合に臨みます。

井上尚弥➡︎ひかりTVとABEMAのPPV、村田諒太➡︎Amazon Prime 。

脱・地上波に至った背景は全く違うものの、この2つのリングが日本のボクシング市場にとって重要な実験場になることは間違いありません。



あ、パークシアターの試合、WOWOWも始まりました!